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新しい出会い⑤⑥

「ゲンさん、いや師匠と呼ばせてください!師匠、修行って何するんですか?」

「師匠かの。なかなかの響きじゃな。あっはっは。まぁいいじゃろう」


 なんか凄く嬉しそうだ。


「よし、お主にはダンジョンに行ってもらう。まぁとりあえず着いてこい。あと、プレゼントも用意してるぞい」

「プレゼントですか?ありがとうございます!!!」


 プレゼントなんて……嬉しい……。リンの扱いがひどかったからなお嬉しい……。


「お主のステータスにピッタリの武器じゃ」

「そんな武器があるんですか!?」

「まぁの。だが、LUK値が関係してくるのかどうかはワシにも分からん」

「そうなんですか……」

「よし、支度が終わったらギルドの前で待ってるのじゃ」

「はい!」


 俺は別に支度することがなくそのまま外に向かった。十分後師匠がギルドから出てきた。


「お~遅れてすまんのぉ~」

「いえいえ」

「よし、まずはプレゼントじゃな。えっと……どれじゃったかな……」


 ………歳はとりたくないな。


「今、歳とりたくないって思ったじゃろ!」

「え?いや?別に……」


 年を取ると相手の心読めるんだな……。そんなことを考えているとピロリロリンッという電子音が聞こえた。そこには、『ゲンさんからプレゼントが来ています』と書かれていた。俺はウィンドウのプレゼント欄を開き、プレゼントを受け取った。武器欄にアイテムが増えたことを示すビックリマークがついていたので、武器欄を開くとそこには【ラッキーガン】という名前の武器があった。俺はそれを取り出した。


「これですか?【ラッキーガン】」

「それじゃ、その武器は何とも不思議な武器でな。簡単に言うと何が出るかわんのじゃ」

「は、はぁ……」


 俺は【ラッキーガン】のステータスを見てみる。


【ラッキーガン】[レア度S級]

 なにが出てるくるかは秘密。

 攻撃力Lv.0~??

 クリティカル率 ??%


 ……ほとんど『?』じゃねぇか!てか、何が出るか秘密って……。ふと、ゲンさんを見てみると何かドアのようなものを出していた。……どこ〇もドア?


「これはどこからでも特定のダンジョンに行けるドアじゃ。まぁどこ〇もドアみたいなもんじゃな」

「俺はどこへ……」

「入ってみれば分かるぞい」

「そうですか……」

「ワシも一緒じゃ心配するな」

「あ、そうでしたか!なら、安心だ」


 俺はてっきり一人で行けと言われるかと思っていたのだ。


「二人で行くに決まってるじゃろ。……途中までじゃがな……」

「ん?何か言いました?」


 最後らへんの言葉が聞き取れなかったが、まぁいいか。俺は恐る恐るドアの中へと入っていった。


「薄暗いですね」

「大丈夫じゃ、ここらへんにモンスターはおらん」

「あ、そうなんですか。でも、師匠がいるので心配はしてないですけどね!」


 しかし、俺は心のどこかで不安な気持ちが込み上げていた。10分ぐらいあるいていると、目の前に道がなく崖になっているところがあった。通れないじゃん!


「どうするんですか!?」

「ん……そうじゃな……。獅子が自分の子を崖に落として這い上がらせることわざを聞いたことがあるじゃろ?じゃから、わしもそうする」

「え?」


 と言った途端に、俺は後ろから思いっきり背中を押される。いや、蹴られた?バランスを崩した俺は崖の下にまっさかさま。


「頑張るんじゃぞぉ~死ぬんじゃないぞぉ~」


 と言いながら、師匠は手を振っている。ちょ、冗談じゃねぇよ!!!


「ちょ、えええええ!ぎゃぁぁあああ」


 俺はどうなるんだろうな……。ゲーム内での扱いが絶対おかしいと思いながら、落ちて行った。これが、地獄の始まりだとも知らずに。


 

 俺はこのまま落っこちて死ぬんだ……。俺は目を閉じた。 


「……これで終わりじゃあい!!!……ん?何だあれ」


 ……ボフッ…… ピロリロリンッ!……ん?なんか俺生きてる?てか、さっきの音なんだったんだ?俺は恐る恐る目を開ける。生きてた……。さっきの音はモンスターを倒した後の音だ。ってことは、俺は何かモンスターを倒したってことか。何倒したんだろう。てか、目の前に巨体がいるんだが……。


「おい、テメェ……。なに人の獲物取ってんだんだ!!!」


目の前の巨体が話しかけて来た


「ぎゃあああああ。怪物!!!!」


 俺は、すかさず【ラッキーガン】を取り出し、攻撃体勢に入った。


「うおりゃあああああああくたばれぇぇぇぇぇぇ!!!」


 俺は、力いっぱい引き金を引く。さあ、何が出てくるんだ!【ラッキーガン】!

 ……ポンッ


「……………バ、薔薇?」


 え?ちょ……えええええ!!!


「おいコラ、誰が怪物や。てか、なんや薔薇」


 ん?この怪物、人?人だシュリーってプレイヤー名もある…。


「いや、その~綺麗な薔薇には棘があるってね!」


 ……うん……手遅れ!


「ぎゃああああああああああああああああああああ」


 そこからは、地獄だった。十文字固めにバックドロップ、からのジャーマンスープレックス。リアルでは、現役のプロレスラーじゃないだろうか……。てか、ゲーム内なのに普通に痛い。めちゃめちゃ痛い。そのあと、俺はモンスターの囮として2時間付き合わされた。てか、薔薇ってなんなんだよ!


「そろそろ戻るか舎弟」

「舎弟……ですか……」


 俺の扱いどうなってんの!?もう舎弟というより忠実な犬としか見てくれてない気がしてならん!


「じゃあ、そろそろおいとまさせていただきます~。本当に申し訳……」

「あ?何言ってんだてめぇわ。私のギルドホールの掃除ぐらいしてかなあかんやろが!人の獲物取っといてなに逃げようとしてるんや!!!」

「ひっっ!!!すみません!!!決してですね……そのですね……逃げようとはですね」

「おい」

「は、はいぃ!!!」

「お前ギルド所属してるんかい?」

「は、はいぃ!!!」

「名前は」

「【クラウン】です!!!」

「【クラウン】?ゲンのところか!!!」

「は、はいぃ」

「なら、連帯責任だな……」


 そう言うと、口元にニヤッと笑みを浮かべ、怪物は俺をそのまま引きずりながら歩いて行った。それはまるでイノシシを狩って家に帰るお父さんのような風格……この表現がピッタリだと俺は思う。


『本当にごめんなさい。師匠。先に謝っときます。これは、成り行きなんです……。この後、みんなでギルドホームのお掃除に行かなければなりません。覚悟しといてください。相手は怪物です。怪物に捕まりました。プレイヤー名はシュリーです』


 この文章は、俺が引きずられている時に師匠 あてに送ったメールだ。それを読んだ後の【クラウン】と言うと……。


「逃げましょう!ゲンさん!」

「ぎゃぁぁぁぁあああ!!!」

「はは……ハハハハハハ……」


 みんな崩壊していた……。


「なんてことじゃあああああああああああ」


 もちろん師匠も。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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