新しい出会い③④
俺はアイテム欄を出してその中から【初心者用解毒ポーション】を取り出す。レムさんがかなりビックリした顔でこちらを見ている。
「そんな初期アイテムじゃ、治せる確率は5%ぐらいだよ」
「いや、大丈夫です。俺のステータス異常ですから」
そう言って俺はポーションをレムさんに飲ませた。ちょっと恥ずかしい……。すると、レムさんの周りから緑色の光が現れ、先ほどまで紫色に光っていた体が元に戻った。
「あ、あれ?あれれれ?治ってる?」
「良かったです。改めて助けていただいてありがとうございました!」
「いや、それはいいけど、どうやったの?」
「えと~……、俺のステータスなんですけどまぁこれを見てください」
俺は自分のステータスを見せた。予想通りの答えが返ってきた。
「え?えええええ?ちょ、えええええええ?
何これええええええ!!!」
「ハハハ……まぁチートではないですよ。バグかそれとも……仕様なのかは分かんないですけど、まぁこのステータスのせいで妹に見捨てられたんですけどね」
「そんなこともあるんだねぇ……てことは、武器強化とか【裏方】の仕事だったら有名になれんじゃ?なんでこんなとこにいるの?」
「いや、俺【裏方】をするつもりは今はないんです。俺は倒さないといけないやつがいるんで」
「そっか~。でも……あたしじゃ力になれないな~。でも戦闘だとかなりバットステータスだね……。知り合いとかいないの?」
「はい……。唯一の知り合いが妹だったので」
「そうなんだ……」
「ところで、さっきの人たちはなんなんですか?」
「あー、あいつらは【スカルガルド】っていう有名なギルドだよ。もちろん悪い意味でね。あいつらは自分よりはるかに弱いプレイヤーを狙ってPDをするんだ。PDはモンスターを倒すよりはるかに経験値が貰えるからね。初心者狩りは普通だったらマナーが悪いと言われて嫌われるんだけど、あいつらは強さだけを求めてる。まぁ課金システムがないせいでもあるって思うけど。あたしはあーゆうの大っ嫌いでね。つい助けちゃったんだ」
「そうだったんですか。それは何とも酷いですね……」
「うん。あ、ハジメ君を受け入れてくれる人知り合いにいるかも!」
「は、はァ……」
淡々と話は進み俺はレムさんの知り合いと会うことになった。レムさんが向かった先はギルドホームだった。ギルドホームとは、プレイヤー同士がグループになって一緒にパーティを組みダンジョンに行ったり、同じく目的のプレイヤーが集まって何か大きいことをしたりする時に使われる。いわゆる一緒に冒険する仲間が集まる場所だ。
レムさんはギルドホームのドアを躊躇することなく開けた。
「みんな~!お久~!」
「ん?レムじゃねぇか!何しに来たんだ~?てか、横にいる奴誰だ?」
「まぁいろいろあってね。連れて来ちゃった。この子ちょっと面白いステータス持ってんだよ~」
「あの、えと、ハジメです。よろしくお願いします!」
最初に挨拶したのはギルドマスターであろう人だった。雰囲気的と見た目はおじいちゃんって感じだ。
「おう。面白そうなやつだな。わしの名はゲン。まだばりばりの60歳じゃ!ようこそ!我らのギルド【クラウン】へ!」
「まだ入ったわけじゃ……」
これが俺の結局は所属することになる【クラウン】との出会いだった。
◆
「で、なにが面白いんじゃ?コイツは」
「えっとね、うおおおおお君ステータス見せてあげて」
俺の名前を受け入れているのか、それとももっと凄い名前を見てきたのかは分からないが俺の名前をいじらなかったレムさんに俺は少し感動を覚えた。だが、それはレムさんの話なのだが……。
「ぷぷ、名前うおおおおおだって、ぷぷ……」
猿みたいなやつが笑った。俺には聞こえたぞ。名前に関しては地獄耳になっている自分がいる。
「なにしてるんじゃ?早くステータス見せい」
「あ、はい……すみません」
俺はゲンさんとその他のギルドメンバー達が覗き込む。想像していたのと同じ反応だった。
「「「ちょ、え?えええええええ?なにこれええええええ」」」
完全にレムさんと同じ反応ジャン。
「ね?面白いでしょ?しかも【裏方】専門でいかないんだって。どうしても倒したい奴がいるらしくてね。あたしは忙しくて相手してあげられないから、ここで引き取ってあげてよ」
「こんなステータス初めてじゃな」
ゲンさんはどこか楽しそうな笑みを浮かべていた。
「よし、今日からお前はワシ達のギルド【クラウン】のメンバーじゃ!そして、ワシがお前に闘い方を教えてやる」
「あ、ありがとうございます……。よろしくお願いします」
「じゃ、あたしの役目は終わったね。あと、襲われてた子。うちのギルドが保護したらしいから!じゃ!君の成長楽しみにしてるよ!うお......魚くん!」
「魚くん言わないで!!!」
と言った時には、レムさんはギルドホームからいなくなっていた。そういえば、忘れてた......というのはここだけの話だが、でも良かった。
「魚くん……プププぷぷぷぷうっぷ……」
あの猿うざいな。
「じゃあ、まずはメンバー紹介でもしようかの。ワシの名前はゲンじゃ。ようこそ【クラウン】へ!」
「あの、さっきも聞きました……」
「そうじゃったかな?」
「歳だぜゲンさん。おっと、俺の名前はケイト。よろしく!」
「お前は一言多いんじゃ!」
ゲンさんが不機嫌そうにつっこむ。なんか一番メンバーの中でマシそうなのがケイトなんだが……。見た目では。
「よろしくお願いします」
「俺は~タダスケ~。よろしく~」
そんなに特徴がない顔だが、覚えるポイントはテンパだな。テンパのタダスケと覚えよう。
「ぷぷ、俺はイツキングだよ。よろしく。ぷぷ。魚くん……ぷぷ」
まず、一言言わせてもらうとうざい。笑い方おかしい。そして、うざい。こういう奴は大体ヘタレなんだよな。
「こいつはギルド一のヘタレじゃ。頼ったり信じたりしたら命取りだから気を付けるんじゃぞ」
やっぱか。てか、なんでそんな奴ギルドに入れてるんだって話だが、まぁ心に収めておこう。
「へっへっへ!俺の名前はタカト!よろしくな!」
「ノム……。よろしく……」
といいながら、隣の背丈が小さく口数が少ないノムという子の顔をひっぱたいている。……ドS?そして、叩かれている方はなんか笑ってる?……ドM?なんだこのSMコンビは……。
「やっふーーーーーー!!!アツヤでぇーす!!!よろしくでぇーす!!!」
異様にうるさい。ムードメーカー的な存在だろう。
「ホウリュウだ。よろしくぅ」
こええええええ。顔こえええええええ。極道面じゃねぇか!!!
「よろしくお願いします!!!」
つい挨拶してしまった……。挨拶しないと殺されそうだったから……。
これで、全員か。個性的すぎるな……。
「おいおい、まだお前さんの紹介終わってないぞい?」
「あ、すいません。えっと、うおおおおおと書いてハジメと呼びます」
「嘘下手すぎだろ」
ケイトに見抜かれたが、しらを切ることにした。
「ギクッ嘘じゃないです」
「ギクッて言ってるぞテメェ……」
ホ、ホウリュウさん......。ぎゃあああああ!!!ホウリュウさんに殺されるううう!!!
「はいいい!!!嘘です!!!すみません!!!」
俺は地面に頭をつけて、渾身の土下座をして謝る。
「え……いや……そんなに謝らなくても……」
全員が爆笑していた。俺は涙目でおそるおそるゲンさんを見た。
「まぁ、あいつの顔見て……怖くない奴は……えんじゃろな、口が悪いだけ……じゃ」
と言いながら、腹を抱えて笑っていた。ホウリュウさんはギルドの特攻隊らしく。その顔だけでも怯えて逃げてく奴が多いらしい。まぁ土下座までしたのは俺が初めてらしいが……。根は優しい人らしい。怖い人じゃなくて良かった……。安心と同時に俺は不安で胸がいっぱいだった。
最後まで読んでいただきありがとうございました!