新しい出会い①②
何体か【タコチー】を倒して攻撃しているうちに、攻撃の感覚になれていった。ふと時計を見ると、ログインをしてから2時間ほど経っていたので近くの町に戻ってログアウトした。すると、目の前が光に包まれていき気がついた時には自分の部屋が見えていた。
「す、すげー……夢を見ていたみたいだ」
とりあえず、のどがカラカラだった俺は、牛乳でも飲もうと1階に降りた。
「あ、リン」
リビングに行くとリンが先にいた。リンを見るとさっき見捨てられたときの怒りが湧いてきた。まぁ確かにあんなステータスを見せられたら見捨てたくなる気持ちも分からないわけではないが、速かった。リンは見捨てるのが速かった!
「あ、お兄ちゃん……。あの後どうした?やっぱりあんな変なステータスじゃやる気失せてやめたよね。まぁ招待特典目的だからどうでもいいけど。」
ヒドイな……コイツ……まぁ招待特典目的なのは気づいてたけどな。
「いや、続けるよ俺は。逆に燃えるじゃねぇかバットステータス!あのバットステータスで必ず最強プレイヤーになってやる。その時になったら、お前に挑むから覚悟しとけよ!そして、俺はお前に勝った時やめる!」
と言ってリンに指さす。なんか言っちまった……。宣戦布告しちゃったよ!!!
「へぇ~お兄ちゃんのくせにあたしにたてつくんだ~。まぁお兄ちゃんにあたしは倒せないね。断言するよ!」
「お前、俺を下に見過ぎだろ!」
俺とリンの間にバチバチと電流が流れる。そういえば、牛乳飲みに来たんだった。
「牛乳~牛乳~」
「あ、飲んじゃった。」
くそ……牛乳は飲めなかったが、オレンジジュースがあったのでそれでのどを潤した。昼までにはまだ2時間近くある。もうちょっとやってくるか。リンに宣戦布告しちゃったし。そして、ログインした。
今度は金集めを目的に狩りに行こう。【タコチー】のドロップ品に高く売れるアイテムなんてないだろうけど。そうして、【タコチー】を倒すためテレポートに向かった。
どのぐらい倒しただろうか。【タコチー】からのドロップ品は、【タコチーの足】が30個、【タコチーのぬいぐるみ】が10個、【タコチーの吸盤】が23個落ちた。なぜ【タコチー】からぬいぐるみが出てくるのが疑問に思ったが、これがゲームだと思いだす。リアルすぎると現実と比較してしまう……。
どれもあんまり高いお金にはならないが、塵も積もれば山となると言う。まぁ2000円ぐらいにはなるだろう。
俺はウィンドウのアイテム欄を閉じて、ふと目の前を見ると誰か1人の女性プレイヤーと2人組の男性プレイヤーが話していた。いや、話しているのだろうか。明らかに女性プレイヤーは嫌がっていた。すると、男性プレイヤーのうちの片方がいきなり少しのけぞったような剣を女性プレイヤーの首筋へと向けた。その武器は多分【サーベル】だと思われる。それを見たとき、俺は怖いという衝動と同時に助けたいという衝動にもかられた。だが、答えは自分の中で決まっていたようだ。俺は、自分の体が勝手に動くのが分かった。
「うおおおおお!!!」
俺は男性プレイヤー二人組に思いっきりタックルをかました。そして、すかさず彼女の目の前に立った。足?当然ガクガクさ……。
「何してくれてんだテメェ。てか、コイツ助けようとした割には初心者じゃねぇか!ハッハッハ!こりゃ運がいいわ!」
もう一人の男も笑っている。そいつの手には小さめのの【弓】を持っていた。
「俺らはねぇ。初心者狩りって言ってねぇ。君たちみたいな雑魚を狩ってるんだよ。まぁ簡単に言えば、お前らは俺らのエサってわけだ。雑魚はさっさと俺たち上位プレイヤーの経験値の一部にでもなってればいいんだよ!でしゃばったんじゃねぇ!!」
「初心者狩ってなにが上位プレイヤーだ。狩るなら自分よりつえーやつ狩ってこそ男じゃねぇのかよ!!!」
むかついてなんかすごくキザなことを言ってしまった気がする……。
「あぁ?なにキザなこと言ってんだコラァ!」
あ、やっぱり言ってた……。そんことを考えているうちに【サーベル】を持った男が俺に襲いかかろうとする……その時だった。
◆
突然目の前に【双剣】をもつショートカットの女性が現れ相手の【サーベル】を受け止めた。
「あたしは初心者狩り大っ嫌いだから。あんた達をブチのめす」
というなり、競り合っている【サーベル】を受け流し、攻撃の態勢に入った。
「あんたなんかスラッシュで十分よ」
スラッシュというのは、ソードつまり刃物系で必ず覚える初期スキルだ。剣に力をため一気に放出することが出来る。
「なめるのもいい加減にしろよテメェ」
というと相手の男の【サーベル】が真っ赤に光出す。
「タイタンブレイク!」
その重い一撃は敵単体に中確率でクリティカルを与えることが出来る。
大きく振りかぶった一振りをショートカットの女性はなんなんく避け、スラッシュを放つ。しかし、分かっていたかのように男も避けた。
「そんなへぼい攻撃なんざ、あたらねーよ。」
「なら、もう終わらそっか」
彼女は満面の笑みと自信で答えた。
「真の気合い!」
真の気合い。10秒間だけMPを消費しない。まさか......
「ハァァアアア!!!」
気合の入った掛け声と共に、彼女はその【双剣】を振り回し大量のスラッシュを放った。普通はスキルを使うと、次のスキルを使えるようになるまでにある程度の時間がかかるのだが彼女のスキルの回復の速さは異常だった。
「は、はえー......」
俺はその光景を唖然と見ていた。というか唖然と見ることしかできなかったのだが......。男も唖然としいて、回避動作が遅れかなりの数のスラッシュを受けていた。そして、次々に当たるスラッシュと共にHPも削れていく。
しかし、HPがあと3割ほど残っているところで真の気合いの効果が切れたのか、発生するスラッシュの数が減った。その隙に【サーベル】を持った男の仲間が横から入ってきた。そして、すかさず【テレポーション】というどこからでも指定した町に戻れるポーションを【サーベル】の男に渡して、「お前は逃げろ!」と言った。【サーベル】の男はこちらを睨みつけながらポーションを飲み姿を消した。
「やるねー嬢ちゃん。甘く見てたよ。今日のところは退散してやるよ。これをお見舞いしてからな......」
すると、もう一人の男は【弓】を構えた始めた。後から知ったのだが、この武器は【短弓】と呼ばれる武器で、通常の【弓】のより短くちいさい。そのため射程距離が縮む分、弓矢の速度が上がっている。
「光速の猛毒矢」
これは光属性の技で、その名の通り光速で矢を放つことができる。しかも、毒というサブ属性付きだ。かなり高度な技らしい。黄色いエフェクトが弓矢全体を覆ったと思った瞬間だった。女性の肩の部分に矢が突き刺さっていた。
「ぎゃっはっは!!!この矢は猛毒矢だ。そんじゃそこらの解毒ポーションじゃ治る確率は、5%もねぇだろうな!死ね!!!」
というと【テレポーション】で消えていってしまった。
「だ、大丈夫ですか!?」
俺は慌ててその女性に近寄った。
「んーこりゃキツイなぁ。毒状態の時の【テレポーション】使えないし、この毒を治せる上級の解毒ポーションも持ってないしなぁ」
状態異常の時に【テレポーション】を使うことは出来ない。便利だと思ったこのアイテムにもちゃんと弱点はついている。自分で状態異常のまま町に帰るか、今の状態だと【解毒ポーション】で治す他助かる方法はない。
「くそ〜あとちょっとで倒せたのにな〜」
「あ、あの助けて頂いて本当にありがとうございました。助かりました......俺はハジメと言います」
「私はレム。あんた弱いのによく戦おうとしたね」
「は、ははは......」
めちゃめちゃ恥ずかしい......。
「でも、かっこ良かったよ」
その言葉とレムさんの笑顔に、俺の胸が急に締め付けられる感覚が走った。なんだろうこの気持ち......。そして、あることに気づいた。
「あ、俺だったらその毒状態治せます」
「え?」
最後まで読んでいただきありがとうございました!