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戦いの始まり⑤⑥

 転送される感覚というのは、気づいた時にはそこにいるという感覚だ。俺は心の傷を負ったままリンとの待ち合わせの場所。≪女神の泉≫に向かった。なんか周りから変な目で見られているのは気のせいだと信じたい。≪女神の泉≫についたのは、リンがログインして35分後のことだった。


 ≪女神の泉≫の周辺で頭上に書かれたプレイヤー名を見てリンを探していた。リルカだったな。リルカ……リルカ……。すると、俺のいる反対方向で人だかりができているのに気が付いた。興味本位で行ってみることにした。


「あたしにPDプレイヤーデュエルを申し込むなんてたいした度胸ね」


 ピンクのツインテールにカールがかっている髪の毛。手には身長に似合わない薙刀なぎなたを持っている。しかも、プレイヤー名はリルカだった。対するは男性プレイヤー。大男の彼は体に似合わず短剣を持っていた。なぜ短剣にしたのか疑問に思うほどの体格差の武器だ。


「俺様をなめてんだろお前~。痛い目見る……ぐえぇぇええ!!」


 リルカはまだ相手が喋っているというのに、攻撃をくりだしていた。その一撃で、HPの半分近くを削っている。


「あたし今待ち合わせしてんの。あんたのその無駄な自己紹介に付き合ってる暇はないのよ」


 この言葉に野次馬達が一斉に歓喜の声を上げた。ところどころで「いいぞ~!」やら「やっちまえ~」やら「今日もドSですな~」という声が聞こえてくる。てか、あいつドSキャラなのか!?しかも、妙に人気があるようだ。


「くっそぉ~なめやがっ……ぎゃあああ」


 そしてまたもや相手に喋らす暇を与えずもう一撃をくらわした。歓喜と共にみるみるうちにHPは減っていき、ついには0になってしまった。


「喋らしてくれたって……」


 と言い残し、ポリゴン体となって消えていった。話しかけにくいなぁと感じながらもリンに話しかけることにした。


「よ、よー」

「ん?ナンパですか?お断りします」

「ちげぇよ!俺だよ俺!」

「えーと、大胆なオレオレ詐欺ですね。通報しますよ?」

「だからちげぇって!お前の兄貴だよ!!」

「……え、お兄ちゃん!?何その名前うけるーー」

「おい、笑うな……。お前の思ってるほど俺はメンタル強くねぇぞ。ところで、さっきの闘い見てたぞ。お前かなり強いな」

「そりゃ~このゲームはやり込んできたからねぇ。まぁ相手も弱かったけど。お兄ちゃんももう少しであーなるとこだったよ」

「こえーわ!!……そういえば、お前少しはレベ上げ手伝ってくれるって言ってたよな?」

「まぁね。でも少しだけだからね!」


 ケチなやつだと思いながらも、決して口には出さなかった俺は偉い。


「ところでステータスはどうなってる?最初のステータスはランダムだからね」

「そうなのか。てか、どうやって見るんだ?」

「お兄ちゃん……。チュートリアルしなかったでしょ!!!」


 ギクッ、ばれた……。


「す、すまん……」

「あっりえない。ハァ……、ウィンドウって言ってその中にステータスっていうのがあるからそれを見て」

「は、はい。ウィンドウ」


 すると、目の前に小さな縦長の画面が出てきた。その中にあるステータスというのがあり、そこを押した。


「なんて書いてある?」

「 AGI (すばやさ)   皆無

  AVOID (回避)   皆無

  DEX (器用さ)    皆無

  INT (精神力)    皆無

  RICAST (硬直時間)皆無

  LUK (運)      無限 」

「お兄ちゃん……、あたし用事で出来ちゃった。ごめんね。また今度ね。さよなら……」

「え……ちょ……え?」


 そうして俺はリンに見捨てられました。このおかしなステータスによって……。



 このゲームの中のステータスには、STR(攻撃力)、DIF(防御力)、HIT(命中率)は入っていない。これら3つのステータスは装備をしていく中で増加していく。その他のステータスは全てレベル制。つまり育てる必要がある。自分の選ぶ戦闘スタイルによって、どのステータスを上げるのか変わっていくのである。

 しかし、俺の場合は違った。LUK(運)以外のステータスが皆無なのである。つまりどんなに戦っても、どんなにレベルを上げようとしても無駄な行動だということになる。いわゆる素質がないということだ。しかし、LUK(運)だけは無限という表示されていた。LUK(運)というのは、主に武器レベル・武器強化、特殊ポーション作成といった【裏方】と呼ばれる、戦闘ではなく生産職をしたい人が上げるステータスだ。もちろん戦闘でも役には立つ。例えば、クリティカル率だ。通常の攻撃力の何倍もの力を発揮することが出来る。一発逆転も可能だ。俺の場合、LUK(運)が無限だから攻撃したら常にクリティカルということになる……のか?

 

 ステータスの話はさておき、リンに見捨てられた俺はこの後どうしようかと考えていた。とりあえず暇だったので、俺はレア武器3日券を開封し、狩りに出ることにした。

 武器の種類は非常に豊富で何を選ぼうか10分ほど迷っていた。このレア武器3日券は初心者のお試し武器期間みたいなもので、その豊富な武器を何度でも試せるらしい。実にいい期間だ。俺は、悩み悩んだ結果【銃】を選ぶことにした。【銃】の中でも【ハンドガン】という武器だ。武器が軽いため非常に動きやすい。弾数が少ないがリロード時間で補える。攻撃力はバラつきがある、と武器説明には書かれてあった。今の俺のステータスにはピッタリだと思った。まぁステータスは不利なのは当たり前だから近づくと逆に死んでしまいそうで怖かったというのもあるのだが……。

 

 俺は勇気を出してテレポートゾーンに入った。3秒ほどすると辺りが真っ白になっていき、目の前には草原が広がっていた。広大な草原に俺の見える範囲では約50人ほどがモンスターと闘っていた。相手のモンスターは【タコチー】という初期モンスターである。【タコチー】とはタコのモンスターでタコのくせに足が4本しかなく太い眉毛が特長だ。扱いで言うと【スライム】だと思ってもらえばいいと思う。このモンスターはマスコットキャラとしても人気がでている……らしい……。

 俺の装備している武器の名前を紹介しよう。

【シルバーホーク】[レア度A級]

 一発一発の威力がかなりで大きい。しかし、【ハンドガン】の中でも極めて連射力が低い。

 攻撃力Lv,15

 クリティカル率 10%


 俺の場合、クリティカル率は100%なんだが……。とりあえず、【タコチー】に標準を当てて、一発撃ってみることにした。バンッ!という銃声と共に、自分自身にビリビリと衝撃が伝わってくる。


「タコジィ~……」


 と言って、ポリゴン体となり消えていく。しかも、クリティカル!という表示も出ていた。


「つ、つえ~……」


 これはあくまでレア武器の話である。そんなことを忘れてちょっと浮かれている俺だった。


 

 



最後まで読んでいただきありがとうございます!

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