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とくになし  作者: 独り言
1/3

目くそ鼻くそを笑う

 どんなに着想が素晴らしくても、結局「最初」が書き始められなくて終わることがけっこうある。割とある。まあまあある。ありすぎて、反吐が出るほどである。


 大体、素晴らしい夢を見て、ベッドで起きて、すぐにパソコンに向かおうとして一歩を踏み出すまでに数十分。そのまえに体を起こすのにさらに十分くらい。まあ、その間は寝転んでいるだけなので、思考をまとめる時間としても取れるが、いざ体を動かすべく身をよじる。その神経のよそ見のせいで、爪に引っ掛けていたいとのようなアイデアが飛んでいく。


 パソコンをつけたときには、こんなつまらない、脈絡もない、覇気もない、どうしようもない文章しか書けない。あんまりだ。


 さらにタチが悪いことには、俺はその失敗をなんとも思っていない。アイデアを逃した数秒後には、鼻呼吸を妨げるハナクソに神経が飛んでいる。


 それすらも光年の距離においていくレベルでひどいことに、「その失敗を正そうともしないままだが、それでも小説をしたためてみたい」という、「物に触らずして物に触れたいんですぅ~」と言わんばかりの妄言を吐いている。そしてハナクソに意識が飛んでいる。


 そして時間が一周するレベルまでの距離に達して、俺のところに帰ってくるレベルでひどいのは、それをもう何年も続けたまま、路頭に迷っていることだ。やはりハナクソに意識が飛ん











「えーこれが小説なんですかぁ~?」

「違うよ」

「じゃあ何なんですかぁ~、自己紹介の文章にしてもネガキャンの超特価セールって感じですし、ポエムとしても表現がしょぼいし、ファンタジーにしては行く末が見えすぎてるしこの文章はまさに「目くそ鼻くそ」って感じです~」

「うまいことでも言ったつもりかよ」


 と返した後で気づいたが、こやつ、言葉の用法を間違えている。しかしあのドヤ顔である。最近は、ドヤ顔が流行ってでもいるのかと言わんばかりのあの笑顔。用法が違ってるぞこのハナクソめ、ネガキャンってなんだと問い詰めて泣かせてやりたい。

 まさに「目くそ鼻くそを笑う」というものだな・・・・・・・。


「いやうまいことでも言ったつもりかよ」

「なんで同じことを二回も言うんですかぁ?」

「作者がうまいこと言わせた気になってるんだろ、きっと」

「うわ、作者とか、メタ発言ダサイです~どこかの漫画の影響まっしぐらです~」


 そしてこの会話文の応酬。「サルでも書ける小説」(定価1280円。税別だった、本はいつでもそうだ。買えそうだと思ったらこれが邪魔をry)を買った成果は微塵も出てはいない。サルが右手でペンを、右手でハナクソをほじっている表紙が脳裏をよぎった。俺は、あいつのペンについているハナクソ以下なのかもしれない。そう思った。




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