ふくふく笑ってる奴は父さんではないだろうか?第二部
掲載日:2026/07/31
冷たく湿った指先が足首に食い込み、身体が床下へ引きずり込まれそうになる。僕は咄嗟に柱へしがみつき、叫んだ。
「親父なのか!? なんでこんなところにいるんだよ!」
暗闇から「フクフク」と笑い声が漏れ、手の力が強まる。その皮膚の感触はヌルリとしていて、人間というより濡れた土塊のようだった。
「親父じゃない……お前は誰だ!」
必死に足を振り払うと、手は力なく床下へ落ちていった。直後、畳の隙間から這い出てきたのは、父親の顔を張り付けた、巨大なムカデのような「何か」だった。
「見ーつけた」
父親の 声で呟いたその怪異は、多足で床板を鳴らしながら、僕の全身へと躍りかかってきた。僕は悪い夢でもみているのだろうと追い込もうとしたが、いつまでも夢が覚めないことを見るとこれが現実であるようだった。
しかし、僕の声は全く出なかった かすれたように喉が渇き 喉の粘膜を舌に張り付いてしまったかのようだ。ムカデは遅いかかってきた。その胴体の長さは僕の身長より長かった。ムカデの触覚が僕の頬に触れてきた。僕は 記憶しないかけた。気を失う寸前に六角でやつの触覚に頬や 唇に触れられると、幸せが吹き出し、眼は余計に冴えてしまうのであった。




