アウトオブあーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 53話 また明日
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
放課後、きはだがとある公園のベンチに腰を下ろしていると、腰まである藤色の髪をフワフワと上下に揺らしながらこちらにかけてくる少女の姿を見つけた。
「キハダさーーーん♪♪」
「はいはい、キハダちゃんだよぉ?」
「えへへ♪」
快晴の笑顔で微笑む彼女の名前はウィスタリア。近々、池図女学院の編入試験を受ける予定。
「わたくしが先回りされるなんて、初めてですね♪」
「いやまあちょっと早めにホームルーム終わったもんで……。」
最近、きはだは放課後の公園でちょくちょくウィスタリアと会っている。
「わたしを見つけるのも楽しかったでしょ〜?」
「はい♪♪」
「だからあんまり早く来なくても良い
「次からは必ずやキハダさんにこの喜びを……!」
「何でそうなるかなぁ……。」
「そーでした!」
ウィスタリアは手に持っていたレジ袋からガサゴソとピザまんを取り出すと半分こして片割れをきはだに手渡した。
「ん……ありがと♪」
「キョーはわたくしの奢りです♪善きにはからえ!」
「は〜い。」
2人はベンチに腰を下ろしてピザまんを賞味した。
「ウィスタリアちゃん、ほんと好きだよねぇ〜ピザまん。」
「はい♪思い出の味ですから……///」
「?」
「……まあ、いーです!///そんなことより……編入試験はジュンチョーですか?」
「それ、わたしが聞く側じゃないかなぁ……。」
「わたくしは大丈夫!ペンチがひっくり返っても落っこちることなんてありえません♪」
「ペンチはけっこうひっくり返るよ?」
「はうっ!?」
「……それだけ自然にボケられれば、学校でも大丈夫じゃないかな。」
「そうでしょうか……!?」
「うんうん、ウィスタリアちゃん面白いもん♪」
「イケズでもやっていけるでしょうか……?」
「うちを何だと思ってるのぉ……?」
「だ……だって!バイト先に来るイケズの方々はその……常軌を逸してる方ばかりで……。」
「んん……?」
「この間も、予約した商品の確認とか言ってエッチな本の新刊のタイトルを読み上げさせられましたし、
(どこかで聞いたなぁ……)
「エッチな本と一緒にカバーたくさん買っていく方もいましたし……。」
(何でだろう……心当たりしかないやぁ。)
「わたくし、そんな方々が巣食う魔境でやっていけるかちょっと不安で……。」
きはだは深呼吸すると、項垂れるウィスタリアの肩に優しく手を置いた。
「大丈夫大丈夫。……それは特異個体だから。」
「特異個体……?」
「まだ知らなくていいよぉ。」
「そー、ですか……?」
「それよりウィスタリアちゃん、本屋で働いてたんだねぇ。」
「何故バレたッッ!!??」
さっきのボケとは違い本気でベンチから跳び上がるウィスタリアの反応を見るに、どうやら本人は隠せているつもりだったようだ。
「予約した本とか、カバー売るのは本屋さんかなぁって。」
「やはりキハダさん、前世は名探偵……!」
「探偵さん殺さないでねぇ?」
「ば……、
「ば?」
「バレてしまっては仕方ない!何を隠そう、『本屋むらさき』の自称看板娘、ウィスタリア・バイオレットとはわたくしのことよ……ッ!」
「…………、『自称』を自称してる人初めて見たよぉ。」
「はうっ!?」
「なんだかごめんねぇ……?」
「……何故、キハダさんが謝るんですか?」
「同じ高校の生徒として、ね?」
「はあ……。」
「そっかぁ……。ウィスタリアちゃん、看板娘なんだねぇ。」
「『自称』看板娘です♪」
「そこは譲らないんだ……。」
「まだアルバイトの段階ですから♪」
「『まだ』……?」
「……………………、」
ウィスタリアはフリーズすると、脂汗をかいて目を逸らした。
「聞き流した方が良い?」
「……オネガイシマス。」
・・・・・・。
「接客業って大変じゃない?きはだちゃんには到底無理だなぁ……。」
「そうでしょーか?人生相談とか聞いてくれそうで、きはださんのお店なら足繁く通いたいと思いますけど♪」
「お金取れると思う?」
「今日、わたくしはもう貢ぎました!」
「ピザまんありがとねぇ。」
「えっへん♪」
「う〜ん……、」
「どーしました?」
「ウィスタリアちゃんは、わたしが店員さんなら良いって言ってくれたけど、わたしはウィスタリアちゃんがお客様なのも店員さんなのもちょっと嫌なぁって……。」
「な……何故だッ!?」
「ときどきマンガ口調出るよねぇ。」
「これは気にしないでください。」
「おおう……。」
「……やはり、キハダさんに言わせれば、わたくしもまだまだ接客スキルが足りていないと……。」
ウィスタリアはがっくりと肩を落とした。
「いやぁ……ウィスタリアちゃんとはこうしてピザまんでも食べてベンチで駄弁るような、今の関係が好きだなぁって。」
「……。」
一筋の涙がウィスタリアの頬を伝った。
「ウィスタリアちゃん……!?」
「すみません、キハダさん……。」
ウィスタリアはベンチから立ち上がった。
「また明日……、駄弁りましょう♪」
「え、もう帰っちゃうのぉ?何か不味いこと言っちゃったなら謝る
「いえ。キハダさんはいつだってわたくしが1番欲しい言葉をくれるお方です。……小憎たらしい程♪」
「使い方間違えて
「ませんっ♪」
ウィスタリアはきっぱりと言い切って見せた。
「…………そっかぁ♪」
「明日はキハダさんの奢りですからね?」
「ピザまんでいい?」
「はい♪キハダさんとなら、毎日だって食べたいです……♪///」
「飽きないねぇ……。」
「……。よく言うじゃないですか、毎日味噌汁作ってくれ〜って。」
快晴の笑顔で話していたウィスタリアの表情が少し険しくなった。
「味噌汁じゃないしアレはプロポーズだよぉ……。」
「はいはい、また明日……!」
ウィスタリアは大袈裟にプイッとそっぽを向いて公園を去って行った。
「何だったんだろう……?」
きはだはウィスタリアの背中が見えなくなると、ぼんやりと遠くの空を見上げた。
「……ま、明日聞けばいっかぁ♪」
ウィスタリア、きはだ(2)
ウィスタリア:きはださん!
ウィスタリア:どうしましょう!?
ウィスタリア:試験の日に来ていく服がありません!?
きはだ:うんうん、簡潔に要件伝えられて偉いねぇ
ウィスタリア:真面目に聞いてくださいよ〜!?
きはだ:私服で良いんじゃなかったのぉ?
ウィスタリア:だから困ってるんです〜!
きはだ:こないだの探偵服でいいじゃない
ウィスタリア:いや、その……
ウィスタリア:2回も着てったらわたくしの印象が『探偵の子』になっちゃいませんか……?
きはだ:いーじゃない
ウィスタリア:よくありませんっ!?///
きはだ:んじゃ、テキトーにフォーマルなので済ませばぁ?
ウィスタリア:なめられませんかね……?
きはだ:なめるも何も、当日は先生くらいしか会わないよぉ
きはだ:私服なんてあんまり見ないと思うよぉ?
ウィスタリア:そーでしょーか……
きはだ:ウィスタリアちゃんのセンスは壊滅的ってわけじゃないし、大丈夫大丈夫♪
ウィスタリア:良いとは言ってくれないんですね?
きはだ:だっていっつも何かしらのコスプレなんだもん
ウィスタリア:いーじゃないですか!今日着た保健室の先生コスだってイケてましたよね?
きはだ:公園で白衣は浮いてたけどねぇ
ウィスタリア:なんで言ってくれなかったんですか!?///
きはだ:もう慣れちゃったし今さらでしょ〜
ウィスタリア:なるほど
ウィスタリア:わかりました
きはだ:なんだいなんだい?
ウィスタリア:そんなに言うならきはださんのセンスとやらをわたくしに見せてもらいましょーか
きはだ:見せるってぇ?
ウィスタリア:土曜日、私のお買い物にお供してください
きはだ:はい、よく言えました
ウィスタリア:な、何ですか急に!?///
きはだ:最初から一緒にお出かけしたいって言えば良いのに
ウィスタリア:そんな、まるでデートしたいみたいな……!///
きはだ:いっつも外で待ち合わせしてるし今さらじゃない?
ウィスタリア:はいはいそーですね
きはだ:いじけないでよぉ〜
ウィスタリア:9時にいつものベンチで会いましょう
きはだ:は〜い♪
きはだ:おやすみぃ
ウィスタリア:良い夢見ろよ!
「…………これは、デート…………?」
ベッドの上でイモムシのように布団にくるまったウィスタリアはPINEのトーク履歴をスワイプして唸った。
「『今さら』ってことは……キハダさんは毎日デートだと……。」
「……フフ♪///」




