第9話 謎の出会い
レンたちは脱出も目指し水道管へ戻ってきた
水道管に静けさが戻ったのも、ほんの束の間だった。
どこか遠くで、金属を引き裂くような不快な音が響いた。
それに続いて、重たい蒸気の唸り――ミストリアクターの駆動音だ。
⸻
レン(身構え)
「来たか……あの装甲兵の音だ。
教団の兵、ここまで追ってきたんだ」
リリィは目を閉じ、しばらく集中するように息を止めた。
やがて、彼女の唇がわずかに震え
「一人じゃない。三人……それに、
……何か、獣みたいな気配も……」
扉の向こうから、蒸気がじわりと漏れてくる。
レンは装備アクアリヴァースの蒸気弁をひねり、水圧を高めた。
シューーーッ……!
膨張する圧力と共に、装甲の関節部に水が巡る。
*
壁が破られ、二体のミストリアクター兵が現れる。
彼らの背後から這い出してきたのは、腐水で変異した獣型モンスター《クラックル》。
皮膚の下に水泡が脈打ち、怒りと毒気を孕んだその体はまるで“水そのものの憎しみ”。
レン(歯を食いしばり)
「……っ! ここで止めないと、リリィを危険に晒す……!」
アクアリヴァーサーの力を手に入れたことによりレンは水圧を利用した技
水圧開放プレス・バーンを放つ
水を噴き出し、蒸気と圧力で敵を弾き飛ばす。
だが、死水獣はレンの攻撃を吸収するように身体を膨らませ、さらなる猛攻を仕掛けてくる。
そのとき――
カンッ!
乾いた音と共に、死水獣の肩から水が噴き出した。
直後、屋根の上から何かが滑り落ち、鋼の足音と共に現れた。
???(女の声)
「蒸気と水を混ぜるなんて、よくもまあ器用な装備だな。
おかげで熱源がよく見える」
そこに現れたのは、茶色いロングコートに身を包んだ女性スナイパー。
肩には小型のドローンのような照準機を載せ、手には蒸気式ライフルを構えている。
レン(驚きながらも)
「誰だ……?」
謎の女性は片目を細めて微笑する
「“風の都市”の気流観測員……まあ、今は亡命中だけどね。
名前はイオ。あんたら、上に行く気だろ? そのつもりなら――少しだけ手を貸してやるよ」