第7話 霧式水装甲《ミストリアクター》
「よし‼脱出するぞ‼」
リリィを背負い、廃棄された水道管を進んでいく
薄暗く、霧が充満した忘れ去られた水道管を進んでいく
「…そこを左に…」
彼女は俺と同じ‘‘特別な水の力‘‘を持っている。
彼女は水鏡視界ハイドロスコープという‘‘清水‘‘を通してすべてを見ることができるという力を持っていた
彼女はこの力を通してこの都市全体を観察し、脱出の計画を練っていたという
「ここを上って‼」
彼女は濃い霧の中、明確にどこかに向かっていた
彼女曰く脱出の一番の障害は先ほど言っていた霧式水装甲ミストリアクターだと言う
「止まって…」
彼女が静かに言う
「‘‘奴ら‘‘のお出ましよ…」
レンの背中に寒気が走る
霧の奥、金属がきしむ音
そして‘‘奴ら‘‘は現れた
霧式水装甲ミストリアクター
それは人型のようで人ではない。
全身に水蒸気をまとい、
手には大きな斧が握られていた
胸部に‘‘蒼白く脈打つコア‘‘が不気味に光っていた
関節からは水蒸気が絶えず噴き出す
「水源体逃走者、発見。始末する」
キィィィィィィィィン!!!!!
おぞましい音を立てながら胸部のコアが強烈な光を発し
ものすごいスピードで突進してくる
「右に避けて‼」
彼女に言われるがまま慌てて右に体を動かした
間一髪のところで斧の一閃を回避する
しかし、バランスを崩しリリィが肩から手を放してしまう
「大丈夫よ、それよりレンはあいつに集中して。思い出して奉水装置を壊した時のこと」
あの時のことはよく覚えている。水が僕に手を貸してくれたのだ
水があるなら、圧をかければ破れる。
レンは静かに手を広げた。
周囲の霧、床を濡らす水滴、そしてミストリアクターの冷却装置から漏れる細い水流――すべてが、わずかに振動していた。
「“圧縮”する……!」
ミストリアクターが突進してくる。
(奴の装甲内部の水を…)
水の圧縮を解放した。その瞬間
金属の装甲が音を立てて膨れ上がり――内側から破裂した。
水が爆発のように吹き上がり、床に転がった機械の残骸がまだ蒸気を漏らしていた。
ミストリアクターは沈黙した。
リリィが「あなたならできるってわかってた」と言う
レンは自分自身の力の強大さに呆然としていた
■ 霧式水装甲
◉概要
《ミストリアクター》は、水の教団が開発・独占する死水蒸留変換装甲であり、アクアリヴァーサーの設計図を模倣して製作された。。死水をエネルギー源として使用し、蒸気と霧を応用した複合兵装で、装着者の肉体能力を強化しながら戦闘や監視任務を可能にする。
装備者の主な任務は、**水を生み出す者たち**の護衛、捕獲、そして上層への“奉水”の監視である。
◉構造
形状:
上半身を中心に装着する半装甲式。金属と黒革の混合で構成され、背部には蒸気を放出するリアクター機関が内蔵されている。顔は露出しており、識別と教団への忠誠の証である仮面(儀式用)を状況に応じて着用する。
素材:
死水耐性金属《マール鋼》を基盤に、教団の蒸留技術によって加工された特殊防毒素材を使用。死水の毒素を中和・蒸留し、内部タンクに「霧化水蒸気」として貯蔵する。
◉機能
霧圧強化
霧状の死水蒸気を放出して周囲の視界を遮りつつ、自身の筋出力と反応速度を大幅に上昇させる。短時間のブーストで、高速移動や跳躍が可能。
高圧放水
前腕部に内蔵されたノズルから、高圧水流を撃ち出す攻撃機能。至近距離では鉄をも貫き、建造物や装甲を破壊する威力を持つ。
蒸気閃光
一時的にリアクターの蒸気出力を急上昇させて爆発的な蒸気閃光を放出。目眩ましや狭所での離脱に使われる。
濾過逆流
死水の毒素を再吸収・逆流排出する機能。毒素環境に順応する者(たとえばレンのような存在)に対しては、限定的に“毒霧”として使うこともある。
◉階級制限と信仰
この装備は教団の上位聖兵のみが使用を許されており、第2層以上の者にしか正式な装備権限がない。
水の神の蒸気循環の象徴とされており、装着時には小さな儀式(教義の詠唱)が必要とされる。
清水者を“守る”という名目だが、実際は監視と制御が主目的であり、護衛兵の役目を越えて彼らを“聖なる奉仕装置”と見る思想が根底にある。
◉運用の実態
戦場では主に源水体の奪還作戦や反教団勢力の鎮圧に用いられる。
装備には操縦者の「精神負荷」が高く、長時間装着すると蒸気熱と毒素が身体に悪影響を与える。ゆえに選ばれた者しか装備できない。
教団はミストリアクターを「アパスの恩寵の外殻」と称し、一般民衆の目にはまさに“神の兵士”として映る。




