第三話 死水、、、?
「、、、きろ!!起きろ!!」
痛い
「奉水院様の御前だぞ」
目を開ける
ここは?
見たことのないようなきれいで清潔な空間が広がっていた
「おはようレン=グラス君」
「なんなんですか?僕を無理やり捕まえて」
声は広い空間に吸い込まれていった。天井は高く、壁は青白く輝いていた。だがそれはただの光ではなかった。壁の内側で、何かが流れていたのだ。
見たことのないような恰好をした変な人がいた
「君を捕まえたのは他でもない、私たちに清水きよみずを献上するという素晴らしい役割を与えるためだ」
(清水、、、聞いたことない言葉だ)
「、、、なんだそれ?」
「そうか、知らないか、無理もない
まず第一にお前ら低層民が水だと思って飲んでいる物はこちらでは‘‘死水ダイド・ブルー‘‘と呼んでいる。あれは水とは言えない。死んでいるようなものだ」
あの老人の言葉を再び思い出す
「第二にお前の体の中には血ではなく清水が流れている。お前は特別なのだ精霊から選ばれた存在なのだ‼」
まったく意味が分からない
何もわかってなさそうな僕を見て変な服を着た変な人は怒ったように言った
「おまえには死水を浄化する能力がある。その能力を使って私たちに清水を届ける生物汚水フィルターになるんだよ!」
「……なんだよ、それ……」
レンは口の中がからからに乾くのを感じながら、立ち上がろうとした。
だが、足に力が入らなかった。頭が重い。
背中が硬い金属に打ち付けられている感触がある。
どこかに拘束されているのだとようやく思い出した
「、、、フッ 連れていけ」
*
奉水院
分類:宗教的・政治的複合施設/上層権力機関
役割:清水の管理・供給と、そのための“奉水者”運用
概要
階層都市の上層部に位置し、濁った「死水」が当たり前の下層とは異なり、奉水院内部は常に清潔で白く輝く環境に保たれている。
内部の壁面や天井には青白い光を放つ流体が循環しており、それが“清水”そのものであるとされる。
奉水院は宗教的象徴でありながら、同時に高度な機械文明の象徴でもある。
権力構造
奉水院長:清水の神意を代弁する最高権威者。民衆には「神の声を聴く者」とされる。
奉水官:清水の管理、奉水者の監視、儀式の執行を行う。レンを捕らえたのもこの層の人間。
護衛兵:武装し、下層からの逃亡者や反乱者を抑圧する役目を持つ。