第22話 アグニ
汽車が長い悲鳴を上げて停車した。
鉄と灰の匂いが鼻を刺す。レンとイオは、貨物用の輸送列車の最後尾から、静かに身を滑らせて降り立った。
——ここが、炎の帝国アグニ。
足元の大地は赤く焼け、ところどころに走る亀裂の隙間から、熱気が淡く立ちのぼっていた。遠くには巨大な熔鉱炉の塔が何本もそびえ、まるで都市全体が燃える心臓の上に築かれているようだった。
水の都と違い、ここでは空が開けている。太陽は鋭く、乾いた風が吹くたびに、瓦屋根の赤土が舞った。
イオは帽子のつばを軽く押さえながら呟いた。
「……懐かしい匂い。ヴァーユと似てるけど、こっちはもっと生々しいわね」
「空気が重い……けど、生きてる感じがする」
レンは息を吐きながら、眼前の街並みを見渡した。道の両脇には熾聖院の紋章を刻んだ石碑が並び、その周囲を赤衣の修道兵が行き交っている。
アグニの街は、信仰と産業が一体となった国だった。
“火は清め、光は真実を映す”。それがこの国の教えだという。
「この後はどうするんだ?この国のことまったく知らないぞ」
「んー私は教育受けててまあまあ知ってはいるけどね」
レンが不安そうな目でイオを見つめる
イオが微笑んで言う
「風の国が水の国だけに使者を送ってるんだと思ってたの?」
「ってことは、この後は……」
「そう!風の国の仲間に会いに行くわ」




