第10話 風の民イオ
イオ…と名乗るその女性は今まで出会ってきたどんな人とも違う雰囲気を発していた
「お前を…信用できるのか?」
アクアリヴァーサーの水圧を高める
「君たちを助けた、それにこの後も助けてあげるよ」
「何か目的があるのか?」
「ん~君たち多分6層以下から来たでしょ?実は私、風の都市から水の都の内部調査として来てるの。人を媒介にして清水を作り出す装置とか、この都の歴史とか、
結構激ヤバ内部事情だね‼」
よくしゃべる人だ
(本当に信用できるのか)
レンが判断に迷っていると
「ねぇレン私は信用してもいいと思うの、境遇は違えどもここから脱出するという目的は一緒だからね」
「お‼そこの少女いい判断力だねぇ」
「……時間もない…行くぞ!」
*
イオは手早く周囲を確認しながら、レンたちを視線で促した。
「こっちだ。あんたたちが来たルートはもう封鎖されてる。
でも、私が潜入したのは“調整用の旧水道層”。下水より下の、誰も使わない穴だ」
リリィは一瞬顔をしかめるが、すぐにうなずいた。
「……水は、そこから上に伸びてる。抜け道になるはず」
3人は薄暗い水道管の迷路を進む。
内部は冷たく、蒸気ではなく“静止した水”の気配が漂っていた。
レンは時折、装甲を操作して霧を発生させ視界を確保する。
リリィは水の流れを読むことで、敵の接近をいち早く察知している。
だが――
ズゥン……ズゥン……
地鳴りのような音が近づいてきた。
旧水道層を住処とする巨大昆虫型の魔獣、**《ダクティラ》**が姿を現す。
全長10メートル、死水を身にまとう硬質な殻と多数の足を持ち、空間そのものを壊しながら突き進む。
イオの舌打ちが聞こえる
「……やなもんに目をつけられたねぇ。
こいつ、蒸気じゃまともに貫けない」
レンは《アクアリヴァース》の力を使い、装甲に溜め込んだ水を高速圧縮を一気に
‘‘斬撃‘‘として解放する技――「霧圧変換斬ミスト・リバース」を繰り出す。
ゴォォッッ……!
巨大な刃のような霧が、ダクティラの節を切り裂く。
だが、まだ倒れない。
リリィの瞳が一瞬だけ光を放つ。
水を通して見たダクティラの体内、その中心部に不規則な回転を続ける“核”のようなものがあった。
「レン、あそこ。胸部節の内側に……毒核がある。そこを壊せば、終わる」
イオが照準を合わせ、タイミングを計る。
レンが飛び込む直前、蒸気式スナイパーライフルの一撃が毒核の位置をわずかに露出させた。
レンが蒸気圧で加速し、核へ向かって一点突破する。
――ゴンッ!
霧と水の刃が炸裂し、ダクティラは悲鳴も上げずに崩れ落ちた
「やったね!この3人いいコンビじゃん!」
レンはイオの洞察力、判断力は自分たちに大きな力を与えるかもしれないと思った
「さぁ!次の層はもうすぐだよ!!」
「ねえ、レン私だいぶ回復してきたからもう歩けるよ」
次の舞台は第二層ルキナ・テラスである




