首領(ドン)パチ
「このゲームで対決しよう」
身なりの良い男が提案した。
「ああ、いいとも」
軍服の男が応える。
二人はそれぞれコントローラーを手にして、画面を注視する。
そのゲームは、国を選んで天下統一を目指す、戦略型シミュレーションゲームだった。
軍服の男は軍備を整えて強い軍隊を作り、武力を持って勢力を拡大していく。
身なりの良い男は、巧みな外交と経済支援で周辺国と同盟を組んだり、傘下に置いて勢力を拡大した。
そしてゲーム内の勢力図は、身なりの良い男の勢力と軍服の男の勢力に、二分された。
一進一退の攻防が続き、だんだん現実でも互いを罵倒するようになった。
やがて業を煮やした二人は、コントローラーを置いて、顔を突き合わせて言った。
「「埒があかねぇ! 現実で決着をつけてやる!」」
こうして二つの超大国は、戦争へと向かっていった。