第2話 封じられた扉
皆さん……新年あけて1週間以上経ったってマジですか??
結は一瞬、目の前の男性を見つめた。
「あなたが……天野梓…?」
言葉が口から自然にこぼれた。背後の薄暗い図書館の中、静けさが一層際立っている。
「ああ、私は天野梓。あなたの記憶を取り戻す手助けをする者だ。」
梓はそう言って、結に近づいた。
彼の表情には不思議な静けさがあり、どこか安心感を与えるような雰囲気を持っていた。
「記憶を……取り戻す?」
結はまだ信じられない様子で呟く。
自分の記憶が失われていることは、ずっと感じていた。
でも、まさか誰かに取り戻してもらえるなんて、考えもしなかった。
「はい、あなたの記憶は封じられています。あなたが本来知っているべきことが、今は分からなくなっている。」
梓の言葉は、結の心に深く響く。
その言葉には、ただの冗談ではない何かが込められているように感じた。
「私の記憶が封じられている?」
結は小さく呟きながら、何度もその言葉を繰り返す。まるで自分の中でそれを確かめるかのように。
「そうです。私たちは、あなたの記憶を取り戻すために、ある場所に行かなければならない。」
梓は、結に向かって手を差し伸べた。
その手は冷たく、けれどもどこか温かみを感じる。
「場所…?」
結は迷ったようにその手を見つめたが、何かに引き寄せられるように、ゆっくりとその手を取った。
「行こう。」
その言葉に促されるまま、結は天野梓と共に図書館の奥へと進んでいった。
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図書館の中はますます静かになり、足音だけが響く。
結は、周囲の本棚を見上げながら歩いていた。
どの本も、どこか古びた印象を与えるものばかりだ。
長い間誰も手をつけていないような。
そんな雰囲気が漂っている。
「ここが…あなたの記憶に関わる場所。」
梓が立ち止まり、目の前の古びた扉を指差す。
結はその扉を見上げた。
その扉は、何か不思議な力を持っているように感じられた。
どこか引き寄せられるような、抵抗できないような、そんな感覚に包まれていた。
「この扉を開けると、あなたの封じられた記憶にアクセスできる。しかし、それは簡単なことではない。覚悟を決めて入る必要がある。」
梓は静かにそう言った。
「覚悟…」
結は少しの間、その言葉を反芻する。
自分の記憶を取り戻したい。その気持ちは強い。
しかし、そこにどんな秘密が隠されているのか、どんな真実が待っているのか、それを知らずに扉を開けるのは怖かった。
「でも、進まなければ分からない。私の記憶は、私自身を知るための大切な部分だから。」
結は自分を鼓舞するように、ゆっくりと息を吸い込んだ。
「行くわ。」
そう決意したその瞬間、結の手が自然に扉に触れた。
扉は重く、冷たい金属の感触が伝わる。結は少し力を入れて押すと、扉がゆっくりと開いた。
その先に広がっていたのは、予想していたものとは全く違っていた。
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扉を開けると、そこには無数の光が浮かんでいた。それはまるで、星空のようだった。
結はその光景に圧倒され、思わず足を止める。
「これが…私の記憶…?」
「そうです。あなたの記憶は、こうした無数の光のように、散らばっています。それぞれがあなたの過去の出来事、感情、思い出を象徴しています。」
梓の声が、結の耳に届く。
「この中から、あなたが失った記憶を取り戻すことができる。しかし、それには試練を乗り越えなければなりません。」
結はその言葉に思わず息を呑んだ。
試練…?
「あなたがその記憶にたどり着くためには、まずその記憶を守る力と向き合うことが必要です。」
梓はさらに続ける。
「そして、この場所では、あなたの中に隠された真実が試される。それがどんなものかを、あなたが受け入れられるかどうか、それが一番重要です。」
結は深呼吸をして、ゆっくりと足を踏み出した。
光が道のように続いている。結はその道を進むことを決めた。
「私、きっと…真実を知りたい。」
結はそう心の中でつぶやきながら、光の中へと歩みを進めていった。
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その瞬間、結の周囲の光が次第に暗くなり、無数の影が浮かび上がる。
「これは…?」
結はその影に一歩踏み出すと、ふと目の前に自分の過去の記憶が現れる。
それは、幼い日の自分と母親が笑っていた思い出。しかし、すぐにその光景は歪み、次第に消えていく。
「な、何これ…?」
結は驚き、足を止めた。
記憶が過去と現在、未来の間で揺れ動きながら、目の前に現れては消える。
その中で、結は一つの真実に近づいていくのだった。
(たぶん)続く
皆さんもこまめに体動かすようにしましょう。
私は腰がつりそうです。