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第1話 記憶の扉

LeN:(れに)です。

挨拶代わりに小説どーんです()

気ままに続編あげます。




朝。



目が覚める。



いつもと変わらない。



穏やかな日常がそこにあった。




---




目を開けると、見慣れた天井が視界に広がる。


部屋の隅に積まれた教科書、窓際のカーテンがわずかに揺れる音、机の上に散らばったノートの束………すべてが見慣れた景色だ。




けれど、




その中にどこか違和感を覚える。




「今日は……何か違う。」


目を閉じて、深く息を吐く。


無意識に動かす手のひらは、布団の感触を感じる。

それと同時に、思い出せない何かがあった。




記憶の隙間――そこに、空白が広がっている。




---




記憶が欠けている。




それは、ここ最近ずっと感じていたことだ。

過去に何があったのかを思い出せない。

どうしても、重要な部分が浮かんでこない。


「どうして、私の記憶はこんなにも薄いんだろう。」


自分の名前は、間違いなく覚えている。「月島結つきしま ゆい」、16歳。

それはまちがいないはずだ。


けれど、それ以上に重要なことが浮かばない。


家族の顔も、どこで育ったのかも、友達との思い出すらも……すべてがぼやけている。




---




昨日の出来事は思い出せない。




それが一番不安だった。

昨日、何をしていたのか。

どんな一日を過ごしていたのか。


記憶に残らないことが、逆に恐ろしい。

それが、結の不安をさらに深くしていた。


「いいや、考えても仕方ない。」


結はそう自分に言い聞かせて、布団を跳ね除け、ゆっくりと起き上がった。


ベッドサイドに置かれた時計が、時刻を告げる。

朝7時、ちょうどいい時間だ。今日も学校に行かなければならない。


机に向かうと、目の前の教科書が並んでいる。全く記憶が戻らない。昨日、何を勉強したのか、どんな課題に取り組んだのかが、まるで思い出せない。


「どうして…」


結は呟く。机に顔を伏せ、手で顔を覆う。


そのとき、ふと気づく。


「何か、変だ。」


机の上に置かれたスマートフォンが、いつもと違っている。

普段は自分から手を伸ばさなければならない距離に置いていたはずなのに。


今は目の前にぴったりと置かれている。


「どうして…」


自分が触った覚えもないのに、画面に明かりが灯っている。


画面に表示されていたのは一通のメールだった。


件名は、




「あなたの記憶を取り戻す方法」。




思わず手が震えた。


結はその瞬間、違和感を覚えた。

送り元も、何もない。必要最低限の希薄な文字。

誰から来たのか、何が書かれているのか。それがとても気になった。けれど、心のどこかで警戒心が芽生えていた。


「また、迷惑メールか?」


そんなふうに考えながらも、結は思わずそのメールを開いてしまった。



---


メールにはこう書かれていた。


---


「あなたの記憶は封じられている。真実を知りたければ、私に会いに来い。」


---



詐欺かなんかか。普通ならそう一瞥するだろう。だが、その言葉を目にした瞬間、結の心臓が大きく跳ね上がった。まるで全身の血が逆流したような感覚に包まれたのだ。


「封じられている?」


結は自分の記憶が封じられているなんて考えもしなかった。しかし、何かに引き寄せられるように、思わず続きの文章を読んでしまう。



---


「私の名前は天野梓。あなたの記憶を取り戻すために、来るべき場所を教えます。明日の夜8時、裏の古い図書館でお会いしましょう。」


---



「天野梓?裏の古い図書館?」


結はその内容に心の中で疑問が湧き上がる。普段、そういったメールに返信することはないが、なぜか今回は違和感を感じない。むしろ、何かが呼んでいるような、強い衝動を感じる。


「行くべきか…?」


結は一瞬、迷った。


けれど、その瞳にはすでに決意の色が宿っていた。




---




その日は、結は学校に行くことなく、家に引きこもっていた。まるで何かに導かれるように、その日が来るのを待ち続ける。


夜、時計の針が8時を指すと、結は身支度を整え、家を出る。


外は冷たい風が吹いているが、彼女の心は熱く燃えていた。


「何が待っているんだろう…。」


結は胸の中で繰り返す。その疑問が、答えを求めていた。




---




図書館の前に到着した結は、薄暗い灯りが灯るその場所に立ち、足を踏み入れる。


「ここか…?」


ドアを開けると、案の定、中はひんやりと冷たい空気が漂っていた。


しばらく歩いていくと、背後から声が響く。


「あなたが月島結か?」


その声が背後から響く。結は急いで振り返ると、そこに立っていたのは一人の女性だった。彼女の目は真剣そのもので、どこか不思議な雰囲気を放っていた。


「あなたが……天野梓…?」




(たぶん)続く


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