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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

教えて

作者: ハツカ


教えてくれますか



詰まった言葉の、伝え方を



「なんでなにも言わないの」


冷たい目で見降ろすその人の顔を、どうしても見ることができなかった。

ぎゅっ、と自分の服の裾を握り、唇を噛み、静かにうつむく。

きっと、この人から見たら、なにを言っても口をきかないクソガキに見えてるんだろう。

僕だって言いたい。そうじゃないって、違うって。でも、何を言ってもこの人には届かない。誰にも僕の声は届かないんだって。だから、何を言われたってぐっと飲み込む。


「いい加減時間の無駄なんだけど。ねえ」


もっともだ。だけど、じゃあ、どうしてこっちの言い分を聞いて、理解せずに怒るの。

あなたの言い分だと、聞くだけ聞いて理解しないのはは、もっと時間の無駄なんじゃないの?

どうしてそんなに怒るの。どうして。どうして……



「こっちはお前が心配なんだよ」



しんぱい……しんぱい?…心配?

そっか、心配して、怒ってくれてるんだ。へぇ。ふぅん。そぉ

じゃあなんで聞いてくれないの。なんで理解しようとしてくれないの。なんで、なんで、なんで……

おかしいだろ。許せないだろ。


「何その目」


さらに冷たくなるその目が、僕を恐怖に陥れる。

背筋がゾッとして、筋肉が硬直する。身体が、小さく震えて、体が痛い。


「……さい」

「なに?」

「ごめんなさい」

「何に対して?」


ごめんなさいと謝っても、追及が始まる。いつまで経ってもそれの繰り返し。

ようやく解放された、と一人になれる場所へと移動する。

じっと隅に蹲って、そっと目を伏せる。


「ぁー、死にたい」


薄暗い部屋の中、ポツリと呟いた言葉は、虚空に消えた。










こうして俯瞰してみると、どうにもおかしい。


なぜちゃんと聞いてやらないのかと疑問が湧いてくる。


言わない?言えないんだよ。不快な態度?そりゃそうだろ。不満ばかりだろうよ。


恐怖に支配され、足がすくんで動かなくなって、死にたい欲に動かされなければ死にに行くことすら叶わぬ。人を恐れ家に籠れど帰る者に怯えてばかり。音に敏感になって、静かな場を好むようになったというのにいざ無音になれば寂しいと音を求め、人が欲しいと望んで人が嫌いと突き飛ばす。


きっと人はこのような人を臆病だ、自己中だというのだろう。


しかしそれがなんだ。それは悪いことなのだろうか。


臆病や自己中が産まれるということは、臆病や自己中が産まれるような環境が巣くっているということだというのに誰も気づかぬまま上辺を救って気味悪がる。救ってほしいと望んでも、皆気味悪がって身を引いていく。


それに、なんの生産性があるのだろうか。




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― 新着の感想 ―
[一言] そんなにも自殺者が多いのですか...。一日に60人自殺していることになりますよね。 この数をどうにかして減らしたいものです。
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