閑話⑪ 呼ばれたものと巣食うもの
「この子の七つの お祝いに!」
まるでディルに対して悪態をつくような口の動かし方と表情で、学長はまた何かを唱える。
「ははは!これで貴様もあの小娘のように動かずの呪いの影響下に入った!この戦い、我の勝ちだ!」
学長が自身を罵っているのかと考え、自分の勝利を確信したのかディルはその呪いについて話し始める。
「これは我が覚醒者となり、ロキ様の配下となったその時に我のために用意してくださった呪いなり!これこそが我が他の者より気にかけてくださっている証拠であり」
そういうディルに対して学長は嘲るような表情で
「お札を納めに まいります。」
という。いまだディルは音が聞こえない故に表情から読み取った嘲りの感情に怒りを覚え、学長を蹴る。
「貴様!我を愚弄するか!」
それに対し、学長は、気が狂ったかのように笑い始める。
「ははははは!ディルよ!そろそろ聞こえる頃だろう?」
「なんだと・・・?本当に聞こえるではないか。ふん!ちょうどいい。遺言を聞いてやろう」
そうディルは勝利を確信したかのように学長に言う。
「遺言?馬鹿を言うな。それは貴様の方ではないか?」
「何を・・・」
体の自由が利かず、明らかに不利な状況のはずなのに強気の学長に対してディルが怪訝な表情をするが、不意に重圧がこの空間を支配する。
「!?なんだ、これは!貴様、何をした!」
「あぁ、呼んだのさ。私が、私の命の危機に陥った場合1度だけ助けるという契約を結んだ存在をな。」
「っち!呪術師を甘く見たか・・・だが、どのような相手であろうと」
滅ぼしてくれる、そう言おうとしたディルに雷が落ちる。
「がはっ!?な、なんだこれは!ただの自然現象で我が傷つく!?」
はずがない、そう言おうとしたディルに再び雷が落ちる。
「がぁぁ!?」
「はは、教えてやろう。私が呼んだのは、雷神だ。」
それと同時に今までで一番大きな雷が落ち、ディルの顔が真っ青に染まる。
「神だと!?この国における神は、強大な力を持つ存在であろう!?なぜそのような存在を貴様が!そして、どのようにして!」
「あぁ・・・?ま、教えてやるよ。冥土の土産ってやつだ。複数の大妖怪と雷神が戦闘し、敗北寸前の雷神を助け、命の恩は命を助けることで返す、そういわれただけの話。わかったか?ロキ」
その言葉を聞き、ディル、いや、ディルの体を操っていたロキが驚愕の表情を浮かべる。
「!?・・・気付いていたのか。」
「当然だろう?1年近く一緒にいた阿呆の魔力を見て気付かない方がおかしい。どうせそいつも傀儡の一人だろう?1人を維持するだけでも苦労するというのに、複数人を傀儡にするとは、ご苦労なことだ。」




