決行前夜⑥と慌ただしい男。
この話は時系列の都合上ここに入ります。割り込みミスなどではありません。
プルルルル、という音が、男が1人だけ眠っている静寂な部屋の中に響く。
「んあ?電話か?」
どうやらそれは電話の着信音のようで、ベットの中で微睡んでいた男は枕元のスマホに手を伸ばす。
「誰だよ全くこんな時間に・・・あ?りゅーさん?仕方ないなぁ。」
ピッという音とともに、通話が始まる。
「はーい、こちら粕窪、こちら粕窪。非常に眠いので要件は5分以内に・・・ん?明日勤務終了後の予定?ないけど・・・はぁ!?全速力で飛んで鮮色に向かえって、そんな無茶な・・・ん?お嬢ちゃんたちが危ない?しかもしんさんのことを思ってくれてる話題の少女が一緒にいるかもしれない?んじゃしんさんが守れば・・・あー、ダンジョン解放連盟か。それなら仕方ないな。こーあんじゃ無理なん?・・・なるほど、攻撃力が足りなくて押し切られるかもしれない、と。しゃーない、全速力で飛んでいくよ。多分5分もかからないはず。・・・うん?うん、そうそう。また早くなった。にしても、そんなに危険なのかな?推定レベル530以上?幹部が全員そのレベルなら神名さんはちと・・・あぁ、そういえば神器渡されてたな。・・・あ、そうなの?一番レベル低くい少女を当てるから問題ない?それ、あのたらしなら別な心配がある気がするな。それにイレギュラーが・・・あ、そう、イレギュラー対策にアレ持たせてあるのね。んじゃいいか。苦労するのは後々の神名さんだし。はーい、了解。んじゃまた~あ、壊滅させた後宴やる?んじゃそん時に~」
ピッという音とともに通話が終わり、粕窪はスマホを元の場所に戻し、
「・・・過労じゃね・・・?」
とつぶやき、眠りについた。
その電話から8時間経った午前8時30分、粕窪は起床し、札幌にできたS級ダンジョンに潜り、間引きを行っていた。
「あー、めんどくさ。せめて誰かほかに一緒に潜る人が欲しいわ・・・まぁ、パーティで動くと各地の間引きにかかる時間が6倍近くになるから仕方ないが・・・」
愚痴を言いながらも本日のノルマである1000匹を達成すべく狩り続ける。
3時間後
「いよっし!1000匹目!さっさとフロアボス〆て戻るか!もしかするとこーあんが死にかけてるかもしれんしな!」
25分後
「あ”ー・・・まさかのイレギュラーでS+級とか・・・このままベッドに倒れこみてぇ・・・いや、これ、この後飛ぶ原因になったディルとやら木っ端みじんにするしかないだろ・・・んじゃ、俺やることあるからあとよろしく!鮮色区にいるからゆっくり来いよ!」
そう言いながらダンジョンから出てきた粕窪は漆黒の翼を広げ、飛び立つ。
「加・速!」
その声とともに速度が上がり、ダンジョンの入り口付近には激しい風が吹き、後から秘書に小言を言われることとなったのである。




