第10話 その悪は誰の悪?
「全く嬢ちゃん随分と物騒な技をためらいもなく・・・まぁ、育った環境が環境だし仕方ないっちゃ仕方ないんだが・・・」
「ふざけるな!魔力操作:暴風魔法Lv3 テンペストアロー+暴風魔法Lv8 テンペストストーム 増幅=テンペスト・アロー・ストーム!」
「はっ!」
「なっ!?あの数を槍で切り払うなんて!そんな馬鹿な・・・」
「はっ!このくらいやってのけて見せるさ!」
「馬鹿にして・・・!」
その後、パズズはMPが尽きるまで魔法を放ち続けたが、神名は宣言通り一切の攻撃をすることなくしのぎ切った。
「な?言ったろ?俺は嬢ちゃんに攻撃しねぇよ。だからよ、俺の話をちょっと真剣に・・・」
「うるさいうるさいうるさい!あの人は正しくて私たちの恩人で、悪事を働くだなんて、あり得ない!切り裂け、神器・意志ある剣!」
パズズが投げた剣が一人でに動き出し、神名に切りかかる。
「うぉ、あぶね!剣を撃ち抜け、閃光の槍!」
神名はもともと持っていた煌めく槍でもってパズズの槍を縫い留め、パズズに話しかける。
「嬢ちゃん、気付いてたんだろう?あいつが正義などでは無い、ということを」
「・・・えぇ、そうよ。私はとっくに気付いてた。でも、私にはあの人しかいないのよ!家族は皆死んだし、すでに私の手は汚れている!こんな私の居場所は、あの人の隣しかないのよ!それを、邪魔するなぁ!神器・意志ある剣!」
パズズはそう叫ぶと、剣を手にし、切りかかる。
「よっ、ほっ、はっ!んじゃ、俺が、嬢ちゃんの居場所を作ってやるさ!俺のパーティーに入れよ!嬢ちゃんと同年代のやつだっているさ!」
それを聞き、パズズの手が一瞬止まるが、泣きながら再び剣を振るう。
「・・・私は穢れた存在。あの人の命じるままに、悪事をこなした。そんな私が、許されるわけがないでしょう!」
「嬢ちゃんは一切殺しをしてねぇ!そして俺は、もっとあくどいことをした人間が償いながらも平和に暮らしているのを知っているんだ!だから、俺の手を取れ!」
「でも・・・」
「でもじゃねぇ!未成年者が悪い大人にそそのかされてたからちゃんとした大人がまっとうな道に戻してやろうって言ってんだよ!」
パズズは、本当に差し伸べられた手を取っていいのだろうか、騙されているのではないかと考え、それでも、一度も自身を攻撃してこなかった神名を信じることにしたのか、泣きながらも、その手を伸ばす。
「・・・これから、よろしくお願いします。」
「あぁ!よろしくな!」
そう言い、二人の手は触れ合う。




