閑話⑤ 過信は身を亡ぼす
それを聞き、ふと、紫崎が何か思い至ったのか、声を上げる。
「まってくださいまし!」
「うん?どうしたんだい、紫崎君。」
「その陰にあった存在の方々は、ダンジョンに潜りMPが増えればさらに強くなるのではありませんか!?」
「そう、人の持つエネルギー、魔力はすべての人間が一定で、不変のものであるといわれていたが、ダンジョン発生後、ただ単に全人類の初期MPが11であるだけということが判明し、皆ダンジョンに潜った。それが各国のトップと、この国の一部のトップ勢さ。この国は不思議なことに覚醒者の中にすら魔力を知らないものがいるがね。」
学長は深くため息をつく。
「そして、何よりの問題は格に2以上の差が存在していたとしても魔力を用いた技はダメージを与えれるということなのさ。」
「えっ?」「そんな・・・」「・・・そうなのか?」「そうだったのですね。道理で・・・」
「あぁ、そこの力の使い方をなんとなくとはいえ理解している二人は、悪用しないようにね?悪用すると灰原・・・いや、ロキ君のように指名手配されてしまうからね。」
「その方は、誰ですの?」
「あぁ、ダンジョン解放連盟の盟主さ。私はダンジョン出現前の彼と面識があってね。彼は、魔力、当時この国では妖力と呼ばれていたのだが、を使うことのできるものが使うことができないものを支配する妖力至上主義だったからね。その結果、その力を増すことができるダンジョンを一般に、いや、この場合は自分の支配下に置いてその主義を実現しようとしているのだろうよ。無駄なあがきだというのにね・・・」
「無駄なあがきというのは、どういうことですか?」
「ん?緑川君は家の伝承とか調べなかった口かい?」
「というと?」
「君の家にも、人間では到底かなわない、人間の発展を妨げ続け、時には人々の英知により討伐された大妖怪に関する書物があるはず、という話さ」
「大妖怪、というのは?」
「あ、そうか、これも説明しなきゃね。大妖怪っていうのは、九尾の狐だとか、天狗の頭領だとか、鬼の王だとか、大蛇だとかいう強大な力を持つ妖怪、会議後には闇に生きるモノと呼ばれることになった存在の中の強者、親なく生まれ、その時から格が10を超える化け物さ」
「格10というと、元黒と同じくらいですの!?」
「あはは、むしろ2年ほど前には、人間があの化け物と同じ力を、いや、超える力を手に入れることが!?と私たちの間では話題になったのだが、知らない者達からすれば、そうなるのか。まぁ、答えはYESでありNOだ」




