閑話② 疑問その1
学長が4人の顔を見、話し始める。
「まず、紫崎君の疑問に答えよう。そもそも君たちはミソロジースキルについてどこまで知っているかな?」
「えぇと、レベルが500を超えると手に入るスキル、ですわよね?」
「確か、それに加えてスキルの条件もあるんじゃ?」
「そう、その通り。ミソロジースキルは、レベル500を超えたときに、特定のスキル群を所持していれば手に入るスキルで、1つあたり5個のスキルを内包しているにもかかわらずECLは倍の10扱いになる、その上内包スキルのレベルは下がらない便利なスキルさ」
そう学長は言うが、その顔はすこし影が差している。
「では、レベル500を超えてミソロジースキルを得た直後にダンジョン内で死亡し、レベルが下がった場合はどうなるかわかるかい?」
「それは・・・そんなこと、考えたことすらありませんでしたわ」
「俺も、レベル500が遠いからミソロジースキルのことなんか考えたことなかった」
「えと、失われる、とかですか?」
「お、惜しいね。正解は文字化けして内包スキルすら使えなくなるのさ」
「え!?そうなんですの?では、レベル500を超えてミソロジースキルを手に入れた後レベル500を下回ってしまったら、復帰など不可能ではありませんの?」
「そう思うだろう?ま、そのことについても話そうか。まず私がレベル500に至ったのは日本で13番目で、世界では20番目だった。これはランキング機能を用いて判断したんだけどね。」
学長はそう言った後、どこか遠い目をしながら話を続ける。
「当時、私を除く日本の覚醒者の内の6人は国家に与する者で、残りの6人は民間所属だった。で、私が民間7人目なわけだ。その6人っていうのが面倒でね。一人ダンジョン巡りをする黄泉さんと、四変王の6人だったのさ。いまでこそ四変王の何人かは警察所属になっているが、その当時はその5人でパーティーを組んでいた民間最強だったんだよ。」
深くため息をつき、再開する。
「で、ミソロジースキルについてよくわかっていないから検証しよう、という話になっていたときに私がレベル500を超えたわけだ。で、検証に最適な生意気なクソガキがちょうどいいタイミングで出現したから、『君の協力が必要なんだ。君だけが頼りなんだ』などと聞こえのいいことを言って協力要請もとい拉致したわけだね。煽てられた私はその5人の協力の元レベル509まで上げて、苦しまずに死ねる毒を飲んで、死んで復活したわけだ。で、文字化けが判明して震えあがったよ。もう私には戦闘ができないのか、とね。だが、5人のS級第1フロアボス周回パワーレベリング効果もあり、あっという間に再び500に到達し、1つ目のミソロジースキルが復活し、2つ目のミソロジースキルを得た。これがわかりテンションが不思議なほど上がった私は調子に乗り、『もう1回やったらどうなるのか試してみないか?』と持ち掛け、もう一度同じことを行い、3つ目のミソロジースキルを得た。」
再び遠い目をし、深く、深くため息をついた。そして話を再開する。
「問題は、3つ目のミソロジースキルを得た直後に起こった。頭が割れるように痛み、吐き気を催したのだ。結局、その後、転移魔方陣でダンジョン外に出ればすぐ収まったのだが、ダンジョンに1歩でも足を踏み入れると再び頭痛と吐き気が襲ってくるんだ。」
「・・・それで、どうしましたの?」
「結局ダンジョンに入ることはそれ以降していない。そして、私たちは、あの時の管理者の発言から察するに、ミソロジースキルは精神生命体に至るのに必要なスキルで、そのスキルはレベル1000になるとミソロジースキル2つ分になり、それは精神生命体の根幹を成すのだろう。そして、3つ以上体に入るようにできていないからバグが発生したのだろう、と結論付けた。つまり、ミソロジースキルを2つ得た状態でレベル1000になったら、私よりひどいことになりうる、ということだね。そのことは国や民間の覚醒者になったばかりの者に伝えられ、再発防止がなされているわけだ。まぁ、他国で非人道的な実験が行われている可能性はあるかもしれないがね」
「なるほど、それでミソロジースキルが3つあり、ステータスの名前がこのようなことになっているのですわね」
「そうさ。だから私は学長と名乗るようにしている。そして、光闇というのは、名を失った私が、1つ目と2つ目のミソロジースキルの最初のスキル、光魔法と闇魔法からとったあだ名みたいなものさ。」
「そういうことでしたのね」




