第3話 決行前夜 その3
いよいよ明日、あの忌々しいダンジョン解放連盟の本部に襲撃をかけ、終止符を打つ。そう考えるだけで黄泉は眠れず、デストロイヤーのクランハウスのバルコニーで夜風を浴びていた。
「やぁ黄泉さん。こんな夜遅くにどうしたんだい?」
「・・・ヴィドさん。ついに明日、決着がつくと思うと、気持ちが高ぶって眠れなくて」
「気持ちはわからなくもないが、万全な状態で・・・」
「私がどれだけこの時を待ちわびたか!あいつらのよくわからない呪いのせいで、私の仲間たちは皆、目を覚まさない!あの時生かされた私が、私こそがどうにかしないといけないのに!手がかりすら手に入らなかった!それが、不意に見つかった。落ち着けるわけが、ないでしょう?」
「・・・陳腐なことしか言えないが、それを彼らが望むと思っているのかい?」
「そんなわけない!あの人はやさしいから、私が無茶をするなんてこと、望むわけが、ない。でも、私には、こうすることしかできない!私には戦闘しかない!みんなにかけられた呪いを解くことは、私には、できないのだから・・・」
「で、あれば、少しでも体を休めるべきだと思うよ」
「・・・そう、ね」
黄泉は去っていき、ヴィドだけがこの場に残る。ヴィドは胸ポケットから煙草を1本取り出し、火をつける。勢いよく吸って、煙を吐き出す。
「ままならないものだ。あんな、一昔前にはまだ子供として扱われた少女にあのような重荷を背負わせるこの時代も、それをどうにかする力もない私も・・・」
「あはは、それを言われちゃうと、耳が痛いね。俺らが保護したのに、結局あの子を超えることもできず、あの子の助けにすらなってあげれなかった。」
「・・・駆逐さん、不意に出現するのはやめてくださいよ」
「あ、ごめんごめん。」
「並列存在を離れたところに出現させるそれ、前兆とか一切なしでびっくりするんですから」
「ごめんって。ま、明日成功させれば、あの子の重荷も少しは降りるだろうさ」
「そうですね・・・そうだと、いいなぁ・・・」
「んん?泣いてるのかい?」
「いえ、たばこの煙が目に染みただけですよ」
「そうかい。そういうことにしておこう。だが、これだけは言わせてくれ。彼女がこの状況に陥るまでに君が関与できたことはない。このことに関する責任は、当時最前線にいた我らが負うべきなのさ。」
「はは、そうですね」
「んじゃ、お休み。君も体調を万全にしておくれよ?」
「えぇ。あいつに偉そうに説教して、俺が体調崩したら笑われてしまうでしょうからね」




