第10話 王の威厳
俺は、ちくわさんに教えてもらった建物に近づくにつれ、冷や汗が出てきて、目の前に着いたときには、震えが止まらなかった。
デストロイヤーのクランハウスは、俺の住んでいるでかいだけの古臭い屋敷よりもさらに数倍大きく、立派だった。また、すぐ近くにはC~S級の4つのダンジョンがある鮮色ダンジョンがあり、そことつながる道はとても大きく、多くの人が行き来している。
本当にここのトップと話をしに行くの・・・?
わた、俺は覚悟を決め、建物の中に入った。そして、入ってすぐ目に入ってきたのは、広いエントランスと、5名ほどが並んだ受付カウンターだ。
右から順に、依頼者用、受注用、達成用、入クラン希望者用、幹部面談用とあった。
さて、俺は入クラン希望者用と幹部面談用のどちらに行くべきなのだろうか。ちくわさんからは「ちくわからのクランマスターへの紹介状」と書いてある手紙を渡されているが・・・
「よう嬢ちゃん。依頼かい?依頼なら一番左のカウンターだぜ」
いきなり話しかけられ、俺は傍目にもわかるほど驚いた。話しかけてきたのは同年代に見える男性だ。
「うおっ、そんなに驚かれるとさすがに傷つくぜ・・・」
「あ、すみません。その、とある方から紹介状を預かってきたのですが、入クラン希望でして、どちらのカウンターに行けばいいのかわからなくて・・・」
「ん?紹介状?誰にかわからんが・・・幹部用でいいんじゃないか?ところで、だれが嬢ちゃんみたいなかわいこちゃんに会う希望出されてるのか教えてくれるかい?えーすさんか?それともたらし神名かい?それとも俺かい?」
「えっと、駆逐さん、です」
「え?俺?心当たりないんだけど」
「え?・・・あなたが、駆逐さん、ですか?クランマスターの?」
「あー、まあ、幹部用カウンターに行ってそれ提出すればわかるさ。さぁ行った行った」
「は、はぁ。」
そういわれ疑問を抱えつつも幹部用カウンターに俺は向かった。
「いらっしゃいませ。ご用件は?」
「その、クランマスターの駆逐さんに・・・」
「え?クランマスターに?無理無理、あんたみたいな小娘が会いたいって言ってすぐ会えるような方じゃないのよ。あきらめなさい。まったく。またヴィド様に一目ぼれした小娘かと思ったら・・・」
「あの・・・」
「何?まだいたの?さっさと帰りなさい」
ここまで言われると、間違っている気がしてきた。
「す、すみません」
そう言い、私は隣のカウンターに行くことにした
「いらっしゃいませ。入クラン希望者の方ですね?誰かからの紹介状はお持ちでしょうか?」
どうやらこっちが正しかったようだ。
「は、はい。これを・・・」
「?承りました。・・・こ、これは!」
「えっと・・・何か問題が・・・?」
「い、いえ、なにも。では、案内いたしますのでついてきてください」
そう言い、カウンターを飛び越えこちら側に来る。見た目に反した身体能力に目を見開いていると隣のカウンターから
「え?なに?その小娘、入りたいって言ってんの?クランマスターに会いたいからって、そんなん通るわけないじゃん」
という声がかかった。それに対し、私が何と言えばいいのか悩んでいると、入クラン希望者用カウンター担当の受付嬢が、
「あなたはあほですか!さんざん人を見かけで判断するなと叩き込めれておいて、そんなことを言うだなんて!この方は正式なお客様です!」
と言った。それに先ほどの幹部用カウンターの受付嬢が目を白黒させているうちに入クラン希望者カウンターの受付嬢が「失礼しました。こちらです」というので、ついていくことにした。
扉の前まで案内され、「ここでお待ちください」と言われた。
こんこんっと扉を受付嬢が叩くと、「はーいどうぞー」という若い声が聞こえた。
「失礼します。ほかの王からの紹介客をお連れしました」
「え?あいつらから?紹介客?まぁいいか」
「こんにちは、緑川森羅と申します。ちくわさんから紹介され、紹介状を持ってきました」
「あー、ちくわさんから?ま、入クラン希望者かな?とりあえず紹介状みせてー」
「こちらです」
「お、さんきゅー」
暫定駆逐さんが手紙を読み終えた。震えている?
「あっはっは!なに?しんに惚れたの?随分と数奇な関係性だねぇ。四変王すべてとかかわるなんてそうそうないよ」
「四変王・・・?」
「あ、そっか、まだダンジョン初心者だもんね。知らなくて当然か。1年ほど前、ちくわぶ、しんさん、りゅー、根っこ、私の5人が称号をおしつk・・・譲り合ってできた、5人なのに4の名を冠する王たちの名さ。随分と大げさだけどねぇ」
「は、はぁ。」
「ま、事情は分かった。スキルも書いてあったし、入クラン試験は推薦で合格、ようこそ、わがクランデストロイヤーへ。こちらで同程度・同性のパーティーメンバーを用意する。安心して冒険するがいい。」
「ありがとうございます!ところで、スキルが書いてあった、とは?それに、明らかにほかの人の気配がこの部屋からするのですが・・・」
「あぁ、スキルは、根っこが勝手に鑑定したのが書いてあったのさ。そして、人の気配っていうのは」
「「「「「俺らのことかな?」」」」」
複数のクランマスターと同じ顔をした男性が天井裏・クローゼット・床などのいろいろなところから顔を出し戻っていく。
「俺は並列存在のスキルを持っていてね。こいつらも、入ってすぐ話しかけたのも俺さ」
並列存在。たしか、様々なスキルを極めたある種の極限ともいえるスキル。中学生でも授業で習う有名かつ高難易度取得スキルだ。
さすがは四変王、というやつなのだろうか。しんさんも何やっているのかわからなかったし、他の人たちもその力に拮抗しているようだった。




