第4話 名家
一つ、深く息を吸い、過去を思い出す。
「さて、これから話すのは、この国が隠し続けると決めた汚点について、されど君たちには知る権利が存在する。まずはその権利を所持している理由から話そうか。」
「え?」「厄ネタ・・・?」
「この国には、三宝と呼ばれる名家があった。八咫家、草薙家、八尺家の3家だ。これらの3家は、三種の神器の名を借りている。さっき話題に出した緑川君は、草薙家の血を引いている。三種の神器の名を借りるに至った経緯は、まぁ、天皇に仕える術の使い手であったからなのさ。
で、次に七色と呼ばれる名家がある。赤羽家、橙木家、黄原家、緑川家、青山家、藍田家、紫崎家の7家だね。このうち赤と橙、黄の3色は八咫家に、緑と青の2色は草薙家に、藍と紫の2色は八尺家に仕える従者の家系であった。
だが、問題は約200年ほど前に起こった。八尺家が途絶えてしまったんだ。さて、藍と紫はどうなったと思う?」
「えーっと、庶民になった、とかですか?」
「主家の財産を相続したとか?」
「うん、両方正解。正確に言えば、術の伝承をやめ、放棄したのが藍で、主家の財産も、術も、厄介事もすべて引き受けたのが紫だ。だからこそ、藍田君と紫崎君が交友関係を持ったときには私たち側の老害共は騒いでいたさ。八尺が蘇る、とね。ばかばかしい。それに蘇ったとしてもどうにでもなるような術式が用意されているのにね。
で、次の問題は53年前に起こった。八咫家が滅んだ」
「すみません、名家、滅びすぎじゃないですか?」
「・・・まぁ、色々あったのさ。」
「なにがあったのー?」
私はため息を1つつき、答える。
「八尺家は、自らの血を濃くしすぎ、妖に堕ち、八咫家はそれを反面教師とし、血を薄めた結果、家宝を継承できる存在がいなくなった。術の維持のための名家なのに、本末転倒だろう?」
「な、なるほど・・・」
「まぁ、そんなわけで、困ったのは草薙家と、その主である皇族だ。なんせ、日本の表に存在する術の頂点が決まってしまったようなものだからね。」
「ちょ、ちょっと待ってししょー」
「うん?」
「赤と橙と黄はどうなったの?」
当然聞かれるよねぇ・・・
「あぁ、黄は草薙家に仕え、橙と赤は独立した。まぁ、独立と言っても皇族の下に着くとは明言していたから問題はなかったのだがね。
で、三宝が一宝になり、術に関する頂点、術王とでも言おうか?まぁ、術王家が誕生してしまったために、この国に存在する術を束ねようとしたんだが。」
「・・・今度は何があったんですか?」




