第19話 過去
橙木に秘宝である増幅石を渡した学長は、正気を保っている人が紡いだ魔力を受け取り、橙木の魔力に調整し、送り続ける。
本来は自然回復で溢れた魔力を増幅し、術に使用する秘宝であるため、膨大な量の魔力に耐えられず、ひびが入り始める。
「ほ、本当にこれ大丈夫なんですか!?爆発したりしませんか!?」
「んー、まぁ、多分。」
「ちょ、多分って何ですか多分って!」
「いやぁ・・・数年前まではそんな膨大な魔力用意できなかったし、それの存在思い出したのがついこの間だからなぁ・・・耐久試験はしてないし、限界超えたらどうなるかなんてわからないよ」
「嫌ですよ私!防衛のための準備中に事故死なんて!」
「・・・まぁ、祈れ?」
「いや、祈れって・・・」
「どうにかしようとしている相手が人外なんだ、こっちも人外の手助けがなければどうにもならんさ。」
「え!?じゃあどうしようもなくないですか!?」
橙木の、ここにいる人について何も知らない反応に、学長は笑みを浮かべる。
「人外もいるよ?」
「うぇ!?マジすか!?」
「マジマジ。でも、これじゃ全然足りんなぁ・・・どうしようか」
「は?これで足りないの?」
「冗談と言ってくれし・・・」
「もう無理やで・・・」
「冗談でも何でもなく、10分の1くらいしか貯まってませんよ。」
「・・・複数回増幅させるのはダメなのかい?」
「先祖がやってみようとしたら駄目だったって事例があるんですよねぇ・・・」
「・・・じゃあ、どうするんだい?」
「祈る?」
この直後、19時になり、アザトースが招来され、その瞬間に何かが弾ける音がして、気付いたらまた戻っていた、というわけなんですよ。」
その橙木の言葉に、それまで黙って聞いていた駆逐が訪ねる。
「・・・対処方法、なくないか?」
「そうなんですよね。学長以外どうしようもない感出てましたが学長も無理でしたし。しかも招来された時点でアウトってどうなってるんですかね・・・」
「うーん・・・まぁ、とりあえずこーあんが弟子の修行終えたら今日中に話して対策を練るくらいしか変えれる点はないかな・・・」
「そうなりますね」
「にしても、黄泉さんっていう人外クラスがいてもどうにもならないって、どうすればいいんだろうね?」
その言葉に、橙木は返事をすることなく、駆逐の背後にいる紫髪の少女を見つめている。
「・・・あー、もしかして、このタイミング・・・?」
そーっと振り返った駆逐は、黄泉がいると認識する前に首を刎ねられる。
「・・・人外になったつもりは、ない。」
「せめて弁明させてくれてもよくない?」




