第8話 何が違う?
一呼吸おいて、深海さんと呼ばれた男性が話を再開する。
「で、あるのであれば、ナニを他の世界線のディルは呼び出したのか、ですが、過去、ディルはシュブ=ニグラスを少女に降ろそうとしていたのでしょう?つまりその少女が見てきたのはその延長線上、もしくは、成功した世界線ではないでしょうか?そして、この付近に黄泉さんがいないとは考えられませんし、もしかするとえーすさんが日本最強の世界線なのかもしれません。」
シュブ=ニグラスを降ろそうとしていた、もしくは降ろした世界線。なるほど。
「はい、他の世界線では、えーすさんが世界最強でした。そして、その・・・シュブ=ニグラスを降ろそうとされた少女というのは、どなたなのですか・・・?」
駆逐は言っていいものなのか悩み、口を開く。
「うーん・・・まぁ、言って他の世界線でどうなっているかを聞くしかないか。紫崎美咲君だよ。君の同級生の。」
紫崎美咲?そんな人間、私の同級生にはいない
「すみません、知らないです」
「えぇ?鳥野山に屋敷を持っている、今年3-2に編入した空飛ぶ少女だよ?」
「・・・あ、この世界線の記憶では、存在している。異なる点の一つ・・・?」
「紫崎家について、何か知らないかい?」
重要なことであると思うので、記憶を手繰る・・・思い出した。
「紫崎家というと・・・大企業の会長・社長一族の、ですか?」
「うん?いや、金持ちではあるが、そのようなことはないが・・・もしかすると、根本的な何かが異なる世界線なのか・・・?」
根本的な何か・・・?
「そういえば、私がここにいる理由って、忍び装束の人間にさらわれて、妖怪に追われて、でしたよね?忍び装束の人間はわかるのですが、妖怪とは?空想上の存在では?」
「・・・うん?もしや・・・君、ダンジョン解放連盟って知っているかい?」
今朝調べた内容だ。確か、他の世界線では聞いたことがない。
「この世界線に来て初めて知りました。」
「なるほど。わかった。」
何が分かったのだろうか。世界を変えるほど大事な要素がなかったのだろうか?
「君が来た世界線には、ダンジョンができる以前の時代に、魔力が存在しない!」
言い方的に、この世界線では、ダンジョンができる前から魔力が存在していたのだろうか?
「魔力、というと、魔石から抽出されるエネルギーですか?ダンジョンが生まれる前から存在していたのですね・・・」
私の言葉に駆逐は少し首を傾げ、訂正する。
「正確に言えば、ダンジョンのような存在が過去に出現したことがない、が正しいのかな?この世界では過去に出現したことがあるけど、君が記憶している世界では、存在しなかった」




