第4話 案件
橙木アゲハを担いだ忍び装束の人間は、現在絶賛逃亡中であった。
「ふざっけるなよ!?なんだこの気味の悪い奴らは!僕・・・いや、今回のターゲットを狙っているのか!?くそっ、誘拐ではなく殺害であればクリアできた仕事を、このような形で失敗になるなど、認めん!必ず連れ去って見せる!」
そう。アゲハはこの世界線に何度か来たことがあった。しかし、本人すら気付かぬ5月6日の午前0時に、今回この忍び装束の人間が追われている気味の悪い存在、妖怪に呪い殺されてしまっているがゆえに記憶していないだけである。その数、ちょうど500。毎回累計されていたが、今回ついに覚醒者となったため格の違いにより呪いが効かず生き残っていたのである。ただ、このまま眠っていた場合死んでいたため、この忍び装束の人間に感謝すべきなのかもしれない。
死に物狂いで屋根を走りながら逃げていると、ふと、月明かりが遮られる。忍び装束の人間は、妖怪が上にいるのではないかと見上げたが、何もいない。
「どういうことだ?」
「こういうことさ、忍者君。」
そう後ろから声をかけられるとともに、肩にあった重さがなくなる。
振り向くとそこには、黒い翼をもった男性が橙木アゲハをお姫様抱っこしていた。
「何者だ!そして、そいつは僕の獲物だ。返せ!」
「はぁ・・・まったく。妖怪たちが騒がしいと巫女姫に言われて様子を見に来たが、このようなことになっているとは。これじゃあ毎回なんだかんだ巻き込まれるヴィドさんを揶揄えないな。・・・待てよ?この娘をいまからヴィドさんの寝室に放り込めば揶揄えるか?」
「無視をするな!」
「ん?あぁ、女の子を攫う犯罪者と話す言葉はない。が、何者かだけは言ってやろう。駆逐だ。捕まえろ、神器・縛る物」
そう駆逐が言うとともに光り輝く鎖が忍び装束の人間を縛る。
「なっ!?クランデストロイヤーのクランマスターがなぜこのようなところに・・・」
「うちがある付近でこんなことして、ばれないと思ってる方がおかしいでしょ。あ、しゃべらないんだった。さ、君は連行だよ。」
「くっ!もはやここまふぇ!?」
忍び装束の人間が奥歯を噛もうとした瞬間、鎖が口を縛り、それを妨げる。
「お、優秀優秀。さて、このようなことをしたのだし、連行前に荷物検査を・・・その前に鑑定が先か。えーっと、名前は剣崎 美琴・・・性別、女・・・これ、私じゃなくってヴィドさんたたき起こすべきな案件だったか。」
そういうと駆逐は美琴を鎖でつなぎ、アゲハをお姫様抱っこしたまま飛び、クランハウスに帰っていった。




