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便利なブーツ

さて、駄女神様のことは忘れて、初めての宝箱の開封作業です。

ダンジョンと言えば宝箱、宝箱と言えばダンジョン。やはり実際に宝箱を見るとテンションが揚がらざるをえない。

まあ初級ダンジョンの宝箱からそこまで高価な品が出てくることはまずないんですけどね。

一応、技能の「解錠」「罠」を使って確認しますが、鍵も罠もありません。ではガチャっとな。中身は……ブーツですか。手に取ると頭の中に情報が……マジックアイテムですね。


便利なブーツ(ハイクオリティ)

種別:脚装備

効果:サイズ自動調整

   通気性向上

   内部自動浄化:極小

足の形に完全にフィットし、水を弾くのに蒸れない、さらには雑菌の繁殖と悪臭の発生を抑制する魔法のかかった、とても便利なブーツ。ただし防具としての防御性能に期待してはならない。

ある病気の罹患者にとても人気。


あー……微妙? 出来れば防具が欲しかったんだが。まあ一応マジックアイテムだし売るか? いや、いま履いているサンダルっぽい履き物より良いから変えるか? 売値聞いて高かったら売るか。

さて、ボスのリポップ狩りといきますか。リポップまでの時間はボスエリアの外で狩るとして、2、3回殺ったら寝るか。

新しい朝が来ました。希望の朝です。

おはようございます。昨日の夜の狩りで位階がまた2上がりました。ボス兎さんの経験値おいしいです。


名前:シン 性別:オス 年齢:12

位階:7 天職:盗賊 恩恵:幸運

筋力:17 体力:10 敏捷:31 器用:31

知力:10 精神:10 感覚:31 幸運:24(+7)

技能:隠密、索敵、盗む、解錠、罠

称号:兎の天敵、運命神の加護


ステータスが上がったおかげでこのダンジョンの魔物からは、「盗む」がほぼ失敗しなくなりました。ドロップも魔石確定なうえ、それ以外のアイテムもほぼ確実に落ちるようになりました。収入アップだ! あと、ボス兎さんの肉を2つ手に入れられたのが、個人的にとても素晴らしい。不味くない肉最高!

そしてギルドに換金しに来たわけですが……なにこれ。

「便利なブーツのギルド引取価格は2000セルだがどうだろう、私に個人的に2500セルで売る気はないだろうか」

「まて貴様! 職務中になにやっている! ……ところで私は退勤したところなのだが2700でどうだろう」

「おいおい、受付で職員が揉め事を起こすんじゃない。間を取って俺が2800で買うってことで」

なんか便利なブーツを出したらおっさんがわらわらよって来ました。……ふむ、どうやらギルド職員には履き物は革靴またはブーツという服装規定があるらしい。まあかっちりした制服にサンダルは合わんだろうね。で、迷宮都市バルトは湿潤で夏場はかなり気温が高くなるため、職業病が水虫と……え、このおっさん達全員水虫なの? 嫌すぎるんだけど。

かくて受付業務が滞ることしばらく、異変に気付いた上司の主任が出てきて一喝、おっさんどもを正座させました。

「すまない、部下が迷惑を掛けてしまったようだ。ギルドとしてあってはならないことだ、謝罪させてもらおう。

……謝罪しておいてなんだが、ギルドの規定で買取は割引も割増もしてはならないとなっていてな。すまないが便利なブーツは定額で引き取らせてもらいたい。

もちろん、自分で買い手を見つけるのは自由だ」

「いえ、孤児の自分では買い叩かれるなのがおちなので、ギルドで買い取ってもらいたいです……恨まれそうですし」

「ははは、確かに。では5000セルで」

「え?」

「え?」

やり取りを聞いていた正座中のおっさんどもが、一斉に顔を青くする。それを見た主任さんが表情を消してこちらに視線をよこす。

「ブーツの引取価格、2000って言ってましたけど……」

成り行きを見ていた野次馬冒険者達も一斉にうなずく。

「……魔石とドロップアイテムの査定が412セル、ブーツが5000セルで計5412セルだ。すまないが急用が出来た。一時的に受付が減るので冒険者諸君には迷惑を掛けるが、すぐに代わりの人員を用意するのでご容赦願いたい」

その言葉に文句を言う者は一人もいなかった。俺も周りの冒険者達も、ただ黙ってカクカクとうなずくだけだった。

……俺の眼前に修羅がいた。全身から蒸気のような赤いオーラが立ち上ぼり、目が爛々と血の色に輝く。筋肉はパンプアップでもしたかのように膨れあがり、制服がはち切れんばかりに……あ、破れた。主任さんただ者じゃないな、絶対元冒険者、それも相当高レベルの。

主任さんは正座中の水虫おっさんどもを睨み付けると……一瞬、体がブレたかと思うと、次の瞬間、おっさんどもが気を失って突っ伏す。

誰一人言葉を発する事なく、ギルド内が沈黙に包まれる中、主任さんは軽々とおっさんどもをまとめて肩に担ぎ上げ、バックヤードに消えていったのだった……


ちなみにその後、ギルド職員によるマジックアイテム横流しが発覚、さらにバルト内における密売組織の暗躍、後ろ楯の上位貴族による反乱計画、背後で操っていた隣国の陰謀という具合にどんどん話が大きくなっていき、なし崩し的に巻き込まれた主任さんが死ぬ思いをしながらも、成り行きで仲間になった人々とともに解決へと導き、救国の英雄に祭り上げられるのだが……それに俺が関わることは一切なかった。

技能:憤怒の闘気

戦士系職業から派生する狂戦士系統「戦鬼」が習得する技能。筋力と体力、敏捷のステータスが上昇し、自動回復と痛覚無効、ノックバック耐性の効果が付与される。また、怒りの感情を感じている場合、その強さによって効果が強化される。

非常に強力な技能だが、欠点として使用中は攻撃的になり倫理観も低下する。また、強い高揚感を与えてくれるため、精神値が低い場合は薬物中毒のような依存症を発症する場合がある。

ちなみに狂戦士系統は精神値が成長しないことで知られている。恩恵:精神か精神成長ボーナス付きのアイテムがないと大抵破滅する。


なお主任さんの位階は82、職業は

メイン:戦士→狂戦士→凶戦士→戦鬼→羅刹

サブ1:戦士→剣士→剣豪→剣鬼

サブ2:戦士→闘士→気功士

サブ3:戦士→剣士

サブ4:戦士

の超脳筋ビルド。

冒険者時代の二つ名は「破壊者(デストロイヤー)」。

嫁が二人いて子供が三人……なんで俺、おっさんの設定作ってるんだろう……

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