表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/68

奇跡の対価

いつから更新が3日後だと錯覚していた?(連休中に頑張ったぜ!)

明日も更新する予定

触手巨人がパンチを放つ。するとその先端がほどけて無数のワラスボ触手が歌舞伎の蜘蛛の糸のように襲い掛かって来る。その攻撃密度はまともに相手はしてられない。俺はダッシュで前に出てギリギリで攻撃を回避し、振り向きざまに蒼牙を振るって何本かの触手を切り払う。

攻撃は俺に集中していて、他の冒険者達は完全に無視されており、近接組は巨人の足元を、遠距離組も矢や魔法で攻撃を加えているが、タゲが他に移ることはないようだ。

「レイドボス戦で盗賊系が避けタンクとかおかしいだろぉぉぉっ!」

──ち゛ょ゛こ゛ま゛か゛と゛……い゛い゛か゛げん゛し゛ね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛っ゛!──

今度は触手の束を鞭のようにしならせ、横殴りの攻撃が襲い掛かかる。巻き込まれそうになった冒険者が慌てて逃げ出すが、俺には庇う余裕等ない。とっさにジャンプして触手の上に着地、そのまま振り回される触手の動きで振り落とされそうになるのをバランス感覚とブーツのグリップ力で耐え、巨人本体に向かって触手の坂を駆け上がる。

このままじゃジリ貧になるのは目に見えている。ろくな打開策はないが、あの露骨に弱点臭い美女の面に攻撃でも加えておきたい。

走る走る。背後から触手が追いかけるように攻撃してくるが、感覚値と第六感のアシストに任せて回避する。ただ足元の触手が襲い掛かって来る様子はない。こいつ……やっぱり思った程には自由に触手をうごかせないな? 最初に違和感を感じたのは捕まった女性の救出の為に牽制をしていた時だ。触手による攻撃は受けていたが、足元そのものを変化させる攻撃は無かった。その後の戦闘で気になって観察していたんだが、どうも触手が自由に動いているんじゃなく、先端部が動いてそれに追随しているような動きだった。言うなれば先端部がファ〇ネルで、残りは本体がコントロールするためのコードなんじゃね? と言う結論に至ったわけだ。あ、有線式なら〇ァンネルじゃなくてイ〇コムか。オールドタイプでも使えるな!?

んで、この触手巨人の体の大半はコードの部分で形成されているから、足元からの不意打ちはほぼない……いや、中に先端部を1つ2つ仕込んでいるところもあるんだよ? ただそれはトラップ判定らしくて罠技能で発見できるねん。ここに来て意外な有能さを発揮する罠技能さん。エースの盗むさんはもちろん、隠密さんや索敵さんと比べても目だたなかったよね君……

攻撃も罠も回避された邪神は腕を振り回して振り落とそうとしたが、壁歩きすら可能な俺はその程度では落下しない。英霊のブーツさんマジ優秀。ついに俺は巨人の肩にまで到達する。

──お゛と゛こ゛がわ゛た゛し゛に゛ち゛か゛づく゛な゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ゛!──

巨人の顔がこちらに向き、イソギンチャクのような形状の口から大量の触手が奔流となって俺に襲い掛かる。うわぁ、熱烈なキッスですねぇ。

蒼牙で切り払う、切り払う、切り払う……キリがないぞこれ!? チラリと下の状況を見ると、多少あった近接組への触手の妨害が全く無くなっている。こいつこっちの排除を優先させたな!? 蒼牙の攻撃だけでは間に合わない為、左手のマン=ゴーシュでのパリィも使う。ただパリィだと弾いても直ぐに再攻撃してくるから時間稼ぎにしかならない。武器落とし(ディザーム)効果は武器じゃないと意味がないからな……

あ、忘れてた。「闘気刃」を発動させる。伸びた闘気の刃に触れただけで触手は消滅するから一気に触手をなぎ払う。そーだよ闘気刃使えばいいんだよ。邪神から殺気ぶつけられて冷静な判断力を失くしてたかな? アーツ全然使ってなかったわ。ポーションの回復ブーストだいぶ無駄にした気がする。ついでに一発「飛刃」も撃っておく。飛翔する聖属性を帯びた闘気の刃は、妨害を根こそぎ吹き飛ばして巨人の口に命中、顔面の下半分をえぐり取る。

──あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!──

さすがに効いたのか邪神が苦悶の声を上げる。巨人は悶えるように身を振るわせ膝を突く。触手の攻撃も一時的に収まったようだ。

好機! 一気に頭に近付き首を駆け登り右目の位置にある女の面に蒼牙を突き立てる。絶叫する邪神の声はもはや聞き取れない程高く、皮膚を細かく揺らす衝撃波としか思えない。触手相手なら即消滅させていた蒼牙だが、さすがに身の詰まった体は消滅させられず……いや消滅する端から再生してんのかこれ!? とにかく女の面の額部分に突き立っている。……どうしようこれ、これでも死にそうにないし、うるさいんだよなぁ……

そんなどうでもいいことを考えていたのが悪かったのか、反応が遅れた。女の面の口がぱっくりと開き、中から先端がドリル状に尖った触手が……

第六感に反応! まずい! とっさに蒼牙を手放し回避しようとして……躊躇(ためら)ってしまった。蒼牙なしで果たして邪神の攻撃をどうにか出来るのか? そう考えてしまったのだ。迷いは動きを一瞬だけ止め、その一瞬が致命的であった。

その触手は今までとは比べ物にならない、雷光のような速度で放たれ、俺の心臓を正確に……

ああ、死んだわこりゃ。

『小奇跡、身代わり(こいつのおかげで)の物品(助かったぜ)、発動』

脳内に感情の薄いミタマちゃんの声が響く。瞬間、ドリル触手が不自然に軌道を反らし、心臓を避けて胸元のタリスマンに命中する。ガツンとした衝撃と共に吹き飛ばされる体。蒼牙は握りしめたままなので自然と邪神の顔から抜ける。巨人の肩から落ちる前に着地、英霊のブーツのグリップ力でブレーキを掛ければ巨人の首から1m程離れた位置で止まる。胸元に目をやればタリスマンは貫通することなく攻撃を受け止めていた。さすが神器、俺の防具より硬くない? ありがとうミタマちゃん!

『…………………………』

あれ? 反応が………………

おい……ちょっとまて。そういえばさっき小奇跡って言わなかったか? 前にミタマちゃんは言っていなかったか? 『小奇跡を使用した場合、リソースの供給が不可能な為、私の存在の維持が出来なくなる恐れがあります』と。

ブチリ。

鈍い音を立てて紐が千切れタリスマンが落下する。

それに今まであった輝きはなく、鈍くくすんだような色に変化していた。まるで大事な何かが抜け落ちたかのように。

本編に入れようと思ったけど自重した小ネタ。

ミタマちゃん「貴方は死なないわ、私が守るもの。(CV〇原めぐみ)」

あのシーンでこれはない。と思ってやめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ