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上級ダンジョン進出

1日ゆっくり休んでリフレッシュ、今日からまたダンジョンですよー。え? 休日何してたかって? 昼まで寝て起きたら飯食ってぶらぶらして釣れた変態をボコるだけのごく普通の休日でしたよ?

『いや最後のは明らかに普通じゃないでしょ』

さて、普通に考えてたら安全な狩りの手段が確立された「怨念渦巻く古戦場」でレベリングするのが効率的だろう。だが正直アンデッドはもううんざりというのが本音だ。かといって他の中級ダンジョンは経験値効率で劣る……なら行くべきは上級だろう。上級ダンジョンは位階50、ソロなら60以上は必要だとされているが、そもそも上層は中級の最難関の最下層と同程度の難易度。そして「怨念渦巻く古戦場」はその最難関ダンジョンであるから俺は十分やっていける戦闘能力がある事になる。何より上級の上層のほうが経験値効率もドロップも、何より宝箱の出現率が良い。それにこの迷宮都市で上級に潜る冒険者は数が限られているので、基本的に上級ダンジョンは過疎気味だし、金を持ってる上級冒険者は中級以下の冒険者よりも余裕があるので犯罪率が低いから比較的安全だと思われる。まあ油断は禁物だろうが。

上級ダンジョンは東南北ギルドと神殿に1つずつ、中央ギルドに5つの計9つ。そのなかでも狙い目は聖属性に弱い悪魔系の出る「悪魔の蠢く地下神殿」、そして特殊なダンジョンである「戦士の試練の闘技場」だろうか。前者は単純に「蒼牙」を最大限に生かせ、後者はその特殊さが都合がいい。と言うのも「戦士の試練の闘技場」は、どういう仕組みなのか所謂インスタンスダンジョンであり、ソロになって他者の介入が不可能な状態で闘技場での1対1の戦いを強制されるというものだからだ。ぶっちゃけもともとソロの俺にはデメリットはないし、他者の介入がないのは寧ろメリットでしかない。ちなみにこのダンジョン、敵を倒すと続けて次の敵と戦うか撤退するか選べ、撤退すると宝箱が現れて報酬を手に入れられる。敵を連続して倒して行くと段々敵が強くなって行くが、敵を倒した数に応じて撤退時の報酬が良くなるようだ。また、敵が強すぎて勝てないと判断した場合はギブアップを選ぶ事も出来るが、その場合は報酬はなくなる。……どうみてもRPGの闘技場ミニゲームだよなこれ。敵は基本リビングアーマー系で、希にレアで「英霊」という実在した人間を模した存在が出て来る場合もあり、倒せば報酬の宝箱が1体につき1つ増えるというシステムだ。位階50相当の敵から始まり100戦目には必ず位階100以上の英霊が出て来るらしいが、この数百年100戦目までたどり着いた者はいないようだ。なお、リビングアーマーも英霊もアンデッド系ではないので蒼牙は弱点にならない。ただリビングアーマーは耐久が高い代わりに敏捷と感覚低いから1対1ならカモれる自信がある。

……うーん、安全を考えればギブアップ可能な「戦士の試練の闘技場」から行くべきか? なんにせよこの2つは中央ギルドにあるからどっちみち行く場所は変わらないんだが。

という訳で中央ギルドにお邪魔しまーす。……うわ、なんか凄い注目浴びてる気がする。まあ中央ギルドには上級と中級ダンジョンしかないからガキが、しかもソロで来る事なんぞ無いだろうからな。目立つのは仕方ない。かと言って隠密してもどのみち換金とかの時にバレるからな、ここは最初から敢えて目立ってみた。正直テンプレ展開を期待しなかったかと言え……

「おいおい中央になんでガキがいるんだぁ?」

テンプレ展開キター\(゜∀゜)/

俺の前に立ち塞がったのはスキンヘッド、モヒカン、ドレッドヘアーの三人組。何故か上半身は素肌の上に心臓の辺りだけ守るプロテクターにトゲトゲ肩パットという某ポストアポカリプスな世紀末救世主伝説漫画の盗賊みたいな格好をしている。……いや分かり易い悪党ビジュアルだけど、ここまでベタベタだと逆に実はいい人だったタイプの、テンプレ外そうとして逆にテンプレになったパターンを疑いたくなるな。

「へっへっへっ、ここはガキの来る所じゃないぜぇ?」

「ひひひっ、悪い事は言わねぇ、痛い目みたくなけりゃぁ帰るんだなぁ」

どっちだ? どっちのパターンなんだ!? 今のところはどっちとも取れる言動しかしていない。考えろ、考えるんだシン! どう反応するかが運命の別れ道だ!

『いやそこまで!?』

反応を返さず、ただじっと睨み返す俺を見て、三人組はニヤッと笑うと、

「「「じゃ、そう言う事で」」」

シュタッと手を上げてそのまま背を向けて立ち去った。

「……は?」

予想外の行動に思わず俺は呆然と立ち尽くす。え? どゆこと?

「……おい、見ろよ。また新入りがあいつらの犠牲になってるぜ」

「ああ、あえてテンプレの絡み方を行いつつ、実際には何もせずに立ち去る……あれが「肩透かし三連星」のやり口か」

やられた!

ギルド内にたむろっている冒険者の声に、俺は崩れ落ちるように膝と両手を床につけて頭を項垂れる。orz

不覚! テンプレに身構えるあまりに想定外のテンプレ外しへの警戒を怠ったか!

『いやそこまで!?(2回目)』

くそっ、よもや迷宮都市の冒険者がここまで暇人だったとは! だがこの屈辱は忘れない! 何が目的か知らんがいつか必ず思い知らせてやるからな!

ちくしょーおぼえてろー!

『……なにがこの子をそこまで駆り立てるの……』

強いて言うなら芸人気質ですが?

その後の肩透かし三連星

「ふう、今月のノルマは終わったな」

「あの新入りにゃ悪い事しましたね。あれ「逃(インフェリア)水」(ミラージュ)ですよね」

「ああ、デビュー半月で中級に出入りするようになった大型新人だ」

「……んなヤベー奴に絡んで良かったんですか?」

「……仕方ない、定期的にこれやらんとせっかく上書きされた「肩透かし三連星」の二つ名が剥奪されて元のに戻りかねん」

「……変な行動定期的にやれば二つ名上書き出来るって聞いて飛びついたのはいいけど維持する必要もあるとは……」

「しゃーない、元に戻るよりはましだ」

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