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神殿にて

筆がなかなか進まなかったので、気分転換にVRゲームネタで短編書いてみた。気が向いたら読んでみて下さい。

https://ncode.syosetu.com/n9360hv/

いやー、台風15号は強敵でしたね。会社の同僚も断水で風呂に苦労してるらしいです。……近所の井戸使わせてもらってるってマジかよ。近所に井戸あるのにびっくりだよ。

調子に乗って身の丈に合わない大金を手に入れてしまったので、安全の為に散財しようとしたら更に高価な品を手に入れてしまった。何を言っているのかわからないと思うが、俺も何がおこったのかわからない。お買い得だとか運が良いだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。もっと恐ろし(ry

ネタはさておき、これからはホモだけでなく金目当てで襲ってくる奴らにも気を付けるべきだろう。一応、親方が剣に目立たない偽装をしてくれたが、話は何処から漏れるかわからない。個人情報保護なんて概念は無いこの世界、鍛治ギルドから大金が俺に流れたなんて話は必ず誰かの耳に入る。そしてその耳にした誰かが良からぬ事を考え無いなんて保証は何処にも無いのだ。

「取り敢えず位階上げるか……」

身を守るには強くなるのが手っ取り早い。拠点も西ギルドから変えるべきかも知れない。幸い金に余裕はあるからドロップより経験値優先でかつ固くもタフでも無い……「小鬼王の宮殿洞窟」が一番条件に合いそうだが西ギルドだから却下……北ギルドにある「狼の群れる森の狩場」か? 狼系の魔物とコボルトが群れで襲ってくるが、一体一体の耐久力は低いらしい。ほとんど人の来ない「怨念渦巻く古戦場」という手もあるが、スケルトンはともかくゾンビはタフなんだよなぁ。中級から出るゴースト系は蒼牙のおかげでカモれるんだが。……やっぱなしで、ゾンビの出るダンジョンに泊まりたくねーわ。

神殿と言えば神様と約束していたのを思い出した。月1でいいから神殿でお祈りするんだった。この間神殿行った時はスルーしてたわ。……いや、一応毎朝起きた時のお祈りは欠かしてないんだよ? ただ神殿ってなんか敷居が高くて……ほら、寄付金搾り取って肥太ったお偉いさんが「貧乏人に用は無い!」とか言うイメージ?

『偏見が酷すぎる! 少なくともこの世界の宗教組織は健全だから! ……アレなのにはガチで天罰落とすし』

ああ、この世界では神の名は騙れないのか。前世のとある宗教じゃ神の名を騙っちゃいけないって戒律があるのに(自主規制)。

『何か宗教関係に恨みでもあるの……』

ちょっと親が壺とか祭壇買ったあげく俺に借金背負わせようとしただけですよ? あの宗教と繋がってる政治家は正直暗さts……

『まってその話題は色々まずいからやめてーっ!』


というわけで神殿に来てみた。石造りの立派な建物だがどこぞの清貧を美徳とする癖にやたらと豪華な建物を建てたがるどこぞの宗教と違って、華美さは欠片も無くむしろ無骨さを感じさせる。むしろ軍事拠点?

『まあ、避難所を兼ねてるからね。ついでに言うと神官は戦闘系ジョブだから宗教組織そのものが武闘派なのよねー』

……言われてみれば訓練用にダンジョン3つ抱え込んでる組織が普通の筈がなかった。なんか良く見ると出入りしている関係者とおぼしき神官用の衣装を着たは、やたらと筋肉質というか……うん、正確に言うと服がはち切れんばかりの筋肉を持つマッチョ率が異常に高い。

『迷宮都市バルトの神殿は武闘僧(モンク)神殿(テンプル)騎士(ナイト)が主流派だから……』

……俺の心配とは別方向で来づらい神殿だな。ところでまさか聖職者は妻帯が駄目でそのせいで衆道が蔓延ってたりしないよな?

『……聖職者の結婚を禁じた戒律はないわ』

……衆道は?

『その件につきましてはコメントは差し控えさせていただきます』

否定して!?

神様とアホなやり取りをしているうちに、神殿の大広間、「主なる神々の間」にやって来た。広間の壁際に神々の姿を象った石像を祭って……? なんか一画だけやたら人が集まってるな。丁度お目当ての運命神の像の隣だな?

「あの、どうしてこの神様のところに集まっているんですか?」

「おや、君は知らないのかい? つい10日ほど前まではここに「縁故神」様の像があったのだが、突然崩れ落ちたと思ったら新たな「幸運神」様の像が出来あがったんだよ。神託では神の座の交代が行われたそうだ。まあそれで新たな神にご挨拶しに来た方々が多いわけだよ」

「ああ、そうだったんですか。教えていただきありがとうございます」

俺は親切に教えてくれた神官 (ムキムキ)に礼を言うと、隣の運命神の像の前にひざまづき、祈りの姿勢を取る。

……で、何が有ったんですか神様。

『……縁故神は己の欲を制御出来ず、私欲のままに神の力を振るい、ついには邪神化の兆候が見られたため無限地獄に封じられた。幸運神は管理を引き継がせる為に昇格させた』

うわ、何かリアルタイムで神話の出来事が進行してた。

まあそれは俺には関係の無い世界の話、それよりも。顔を上げて運命神の神像を観察する。

……中学生くらいにしか見えない華奢な少女。長い髪は腰まで伸ばされ、慎ましやかな『あ゛あ゛?』……少女らしい成育途上な肉体は簡素なワンピースに包まれている。顔立ちは非常に整っており、それだけならば唯の芸術作品にも思えたかもしれない。だがその表情は完全なる無であり、人間味は一切感じられず超然とした様はまさに神の姿である。

『どやぁ』

別神(べつじん)かな? もしくは盛った。

『なんでじゃーっ!』

発言と神像の見た目の差ですが?

『くっ、見た目詐欺と言われるのにも慣れたけど、よもや眷族にまで言われるとは! いいわ! ギリギリだけど短時間なら降臨出来るだけのリソースはある! 見ていなさい! あ、創造神様、地上に降りる許可下さい』

……え? ちょっとそれはまずい! 慌てて、しかし不自然にならないように立ち上がり、隣の幸運神の像の前で祈る集団に紛れ込む。そして数分後、運命神の像の前に凄まじい光の柱が立ち上がった。あまりの眩しさに広間中の人間が目を覆い、数秒後、光を感じ無くなったところで手を下ろし、目を向けた先に。

神がいた。

運命神の神像と同じ姿。ただし石の色をした像と異なり、透けるような白い肌にやはり白いワンピース、薄紫色の髪と瞳と色づいている。そしてなによりその圧倒的な存在感が、彼女がただの少女ではなく超常の存在である事を、否応なく理解させる。

《……祝福を……》

そう一言だけ呟くと、右手の甲になにやら紋章のようなものを浮かび上がらせると手のひらが発光、光は辺りにいた人々に降り注ぎ、心を癒し体に活力を与える。

人々が感動に涙し、或いは突然の出来事に呆然とする中、現れた時と同じく神は忽然と姿を消していた。

興奮したように今起きた奇跡について話す人々を尻目に、俺は「隠密」を発動させて神殿を離れる。

『見たか! 我が美少女っぷり!』

あー、はいはい、間違いなく神様でしたね。

『あれ? あっさり信じたね?』

……あなたさっき手の甲に○ングオブハート浮かび上がらせてましたよねぇ。どんだけ外見が神々しくてもそんなアホな事するのウチの神様ぐらいでしょう?

『ごっですふぃんがー』

やめなさい。

……縁故神は己の(色)欲を制御出来ず、私欲のままに神の力を振るい(ストーキングし)、ついには邪神化の兆候が見られたために(めんどくさいから)無限地獄(と言う名のゴミ捨て場)に封じられた(臭いものには蓋とも言う)。


……神様だって、世間体くらい気にする。by運命神

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