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採掘するって本当ですか

お休みで疲れてたからベッドでゴロゴロしてたらもう昼過ぎだよ!

ギルドの資料室で中級ダンジョンの資料を閲覧する。なんで資料とかって、読んでると眠くなるんでしょうか。

『徹夜したからじゃない?』

あっはい。

バルトに存在する中級ダンジョンは合計12個……初級より多いんだな。西ギルドに2つの東南北ギルドに3つずつ、神殿管理が1つだな。西ギルドにあるのは「小鬼王の宮殿洞窟」と「巨像の守る遺構の荒野」、つまりゴブリンかゴーレムの二択だな。戦闘スタイル的にゴーレムは無いかな……資料をめくって確認していくとちょっと面白い記述を見つける。

「お、これやってみるかな」

『あー、誰かがネタで設定したやつだたぶん』

ネタだろうと儲かりそうならやりますぜ俺は。


てなわけで必要な装備を仕入れにスミス親方の工房へ。中に入るとヘイグさんと例のお弟子さんと思わしき青年がカードをしながら店番をしていた……店番?

「客こねーんだから暇なんだよ」

「3日店番して1人がいいとこですよね」

そんなんで経営が成り立つのかと思ったが、売上のメインは卸売の方で、この店舗は道楽で気に入った冒険者を支援するためのものだそうだ。何で俺そんなに親方に気に入られたのかね。

「いやマニアの連帯感だろ、サウナで小一時間風呂について語る風呂マニアとかスミス以外にいたとか思わんかったわ」

……確かにあの時は久しぶりの風呂でテンション上がって色々語った気がする。だがしかし、風呂は体を洗うのみならず疲れた人の心の澱をも洗い流し……

「それはもうええっちゅうねん。何しに来たんだよお前は」

「あ、そうだった。「採掘」のついたツルハシ買いに来たんでした」

「!!」

俺の言葉を聞いた瞬間、青年がクワッと目を見開き立ち上がる。一瞬でカウンターを飛び越えて俺に詰め寄ると襟元を掴んでガクガク揺さぶる。

「砥石ですね砥石だろう砥石って言え!」

「そのつもりだけど怖い怖い!!」

(´・ω・`)なにこれ怖い。

その後、ヘイグさんのチョップで正気に戻った彼の言う事には、砥石の在庫がそろそろヤバイらしい。するとどうなるか、うん、お弟子さん達がツルハシ持たされダンジョンにぶち込まれるそうな。そりゃ必死になるわ。大抵は「小鬼の洞窟」の1層で採掘だそうだが、非戦闘員にはきついだろう。生産職の位階自体は高いから、死ぬ事は滅多にないらしいが。鍛治士って体力上がるから。

「砥石の採掘なら「小鬼王の宮殿洞窟」の10層の転移陣近くに良い採掘ポイントが……」

「あ、俺が行くのは「小鬼王の宮殿洞窟」じゃなくて」

俺はニヤリと笑って言葉を続ける。

「「巨像の守る遺構の荒野」です」

その言葉に青年はポカンと口を開けた。


さて、熊さんの宿でゆっくり休んで英気を養った次の日。俺は「巨像の守る遺構の荒野」に来ていた。メインウェポンのショートソードは腰に差したまま、今日はツルハシを構えている。

このダンジョンは階層が無く、100km四方の巨大な空間が広がる単独フィールドで構成されている。配置された魔物は全てタフなゴーレム系であり、荒野の名の通り採取物も無く、転移陣の無い攻略の面倒な構造とあいまって、不人気ダンジョンの一角に数えられる。

魔物はボス含めて5種だけ。

1種目、クレイゴーレム。土製のゴーレム。動きは鈍いがパワーとタフネスが自慢。ドロップは普通品質の魔石(中)、粘土、日干し煉瓦、栄養豊富な土、レアドロップのゴーレムコア(錬金素材、ゴーレムの製作、武器と合成でゴーレム特効)。

2種目、ストーンゴーレム。石のゴーレム。動きは鈍いがパワーと(ry ドロップは魔石(中)、石材、砥石、ゴーレムコア。

3種目、ブロンズゴーレム。青銅のゴーレム。動きは鈍いが(ry ドロップは魔石(中)、銅鉱石、錫鉱石、青銅のインゴット、ゴーレムコア。

4種目、アイアンゴーレム。鉄のゴーレム。動き(ry 

ドロップは魔石(中)、鉄鉱石、屑鉄、鉄のインゴット、ゴーレムコア。

5種目、ボス、スチールゴーレム。鋼のゴー(ry ドロップは魔石(大)、鉄鉱石(大量)、炭素鋼のインゴット、玉鋼、ゴーレムコア。

入口に近い程クレイとストーンが多く、ボスエリアに近い程ブロンズとアイアンが多く配置されている。さて、ドロップを見れば分かるだろうが、狙いはストーンゴーレムだ。基本的にゴーレムは群れない上に動きも遅く、攻撃されるか5m以内に近付かない限り攻撃してこない。さらにこのダンジョンは僅かな石積みの遺構が有るだけで見通しが良いので戦闘の回避は容易だ。仮にアクティブ化してもダメージさえ与えていなければ15m程離れれば再びノンアクティブになる。これを利用してクレイゴーレムを避けてストーンゴーレムを見つけると、アクティブ化しないように大周りして背後に移動、5m離れた位置を取る。

さて、ここからだ。あの資料が正しければ完封して倒せるはずだ。俺は深呼吸を一つすると、ツルハシを構えて5mの距離を一気に詰める。ストーンゴーレムの背中に「採掘」を意識したツルハシを一撃二撃と叩き込むと、通常の攻撃ではあり得ない光のエフェクトが命中部位に発生する。何度か攻撃するとゴーレムが腕を挙げて力を溜めるモーションをしたのでバックステップ。するとゴーレムが凪ぎ払うような回転裏拳を放つ、が当然俺は既に攻撃範囲から離脱している。うん、資料通りソロで背後を取ると回転裏拳で反撃してきたな。ぶっちゃけ背後を取ると振り向くか回転裏拳の二択しか行動パターンがないらしい。そして回転裏拳は予備動作が大きく出が遅く、敏捷値は俺が大きく上回っている。後は分かるよな? 背後に周り込んで攻撃、裏拳回避、振り向いて来たら背後に周り込む。完全にパターンに嵌まったゴーレムは15分程で煙と化したのだった。

後に大量のドロップアイテムを残して。

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