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底辺冒険者は底辺ダンジョンに入る

と言うわけでダンジョンだー! 

ちなみに俺が入ったのはバルトに8つある初級ダンジョンの内、最も難易度の低いとされる「小さき獣の草原」だ。地下の扉を開けて入ったにもかかわらず青空と一面の緑の草原が広がっているのはお約束ですな。

ちなみに孤児院にもっとも近いバルト冒険者ギルド西支部の地下には6つの初級ダンジョンと2つの中級ダンジョンが設置されている。ダンジョンは自然発生するが、攻略してダンジョンコアを持ち帰ればそのダンジョンは崩壊、そしてダンジョンコアを任意の場所に設置し十分な魔力を与えることでダンジョンを復活させることができる。当然、迷宮都市のダンジョンではダンジョンコアの持ち出しは禁止だ。罰則は死刑。

なおこのダンジョン、敵は弱いが見返りも低く、俺のような戦闘力の低いソロでもなければまず見向きもされない圧倒的不人気ダンジョンである。……孤児院じゃここよりも、薬草や果実などの採取物が豊富で魔物がそこそこ質のいい肉や皮をドロップする「深き緑の森」、または同レベル帯では最も経験値効率が良く質は悪いが武器ドロップの確率が高い「小鬼の洞窟」をおすすめしてたな。俺が行くと死ぬが。

「小さき獣の草原」は全3層、1層目に出てくる魔物は頭突き兎、頭部の皮が角質化した体長4、50cm程の兎である。その名のとおりジャンプして頭突きしてくるのだが、ぶっちゃけ攻撃力は低い。ちなみに別名ハゲ兎。ドロップ品はゴミ同然の魔石、臭くて硬い肉ソーセージサイズ、手触りのいい毛皮ただし10cm四方……ゴミだな。一応魔石は数集めればギルドで買い取ってくれるらしい……量り売りだが。

と言うわけで数をこなす必要があるので早速いってみよう! 誰も狩ってないからいっぱいいるよ! 

1:一番近くにいる頭突き兎に歩み寄りましょう。

2:飛びかかって来るので、木の棒で叩き落としましょう。

3:地面に落としたら足で踏んで全体重を掛けます。出来ればこのとき首を踏むようにしましょう。

4:死ぬとあら不思議、ドロンと煙が立ち上ぼり後にはドロップアイテムが残されているので回収しましょう。そして1に戻ります。

うん、弱い。そして作業。一度戦闘中にうっかり別個体を引っ掛けて攻撃食らったんだけどね。痛いは痛いけどせいぜいドッジボールぐらいなんだよ。これで死ぬのはかなり難しい。まあそのぶんドロップも経験値もショボいんだが。というかもう20匹以上倒してるのに未だに位階が0のままなんだが?

ドロップは最低品質魔石(極小)22、まずい肉2、小さな毛皮1となっています。ちなみに肉はビニール的な透明な膜に包まれていて、膜を破らない限り腐らないらしい。ただしダンジョンから出ると72時間で勝手に膜が消えるらしい。謎だ。

さて、代わり映えのしない作業にも飽きてきました。ここで技能、いわゆるスキルを試してみましょう。なお、スキルに熟練度の概念は無いので使い込んでも成長はしません。スキルレベルはありますが……まだしばらくは縁がないでしょう。

まず隠密……兎に気付かれづらくなった為、かなり近づかないと飛びかかってきません。効率が悪くなりました。

そして索敵……うん、この草原、草丈10cmしかないから兎丸見えなんだよね。そして今の俺の感覚の能力値だと有効半径数m、意味無いな。

解錠、罠……初級ダンジョンには鍵付き宝箱もトラップもありません。

と言うわけで唯一使えそうな「盗む」を使いましょう。えーと技能の感覚によると魔物に接触して盗みたいと考えれば発動、その際相手が状態異常になっていたり拘束されていたりすると成功率にボーナスが入る。成功失敗にかかわらず発動には精神力を消費すると。成功率は器用と幸運依存で相手の敏捷が高いと失敗しやすく、幸運が高いとレアが出やすい……あれ? 俺向きじゃない? まあ低レベルだと大した補正は無いんだろうなぁ。

よし、兎さんカモン!

ピョーン、ボコッ、ふみっ、そして「盗む」!

……はい失敗失敗。もう一度……失敗、続けてもう一度……はい駄目、もう一回……あかん、一応これ拘束状態だよね? ボーナスありでこれですか? 位階0の初期能力値だと無謀だったか? っと7回目で成功、魔石ゲット。そして止めをさしてドロップする魔石。わーい収入2倍だー、割りにあわんけど。

精神の消耗は……まだ半分以上残っているか? 俺の精神が10だから0.5消費とかかな? もうちょっとやってみるか。

失敗失敗失敗失敗成功失敗失敗失敗失敗失敗失敗成功失敗!? あ、発動しない。ってかめちゃくちゃしんどい。精神0でも気絶したりしないのは孤児院で教わってたけど、想像以上にキツい。体の方も疲れてきているし少し休憩しよう。確か精神は30秒で1%回復するはずだから3000秒、50分休憩だな。

長いが精神0で戦闘するわけにはいかない。おとなしくダンジョン入口の魔物が入って来ない安全地帯に向かう。果たしてこんな調子で俺は今日のご飯を確保出来るのだろうか。そしてレベルアップは何時になるのだろうか。





迷宮都市の孤児院では効率的な資源回収の為、ダンジョンや技能、能力値がらみの教育はしっかりうけさせられます。読み書き計算もギルド依頼をこなさせるために教え込まれます。ついでに基礎的な武術体術も仕込まれます。成績が悪いと露骨に食事が減らされるので皆必死です。なお、余計な知恵を付けて逃げないように、常識は最低限、周辺の町の位置などの地理情報は絶対に教えてくれません。人権? なにそれ美味しいの?

ちなみにこれは戦闘職だけで、生産職の場合は5歳から職人として丁稚奉公に行かされ、見習いとして低賃金でこきつかわれます。

え、女の子? ……人類最古の職業ってご存知?

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