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小鬼の洞窟4

おはようございます、シンです。気持ちの良い朝ですね。まあ、洞窟の中じゃわからないんですけどね。HAHAHA! それはそうと位階が1上がりました。


名前:シン 性別:オス 年齢:12

位階:12 天職:盗賊 恩恵:幸運

筋力:22 体力:10 敏捷:46 器用:46

知力:10 精神:10 感覚:46 幸運:34(+12)

技能:隠密、索敵、盗む+1、解錠、罠

称号:兎の天敵、運命神の加護


え? 寝てたんじゃないのかって? 寝てたよ、ただ夜中に目が覚めて寝れなかったから狩りしてただけですよ? 俺、疲れてるか体調不良でない限り、睡眠は6、7時間で十分でそれ以上は寝れないタイプなんだよね。

さて、技能に見慣れない表記があったことにお気付きだろうか。そう、「盗む」に+1が付いているのだ。技能に+が付くとその後の数値×10%分、精神値の消費を抑え(ただし最大でも90%)、さらに技能使用時に参照する能力値が上昇したものとして判定する。つまりこの場合、「盗む」使用時の精神値の消費が0.45になり、判定時には器用と幸運が1割増として扱うということになる。別に熟練度が上がって技能レベルが上がったなどということはなく、夜に戦ったゴブリンシーフからこんなものを手に入れたからだ。


盗賊の手袋[レア]

種別:腕装備

効果:「盗む」+1

   「隠密」状態で「盗む」使用時、失敗した場合は「隠密」が解除されない。

盗賊達に伝わる魔法の手袋。かつて盗みはすれども殺しはせず、弱き者正しき者からは決して盗まずという信条の義賊の使っていた手袋……のレプリカ。レプリカとはいえ効果はあり、手に入れた盗賊達は決して手放そうとしない。その為、入手するには無理やり盗むしかない。だが宿した義賊の力は相手を殺して奪えば失われ、手に入れることは叶わない。


防具としては役に立たないが、効果は優秀である。ちなみに「盗む」技能を持っていない者が「盗賊の手袋」を装備すると「盗む」技能が使えるようになる。技能の+を増やす方法は技能の獲得で、例えば俺が位階20になってセカンドジョブに盗賊を選べば今持っている技能は全て+1されるし、技能の被ったスキルスクロールを使えばその技能が+1される。

さて、パンモドキを焼いて朝食にしたら狩りにしますか。もう1つ2つ位階が上がれば5層を目指したいところですが、まずはゴブリンリーダーの集団に対応出来るようにならなければ通用しないでしょう。さあ、頑張ってぶっ殺しますよー。

うん、やっぱりリーダーの群は強いな。だがバフは戦闘開始時に発動してくるので、不意打ちの「隠密」で数を減らせばかなり楽になるな。ただ精神値はカツカツだけどな! 幸運よりも精神値上がるアクセサリーが欲しかったなぁ(ええっ! 酷い! こんなに尽くしてるのに!)。……? いま何か聞こえたような。……誰もいないし空耳だな。

さて、昼前まで戦って位階も1上がった。いよいよ5層に本格的に進出しようか。


名前:シン 性別:オス 年齢:12

位階:13 天職:盗賊 恩恵:幸運

筋力:23 体力:10 敏捷:49 器用:49

知力:10 精神:10 感覚:49 幸運:36(+13)

技能:隠密、索敵、盗む+1、解錠、罠

称号:兎の天敵、運命神の加護


5層は転移陣のある階層だけあって難易度的にも区切りとなる階層だ。敵はソルジャー、ファイターがいなくなり、アーチャー、リーダー、シーフに加え、新たにゴブリンアーミー、ゴブリンウォーリアー、ゴブリンメイジ、ゴブリンクレリックが出現するようになる。さらにこれらが最大8体、最低3体でパーティーを組んで襲って来る。ただしシーフのみソロ、パーティー組んでもらえないんですねわかります……まじでわかります(泣)。

アーミーはステータスはファイターと同じくらいだが、同じパーティー内に同種のアーミーがいるとその数に応じて自己強化バフが掛かる。ドロップは魔石、腰布、カチカチのパン、ゴブリンスピア、古びた革鎧、下級ポーション。「盗む」専用で「小鬼の戦士の証」。

ウォーリアーはファイターよりステータスが高くなり、ダメージを受けるほど強化される自己バフ持ち。ドロップは魔石、腰布、普通の干し肉(味は普通)、ゴブリンソード、古びたバックラー、古びた革鎧、下級ポーション。「盗む」専用で「小鬼の戦士の証」。

メイジは攻撃魔法、クレリックは聖魔法による回復を得意とする後衛。ドロップは魔石、ローブ、ドライフルーツ(葡萄、林檎、ベリー類などがランダムで入っている。地味にレア)、古びた木の杖、下級マインドポーション。「盗む」専用で「小鬼の護符」。

さて、何処まで今の俺が通用するか。通路の陰に隠れつつ敵を探して移動する。……いたな、アーミー2、ウォーリアー1、リーダー1、アーチャー1、メイジ2、クレリック1……いきなりフルパーティーっすか。しかもバランスが無駄に良い。……メイジとアーチャーが最後尾か、ならいけるか? 

「隠密」発動。気付かれないように相手をすり抜け、最後尾に取り付き尾行。ゴブリンパーティーが通路の角に来たところで仕掛ける。パーティーが角を曲がって行き、最後尾のメイジが曲がろうとしたところで背後からの奇襲。なんかもう相手が声を出さないように始末するのに手慣れてきているな……物騒過ぎる。処分したメイジは抱えて角から離れる。ボフン、と鈍い音を立てて煙になるも、離れたおかげでゴブリンパーティーにその音は届かない。ドロップしたローブは無視して魔石を回収、再度「隠密」を発動させて角から覗くと、連中は仲間が減ったことに気付かず進んでいる。呼吸を整え地面を滑るように走り出してメイジとアーチャーの首を背後から斬りつける。体力の少ない後衛はそれぞれ一撃で絶命し崩れ落ちる。そのまま攻撃力の無いクレリックの脇を抜け、こちらに向き直った中衞のリーダーに斬りかかる。その一撃はあっさりと旗で受け止められるが、リーダーが競り合いに持ち込もうと力を入れた瞬間、身を引いてたたらを踏ませたところにローキック。転けたリーダーの剥き出しの延髄にずぶっとな。前衛のアーミーとウォーリアーは仲間が殺されるのを見て、怒りの咆哮を上げて突進してくる。対する俺は「索敵」、背後のクレリックの位置を確認し、「く」の字を描くようにバックステップをしてクレリックの背後に位置取る。敏捷値の劣る後衛のクレリックは反応する事すら出来ず、俺に背中を蹴り飛ばされる。くらえ必殺ゴブリンミサイル! ふっ飛んだクレリックは突進してきたアーミー達に激突して……あ、槍が刺さって貫通した。なんかクレリック刺したアーミーが「マジで!」みたいな顔してるんだが。意外と感情表現豊かですねゴブリンさん。おっと、クレリックさんがここで煙になった、どうやら即死だったもよう。全く仲間を殺すとは酷いアーミーさんだな! あ、怒った。アーミー2体とウォーリアーがこちらを半包囲するように動くが、敏捷で勝る俺はステップと地形を利用してそれを防ぐ。繰り出される攻撃のうち、回避が出来ないものは剣で受け流す。普通に強いな。アーミーはたぶんバフ込みで筋力20ぐらいか? ウォーリアーはバフ無しでも俺と互角ぐらい。敏捷が上だからタイマンなら正面からでも苦戦はしないだろうが、3対1の現状は普通に手強い。ふむ、ちょっと試してみるか。

ウォーリアーの攻撃を回避して斜め前に踏み込む。そこはちょうどゴブリンとしては大柄なウォーリアーが壁になってアーミーの視線を遮る位置。「隠密」発動。ウォーリアーは俺が見えているが、アーミー達は敵を見失い戸惑う。ウォーリアーにしてみれば目の前に敵がいるのに、いきなり仲間がキョロキョロし始めたわけだ。警告の声を上げるが、その前に俺が接近して斬りつける。だがウォーリアーの警告のおかげか、アーミーは飛び退いて致命傷を避ける。とはいえ無傷とはいかず、右腕に深手を負ってしまう。これで槍は持てないので実質無力化だろう。もしクレリックが生き残っていたら話は別だったんだが。

結局この一手が決め手となり、戦力の均衡が崩れてゴブリンパーティーは壊滅するのだった。

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