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再び明らかにされる衝撃の事実(泣)

さて、懐も温かくなったのでいつもの購買にやってきました。……購買のおっさん、いつ来ても同じ人なんだけど労働時間どうなってるんだろう。

予算5532セル。生活費としてなら十分でも防具を買うとなると心もとない。……金属製のブレストプレート一万セルって高くない!? 革製でも一式揃えると予算オーバー……ぐぬぬ、何を選ぶべきか。

「お、坊主、初めてか? 何を買うつもりだ?」

? あれ、俺、このおっさんに覚えられてない? まさか双子の兄弟?

「えっと、何度か来てた孤児院のガキですけど、ほらゴブリンの腰布製品に衝撃受けてた」

「え? へ? ……はぁぁぁっ!?」

俺の言葉に、最初は何やら理解出来ないといった顔を見せていたが、やがてどういうわけか驚愕の声を上げる。

「いやお前、昨日まで小汚ないガキ……いや石鹸と新しい服買ってたな。いやでも変わり過ぎだろ! もはや別人じゃねーか!」

そこまで!? いや確かに錬金石鹸のおかげで汚れが落ちて、くすんだ灰色だと思っていた髪が実は銀髪だと発覚したり、洗った髪がさらさらし過ぎて鬱陶しくて髪を後ろで縛ったり、顔や体洗ったら垢がぼろぼろと落ちて肌の色が変わったように見えたり、つぎはぎだらけの服を着替えたりして……ひょっとしたら少々印象が変わったかもしれない。

「いや、少々じゃねーよ。どこぞの貴族の隠し子かと思ったわ……お前、ヤバいぞ、たぶん狙われてる」

おっさんはふと眉をひそめて俺に囁きかける。うん? 少々金はあるが5千セル程度で……いや、ダンジョンに潜り初めたばかりのガキ相手なら低リスク、金に困っているならやる奴はやるな。

「違う、そうじゃない。狙われてるのはお前のケツだ」

…………えっ?

「冒険者ってのは圧倒的に男社会だ。ついでにいえば一部例外を除き一般人受けも悪いからモテない。駆け出しは金もないから娼館にも行けない。なのに戦いで高ぶって性欲は貯まる。結果……男に走る」

………………えっ?

「俺の経験上、3割が男色家、3割が両刀、残りがノーマルってとこだ。まあ、人の性癖に文句を付ける気はないんだが、中にはタチの悪い連中がいて気に入った奴を無理やりな……」

ヒェッ!!

「で、お前さん、身綺麗になったらなんだ、なんつーか美少年でな、そーゆー連中のターゲットになりそうな見た目でな?」

((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

「ちなみに俺の視点ではお前の背後で熱い視線を送っている男が何人も見える」

バッと背後を振り返る。

俺と視線が合うと頬を赤らめ視線を反らす思春期男子(たぶん2、3歳年上)。

俺と視線が合うと生唾を飲み込み下半身をガン見する不審者(井戸端で遭遇した変態、無駄にイケメン)。

俺と視線が合うとウィンクして手を振ってくる髭マッチョの受付(お前か)。

アカン。ちょっと涙目になって購買のおっさんに向き直る。

「気をつけるべきは行水や風呂だな。ギルド裏の井戸が危険……なのは気付いているみたいだが、本当にヤバいのはギルド近くの公衆浴場だな。あそこは冒険者専用みたいになっているせいで、なんというかマナーの無法地帯になっていてな。その、なんだ、おっぱじめる連中が多くてな。盛り上がってパートナー以外に襲いかかる奴らがいて、毎年新人が犠牲になる。……オススメは裏口から出て通り2本向こうの職人区画の浴場だな。あそこはマナーにうるさいし、冒険者も職人を敵に回したくないからおとなしい。あと、男色から逃げた奴らの向かう先だから慣れもある」

……おお、おっさん、いやおやっさんと呼ばせてください。

「あと、ダンジョン内でキャンプするときは気をつけろ。安全地帯に他のパーティーがいる場合、襲われる危険があるし、ダンジョン内の犯罪は立証しずらい。当然、宿屋も大部屋は危険だ」

不人気ダンジョンの「小さき獣の草原」なら安全でも他のダンジョンは違う。ただ他のダンジョンでは安全地帯が階層入口以外の場所にもある場合もあるので、あまり人の通らない、ルートから外れたような不人気安全地帯もあるらしいので、其処を拠点にすべきだろう。

あと、今更かもしれないが顔は隠した方がいいかもしれない。というわけで布製のフード付きローブを20セルで購入。もはや原材料も気にならなくなってきた、慣れって怖い。更に革製のブレストアーマー2000セル、頭部防具の鉢金800セル、鉄板と鋲打ちで強化された革靴800セルを購入。残金1912セルなり。

ちなみに防具は「装備」すると防御力が上昇し、剥き出しの部分に攻撃が当たってもダメージが減少する不思議現象(但しこの世界の住人には常識なので不思議でもなんでもない)が起こる。ただしクリティカル発生時には命中部位以外の防具の防御力を無視する仕様なので、即死の危険がある脳と心臓の防具は優先度が高い。首も危険だが、首をガード出来るのは一部のフルフェイスタイプの兜(大抵金属製で高い)か、アクセサリー枠のマフラー(枠は現在運命神のタリスマンで埋まっている)ぐらいなので現状無理。

装備も整ったことだし、「小さき獣の草原」は卒業して新しいダンジョンへ向かうとしますか。

332:名無しの邪神

運命に干渉して警告と助言を与えるのに成功した!


333:名無しの創造神

ほう、元々風紀の乱れを苦々しく思っていた上、彼とも縁があった良識的な人物。なるほど、これならば最低限度の干渉で彼に助言をするように誘導できますね。因果律の乱れもほぼなし……見事です


334:名無しの邪神

ドヤァ


335:名無しの神

(なぁ、そもそもこいつが着信拒否されてなければよかったんじゃね?)


336:名無しの神

(しっ! 黙ってろ!)

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[良い点] 神々への信仰度がアップしました。 続きを楽しませていただきます。
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