元主役降臨からの……
勇者、降臨………
「……あーコホン。……で。その優男……否、世界を救った勇者が、戦う……と言うことで?」
『そう!!我を封じていた最強勇者が参戦するのさ……ダメ、とは言わないだろう?』
空気を読まずに大臣が嫌味な顔で姫を見ながら言うが、
その答えは
隣で笑みを浮かべていた魔王から返される事となった。
貼り付けた笑みの姫様……
ギリギリと目一杯の力をその手に込めて、握手したままの魔王の手の形を歪ませながら……。
「……決められた事なら仕方あるまい…か……それにしてもあんな優男が世を救った勇者とは……それに大陸和平記念日に封じた筈の魔王とやらが出てくるとは……これまた一興、だなww」
いやらしく口許を歪めた大臣が勇者と魔王をネットリと見比べ、ボソリと呟く。
『そこの爺さんは?』
「大臣。あのメタボの側近だった狒々ジジイよ……アイツの悪行のせいで婚姻なんて面倒な事態になったのよ」
『……ヘェ……で、あんたの隣の、あの固まってるのは?』
「え?」
眉間に寄せたシワを揉む姫様を横目に、魔王がその隣を覗き込む。
「あ……あぁ、彼は私の先生であり、秘書の様なもので……本業が神官?かしら?」
『……ふぅん。人にしては強い魔力だよね』
「そうなの?まぁ神官になる為に修行した成果かも?…ってか、勇者、本当に大丈夫なの?……」
「姫様……あ……ああ……あの勇者様から凄まじい魔力が『見え』ませんか?」
「へ?」
『あ、見えちゃった?wってな訳で、ご心配なく☆決勝まではヨユーで大丈夫なんだけど?ww』
神官曰く、勇者に纏う魔力の塊は
赤と青、そして緑と黄の色が入り雑じり
周囲をどす黒く染めているという。
『ま、見てなって♪……僕のサポート最強だからww』
顔面蒼白の神官と、不安そうな顔の姫様……
それにつられたかの様な妖精族の姫君の諦めの顔と同情的な視線を人の姫に送る元相方。
そして、欲望に満ちた大臣の厭らしい顔の下
二回戦が始まろうとしていた。