策略の姫様?
「姫様、諸外国からの書状は全てチェックしました。……王子の過半数は辞退なさっておいでですよ……」
「そう…良かったわ。」
「貿易には問題なさそうですが、何かお送りしておいた方がよろしいかと。」
「任せるわ……はぁ……」
しかし、肝心要の魔王からのコンタクトは未だに無い……
一抹の不安を感じつつも……
……計画は確実に進んでいるのである。
そして……武道会のエントリー票が完成した……。
「……これって、大臣の推薦なのよね……?」
「…えぇ……全く……どうかしてるんじゃないですかね?」
「……地下組織の暗殺者、力自慢の農民、武道の達人、そして……自らの血縁者の魔術師…ね…?野心を隠す気更々無いみたい」
出来た対戦表を見て、げんなりする姫様と神官である。
しかし………
「姫様、この……二回戦から参加の白紙部分は一体……」
そう。
対戦表の最後には、
空白が。
その空白の人物は、人数の関係かなにかで、二回戦から参戦となっているのだ。
……神官が不思議に思うのも無理はない。
「……えぇ、まぁ…貴方には言っておいた方が良いかもね。……私、勇者様にお願いしているのよ。……勇者ってか、魔王にだけど」
「Σはっ?!…な……なんですと?!」
「まぁ、勇者様って、実は弱いから、魔王に変化して貰って、優勝して貰う予定なんだけどねw」
にっこりと。
まぁ、満面の微笑みで。
そんな姫様の言葉に、サァァァと血の気が引いた音が聞こえる様な気がした。
「Σ優勝……って!!!どーするんですかっ!!!!勝者との婚姻が条件じゃないのですかっ?!……貴女、大魔王と結婚なさるおつもりなのですか?!」
真っ青な顔をした神官が、姫様に捲し立てる。
……それはそうだ。
魔王との婚姻……それこそ、この国の危機なのであるから。
「…嫌ね…?貴方、聞いてた?勝者は、勇者なのよ?……私は、勇者と書類上の婚姻をして、別居婚を貫くわよw私より弱い男なんて断固として認めないわよ!!!」
「Σはぁぁぁぁ?!」
バンッ!!!と、机を叩いて立ち上がり、自信満々に言う姫様に、呆れた声を上げる神官であった。
果たして。
姫様の永遠の遠距離結婚計画は、無事に遂行するのか………?