怒涛の武道会、閉会式 ~後編~
『魔族の王として、この様な場に今まで出向いた事は無かったから、世辞の一つも用意していないのだけど……本日、姫様とこの人間界で一番の魔力を持つ神官殿の結婚も決まったので、我からひとつ。』
(Σ嫌な予感しか、しない………)
『我はこの通り、勇者に捕らわれている身ではあるが、人の子である勇者と魔王である我との寿命の違いは明らか……後数十年もすれば、解き放たれる未来が来るであろう?』
シャラリとわざとらしく手首の神々しい鎖を掲げて、口の端を上げる。(因みに神官には禍々しい鎖にしか見えてないw)
「勇者の寿命?……」
「解き放たれる、だと……?!」
「和平は、どうなるのだ?!」
ザワザワと、会場内がざわめく。
「ちょ……」
『人の世最強の勇者を打ち破りし神官と、勇ましく美しい人の姫様の血を引く者を『次なる勇者』とし、『和平乱れし時の為』未来永劫その血を絶やさぬ様……』
そこまでを声高に言いきると、
魔力は隣の姫様の耳元に顔を寄せ……
『僕が詰まらなくなったら、いつでも世を乱せるからね☆』
「Σ!!!!」
今日一番意地の悪い笑顔でそう呟くと
『じゃあね♪』
禍々しい魔力を解き放ち
その場から消えて行ったのだった。
「なっ………何なのよ~っっっ!!!!!」
「「「Σビクゥゥゥッッ!!!!」」」
夕暮れから宵闇へと変わる時間に、
姫様の雄叫びがひびき渡り……
『和平の祭典』
は、幕を下ろしたのであった。