表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なろうラジオ大賞3

誤用ざむらい、御用でござる! ~かたはらお菓子~

「さぁ、評定を始めるぞ」


 大広間に会した一同。

 どのもののふも百戦錬磨の面構え。


 独特な意匠が施された武者鎧を身に着け、剣呑な面構えで戦場の地図を覗き込んでいる。


 そこに、一人浮かない面持ちの男が一人。

 誤用ざむらいこと、間知貝宇左衛門(まちがい うざえもん)その人である。


「ふむ……この砦は栗部ぇに任せてはいかがか」

「奴では役不足よ、他の者に任そう。

 貴様はどうであるか山野辺ぇ」

「せっしゃにはちと敷居が高ぅござる。

 他の者に任せるのがよろし」

「うむ、では田沼どのに」

「奴は先日、寝返ったぞ。

 ここ辺りが潮時だと言ってな」

「なに? あの確信犯め……姑息な!」


 次々と評は定の場で口から吐き出される誤用表現。

 間知貝は我慢できなかった。

「貴様ら…!さっきから聞いていたら何を言っている。」

 突然、怒り出した間知貝を驚いたように見やる一同。


「言葉の使い方が間違っている!よく聞け―役不足は過小評価の意味合いの言葉だ!力不足という意味ではない…間違えるな。」

 間知貝はさらに別の侍を睨みつけて言う。

「貴様もだ!敷居が高いというのはバツが悪くて行きづらいという意味だ!なんの勉強をしてきたんだ。」

 さらに別の侍にも……。

「お前は!潮時の使い方ぁ!そっちのお前は確信犯と姑息!確信犯は正しいと思って犯罪を…」


「うるさああああああい!」


 一人の侍が立ち上がって言う。


「おかしーのはテメェだろが!

 さっきから聞いてたらよぉおおおお!

 なんで三点リーダーとダッシュを二つ続けて使わねぇんだよ!」

「え?え?」


 何を言われているのか全く理解できない。

 他の侍たちも立ち上がって口々に文句を言う。


「え? じゃないっこの馬鹿!

 感嘆符の後もスペース入れろコラ!」

「鍵括弧の文の最後に句点を使うな!」

「あと、地の文とセリフの間は改行して一行開けろ!

 読みづらくて仕方がない!」

「え?え?読みずらい?」

「”ず”じゃなくて”づ”だバカ!

 片腹おかしいわ!」



 ――ぷっつーん――



 その時、間知貝の中で何かが切れた。

「それを言うなら片腹痛いだろうがああああああ!」

 暴走した間知貝が殴り掛かると、途端に乱闘騒ぎに。

 評定どころではなくなってしまった。


「あの人たち、まーたやってるよぉ」

「んなもん、当人の自由じゃんね。

 突っ込みが追い付かないわ」


 成り行きを見守っていた足軽たちが言う。


「お前ら、本当の突っ込みどころはそこじゃない」

「「え?」」






「これ、ラジオ大賞の応募作品だぞ」

「「あー」」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 最初、たらこさんいよいよ時代劇ものまで始めたのかな?と思いましたが…… そ、そうきましたか!  誤用まではタイトルから想像つきましたが、三点リーダーの使い方や改行の仕方まで。確かにラジオじ…
[良い点] メタなネタですね。 これは一本折られました。 ってそれを言うなら取られただろう!!
[良い点] もののふを一瞬もふもふと読んで、「えっ…(トゥンク)」となりました。誤りでした。 [一言] 最初の方がなんとなく読みにくいなあと思ったら誤用でしたか。 なんか読みにくいから読むのをやめたと…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ