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1話目 救助

 これが裏でゴニョゴニョしていたやつです。ものすっごい不定期投稿ですが、かなり凝って製作しているつもりなので読み続けてくれると嬉しいです。

 余談ですが、この手の話は俺すっごく好きで、特に有名なスター(殴


 by 片割れA

 今は近代化が進み、民間人が旅行感覚で宇宙へ旅立つ時代。

 街の都市部は白く美しい高層ビルやマンションが立ち並び、地表から10メートルほどの定高度を航行する車が行き交う活気あふれる場所だった。人々はホログラムを利用したホロプレートを眼前に出現させ、まるで携帯のように扱う。ネットショッピングでポチれば、商品がすぐ手元に瞬間移動して来る。人の営み溢れる場所。

 それが今はどうか。活気は失われ、建造物はボロボロ。完全に廃墟と化している。それもこれも全て…………"奴ら"のせいだ。


 荒れ果てた都市の中で、青年は"人間のような生物"に刃を振るう。西洋の剣を模した重い金属色の物体。その刀身は強いエネルギーの膜で覆われ、白く輝いていた。

 "人間のような生物"は全身に金属製の装甲を纏っており、身体が切断されるたびに青い体液を撒き散らす。対して青年の傷からは赤い血が伝い、装甲のような身体を守るものがない。挙げ句の果てには"奴ら"が使う武器はレーザーガンであって青年のような近距離武器ではない。遠距離から一方的に攻撃できるのだ。


 青年はレーザーガンから放たれる赤い光線を白い刀身で弾き、奴の首を撥ねる。3本指の手に握り締められていたレーザーガンを奪って他の"奴ら"に向かってトリガーを引いた。赤い弾丸が容易く装甲を貫く。射出物がレーザーなだけあって偏差射撃と言うものをしないで済んだ。


 ようやく追手から逃れ、安全を確保できた時、周囲が巨大な影に覆われた。頭上からロケットでも打ち上がったかのような重い音が響く。頭上を見上げてその物体を確認すると、青年は顔をしかめた。


「"スペクター"が来やがった」


 そこには、小惑星のようにごつごつとした形状の細長い"スペクター級重巡洋艦"の姿があった。現状、"奴ら"が地球に持って来た艦の中で一番巨大な艦だ。あれでも十分厄介だが"エンペラー"じゃないだけマシか。スペクター級重巡洋艦の外装の所々に点在する窓から艦内の光が漏れており、下部に存在する戦闘機収容ドッグの大きな出入口は強い光を放っている。


 遠巻きにでも艦底の砲塔がこちらへ向くのがわかった。

 青年は白く輝く剣一つで身構える。


 そして、何百と言う数の赤いレーザーの雨が、地上へ向けて、青年へと降り注いだ。


          *


 少女は崩れたビルとビルに存在する狭い路地を走る。後ろからは装甲を身に纏った"異星人"がレーザーガンを発砲しながら追って来ていた。けれども、未だにレーザーは少女に触れていない。少女が1人用のエネルギー・シールドを起動させているからだ。肩から掛けたカード状の装置が投影装置のように青い球状のシールドを展開している。

 長い髪やワンピースのスカートがはみ出してレーザーに焼かれてないか気になるところだが、それよりもシールドがあとどれくらい保つのか心配だ。現にあの"異星人"の兵を撒けそうにないし、エネルギー・シールドの発生装置が限界を迎えて、赤い警告ランプを点滅させている。


「きゃっ⁉︎」


 そんな危機的状況の中、少女は疲労した足がもつれて転んでしまった。強く打ち付けた部分の痛みを堪えつつ顔を上げる。ついさっきまで守ってくれていたエネルギー・シールドが消えていた。後ろを振り返ると、着込んだ装甲で素肌が見えない異星人が銃口を向けて警戒の姿勢を崩さず歩み寄って来る。

 こんな無防備な人間に対して発砲しないと言う事は、おそらく奴隷にする気なのだろう。父も母も、みんなそうだった。工場かどこかで死ぬまで労働させられるに違いない。想像するだけでも悪寒が走った。


 それだけは嫌だ。


 なんとか逃げ出そうとするが、恐怖に支配された身体が言うことを聞かない。


「いやっ…いや!」


 言葉の抵抗も虚しく、異星人の接近を許してしまいかけたその時、目の前にいた異星人の身体を分厚い装甲ごと光る何かが貫いた。傷口から青い体液が溢れ、異星人は太い呻き声をあげる。倒れる異星人の代わりに姿を現したのは身体の所々に傷を負った大学生くらいの青年だ。彼の右手には、先程異星人の身体を貫いた、刀身が白く輝く重い金属色の刀剣が握られていた。

 その姿に少女が見惚れていると、青年は有無を言わせず、赤子を担ぐように軽々と彼女をお姫様抱っこした。少女はわけもわからず困惑する。しかし、走るたびに痛む傷に耐え、少女を守ろうとする青年の必死な表情を見ている内に、困惑や焦りと言った感情が自然と消えた。


 しばらく走った後、自動ドアが開きっぱなしの近くのビルに走り込む。少女を降ろして、入ってすぐの場所にあった本棚で入り口を塞ぎ、青年はようやく安堵の息を吐いた。刀剣の白い輝きを消し、腰に収める。脇腹に受けた傷が相当辛いのか、顔をしかめて圧迫止血をした。壁にもたれるようにして座り込む。


 そんな痛々しい彼の姿を見て、いてもたってもいられなくなった少女は「ちょっと待ってて」と言って1階の事務室らしき部屋に走って行った。


 事務室の鍵は開いていて、当時勤務していた人が大慌てで逃げたのか中は荒れていた。現代ではどこで怪我をしても簡易的な処置が施せるよう、公の場には必ず1つ救急箱が存在するはずなのだ。少女の目的はその救急箱。自分を助けてくれた青年の怪我を治療してあげたいのだ。

 白くデザイン的なワークデスクの周辺や棚の収納スペースを調べ、ようやく見つけた。ワークデスクに気を取られて入り口手前にあった棚を調べるのが遅くなった。急用だと言うのにかなりのタイムロスをしてしまった。


「早い運ばないと…!」


 ずっしりとした重みのある救急箱は、14歳の少女には少し重かった。両腕をピンと伸ばし、背中を少し反り返らせて一歩、また一歩と進んで行く。青年がいた1階のロビーに戻って来ると、彼はズボンの裾を膝の辺りまで切り取って他の箇所の止血を行なっていた。少女はなんとか運んで来た救急箱を彼の横に置く。無表情には変わらなかったが、助けてくれた時とは違って青年は睨むような鋭い眼を向けて来た。


「使ってくださいッ!」


 負けじと語気を強める。しばらく青年と睨み合いのような状態が続いた。やがて青年は諦めたようにため息を吐き、救急箱を受け取る。


「………ありがとう」


 そう素っ気なく返しながら。



 傷の治療を終えた時、ビルの外から聞いた事もない言語が太い声と共に発せられた。"奴ら"だ。おそらく、青年の血痕を追って辿り着いたのだろう。青年は徐に立ち上がって少女の手を掴む。彼女は突然の出来事に驚いていたが、それに意も返さず階段へと走り出した。

 足音を聞いてビル内の異変を感じた外の異星人が何やら大声を上げる。無線で仲間にでも知らせているのだろう。ならば先を急がなければならない。


 途中、階段で転けかけた少女を再びお姫様抱っこで担ぎ、ビルの屋上まで一気に駆け上がる。81階の屋上に出ると、強い風が容赦なく吹き付けた。遠くでは、曇った昼の空に異星人が乗って艦がぽつぽつと見える。こちらに向かってくる艦も。その中に、"スペクター"もいた。次第にひし形の揚陸艇も、エサに群がるハエのように向かって来る。


「どうするの?」


 腕の中で少女が不安げに尋ねて来た。正直、青年も少し不安だった。今から行う無茶にこの子が耐えられるかどうか。


「…ここから抜け出す。自分の身体が半分消えない事を祈りな」


 真剣な青年の不用意な発言に不安を煽られた少女が焦って抗議し出したが、彼は無視して刀剣のグリップの中からUSBメモリのような物を抜き出した。"エネルギー・コア"だ。中をくり抜いて作られたガラスケースの中央には、淡い光を放つ六角形の白いクリスタルが浮遊する。クリスタルからは強大なエネルギーを感じ、保護しているガラスケースが今にも破裂しそうな勢いを感じた。

 エネルギー・コアの外部装置に付いたスイッチを一つ入れると、青年は何の躊躇いもなく屋上の縁へと走り出す。


「ちょ、ちょっと!なに⁉︎」


 少女はわけもわからず、ただ落ちないようにと青年の首に抱きつく。


 間も無くして、青年と抱えられた少女は81階の高さから身を投げ出した。頭を下に向け、正面から来る風を切って地面へと落下する。少女は悲鳴を上げ、青年はこの博打が上手く行く事を願った。徐々に白い光が2人を包み込み、地面にぶつかる寸前にて姿を消す。当然、近くにいた異星人達は突然の出来事に混乱した。しばらく立ち尽くした後、探せ!探せ!と言うように叫ばれた指示に従って、異星人達は散って行った。



 2人はボロボロになったマンション街にて姿を現した。芸術的な造形をしていたはずのマンション街の道路を勢いよく滑り抜ける。青年は少女を自分の身体で包み込むようにして守り、身体のあちこちを強打した。アスファルトに背中を擦り付けながら止まり、マンション街の中央部、その交差点に来る。全身を針で刺されているような激痛に耐え、青年はなんとか立ち上がった。


「怪我は、ないか…?」


 治療したばかりの傷が開き、痛みに耐えようと歯切れの悪い口調になる。ああ、全く。最悪だ。


「わたしは大丈夫……でも、お兄さんが」


 少女は彼の苦痛の表情を見て心配した。こんな状況にまでなって、どうして彼女は自分の心配ではなく青年の心配をするのか。彼には不思議でならなかった。


「俺の心配はしなくて良い。それよりも------」


 身体中の傷を気にしながらエネルギー・コアの無事を確認し、グリップ内部へと戻そうとする。その時、過去に何度も聞いた嫌なエンジン音が遠くから木霊した。振り向くと案の定異星人の特徴的な戦闘機が2機、こちらに迫って来ていた。人間の子供すら乗れそうにないほど薄い三角形の機体だ。軽く舌打ちする。エネルギー・コアをグリップ内に収め、刀身にエネルギーの白い膜を纏わせた(関係ないけどこれが白く輝く原因)。刀剣を構える。奴らから奪ったレーザーガンでは立ち向かえない、せめて少女だけでも守ろう。

 そう思っていた時、別の方向からも奴らとは違う聞き慣れた別のエンジン音が響いた。視線を向けると、地球連合軍の古いドロップシップがこちらに向かって来ている。砲塔のなくなった戦車がキャタピラの代わりにブースターを取り付けたような、そんなドロップシップだ。右舷に付いたスライドドアから1人の女性が身体を乗り出す。所々にオイルの染みが付いたつなぎ姿の若いアジア系の女性だ。


「掴まって!」


 彼女は青年達に向かって明一杯手を伸ばした。あのドロップシップがあればなんとかなるかもしれない。そう考えた彼は立ち上がろうとしていた少女の手を引き、目の前を通り過ぎようとしたドロップシップから伸びた手をしっかり掴んだ。女性に手を引かれてドロップシップに乗り込む。予想外な行動に挙動不審になる少女を連れて。すると、操縦席の方から男性の豪快な笑い声が響いた。


「上手くいったな、ここから脱出するぞ!」


 中年男性の頼れる声だ。


 兵を輸送する船とは思えない乱暴な操縦に揺られ、鉄の壁にぶつかりそうになる。鉄板の床に倒れそうになる少女の小さな身体を支えつつ、左舷の小窓から顔を出した。追手の様子を確認できる。三角形の平たい機体。その下部に取り付けられた2門の機銃から赤いレーザーが放たれる。操縦席の男の乱暴で正確な操縦によって軽く避けられた。

 それから細道に入り込み、複雑な航路を辿る。しかし、相手の機体が異様に平たいせいでどんな場所でも難なく滑り込んでくる。これじゃあらちが明かない。

 ふと船内の後方へ眼を向けると、ハッチから顔を出しているボロボロの後部銃座が存在した。


「おい!あの機銃は使えるのか?」


 操縦席を振り返って尋ねる。


「動きはするけど、今はレーザーの"エネルギー源"がない。エネルギーの補給さえできれば使えるんだけどね」


 操縦の揺れに耐えながらつなぎ姿の女性が答えた。"エネルギー源"……

 青年は腰に収めた刀剣に眼を向けた。そしてエネルギー・コアを抜き取り、撃ち抜かれないようハッチに気を付けながら機銃のエネルギータンクに接続する。何をする気だい?と女性に尋ねられたが、何も答えなかった。話すよりも見てもらった方が早いからな。


 ハッチから頭を出してトリガーに指を置く。針金で作られた今時珍しいアナログな照準機で手前にいた敵機との照準を合わせ、発砲した。甲高い銃声が響く。高出力のエネルギー弾をフルオートで発射し、撃たれた敵機は一瞬にして爆発の炎に包まれた。黒く焦げた鉄屑が回転しながら地面へ落下する。すぐにもう1機も同じ目に遭わせてやった。周囲の安全を確保し、青年は安堵の息を吐く。


「すごいじゃないかブラザー!」


 2つ目の爆発音が響くなり、操縦席の男が大絶賛した。


「そりゃどうも」


 タンクに接続していたエネルギー・コアを抜き、クリスタルの様子を確認する。…まだ大丈夫。エネルギー・コアをグリップの中に戻した。すると、駆け寄って来た少女が青年に抱きつく。突然の奇行に思わず驚いてしまった。その様子を見て微笑んだ2人がこちらに歩み寄って来る。操縦はオートパイロットに切り替えたようだ。


「さっきは助かったよ。まさか追手があんなにしつこいとは思わなくてね」


 女性がお礼を述べた。


「助け舟を出すつもりが危うく三途の川を渡らせるところだったぜ」


 ガハハと豪快に笑い話にするこの船を操縦していた男。彼は地球連合軍のパイロット着を着用していた。色は黒で、肩には地球連合軍のマークが付いてる。ヘルメットは被っていなくて、見えている肌の色は黒人より。すごくフレンドリーな人だ。操縦が慣れているところから、おそらく元々パイロットをしていたんだろうな。


「いえいえ、こちらも打つ手がなかったので助かりました」


 とりあえずそう返しておく。顔では笑っていたものの、話し方には愛想がなかった。青年が頭を下げると、抱きついていた少女も頭を下げる。それを見たつなぎ姿の女性が微笑を浮かべた。


「仲が良いのね。兄妹なの?」


 口頭で答えようとする青年よりも早く、少女が首肯する。いや待て、なぜウソをついた?そんな心中の抵抗は意味がなく、続けて、このお兄さんに助けてもらったのと彼女は言った。


「それじゃあこの男は俺達全員の恩人ってわけだ」


 みんなが口々に青年を囃し立てる。少し照れ臭くもあったが、悪い気はしなかった。ウソをつかれた事以外は。


「-------そろそろ自己紹介でもするか。名前を知らないんじゃあ、盛り上がろうにも盛り上がれないしな」


 パイロットの男はその一言で場を鎮め、注目を集める。咳払いを一つ挟んで紹介を始めた。


「俺はタツヤ・サリバン。今じゃ落ちぶれてるが、昔は連合軍のパイロットだった。そんでこいつが-------」


 と、つなぎ姿の女性を紹介しようてして彼女自身に止められる。


「私はヤン・ヨウラン。タツヤとは連合軍からのパートナーで、彼が乗る機体を整備していたの」


 腰に携えていたレンチを取り出して自慢げに笑うヨウラン。アジア系によく見られる細い眼が美しさを強調していたが、髪がショートヘアのため、少しの無邪気さも感じた。それに負けじと青年に抱きついていた少女が自己紹介を始める。


「わ、わたしはアオキ・ハナ。えっと……14歳です」


 彼女の年齢を聞いて2人は驚きのあまり眼を見開いた。


「14歳なのか…」


「よく今まで頑張ったね」


 などとそれぞれの感動と称賛の声を漏らす。確かに、世界のどこにいても命の危険がある状態で14歳の少女がよく今まで生き延びてこられたものだ。そこは褒め称えて当然だろう。


「じゃあ、最後は私達の恩人さんね」


 少女の頭を撫でつつヨウランが視線を向けた。思わず顔をしかめそうになるのをなんとか抑える。自己紹介をするべきかと少し悩んだが、別に悩む必要はないものだと思い直した。


「ワイアット。レーザーガンと"エネルギー・ブレード"くらいなら扱えます」


 腰のベルトに引っ掛けてある、かなり前の戦いで異星人から拝借したレーザーガンと、同じく腰に携えた西洋の刀剣を模した"エネルギー・ブレード"を指す。


「------と言う事は、さっきの白い部品がエネルギー・コア?」


 容姿の美しさとは裏腹に少し興奮気味に尋ねるヨウラン。


「あ、ああ。そうだが…」


 突然の問いかけと豹変にワイアットは少し困惑した。


「やっぱりそうなのね!」ヨウランはグイッと顔を近づけた。すぐに熱弁を始める。「エネルギー・コアは私達エンジュニアの中で誰もが憧れる存在なの!特にどんなものにも利用可能なエネルギーを発生させると言う点が何とも魅力的で…!」そこまで語ったところで周りの視線に気付く。「ああ!すみません!私ったらこの事になるとどうしても言葉が止まらなくなってしまうの」


 なんとも個性的な人だな。


「いえ、気にしてないから大丈夫です」


 苦笑を浮かべる。その間、タツヤから少し妙な視線を感じた。ふと顔を向けると、何やら真剣な顔付きでこちらを睨んでいる。何か問題でもあったかなと疑問に思っていると、ワイアットに見られていた事に気付いたタツヤは自重気味な笑みを浮かべた。


「ああ、ジロジロ見てすまない。何せエネルギー・ブレードなんて物を持ってる奴と会うなんて初めてなもんだから、つい警戒しちまった。悪い事をしたな」


 そういう事かと心中で納得する。


「確かに、エネルギー・ブレードは特殊な訓練を積まないと所持する事が許されませんからね」


 ハナやヨウランに不信感を与えないようフォローを加えつつ言葉で納得した事を伝えた。


「わかってくれたのならありがたい」


 タツヤは安堵の息を吐き左舷の小窓へ足を向ける。今の安堵は、このご時世で仲間を持つ事がどれだけ大切なのかを知ってるからこそのものだろう。強大且つ大多数の異星人に立ち向かうためには、大勢の仲間が必要だからな。


「------ところで、この船はどこに向かってるのですか?」


 ワイアットもそろそろ尋ねようとしていた疑問をハナは口にする。


「今向かってるのは、私達地球の生き残りが運営する"基地"よ」


 ヨウランがハナと視線の高さを合わせて答えた。


「"基地"?」


 予想もつかなかった言葉に驚くワイアット。


「ああ、そうさ。……丁度見えて来たぜ、俺達の"最後の砦(希望)"がよ」


 小窓から外を覗いていたタツヤが返答する。それを聞いた3人はヨウランが開けた左舷のスライドドアから進行方向の先を見た。

 その先には、一面に広がる残骸だらけの荒野に佇む巨大な競技場のような"砦"が存在した。

 読んでくれてありがとうございます!


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