伍ノ巻 ~野外活動
【 壱 】
今日は9月6日、キャンプの日だ。天候にも恵まれ、9月だというのに夏のような暑さは変わらない。天気予報も今日と明日は晴れになっていたから、雨の心配はなさそうである。
今、俺はヤマッチの運転する、トヨタ・ハイエースの助手席に乗っている。
この車は、ヤマッチの親が所有する車だそうで、色は紺とシルバーのツートンカラーで8人乗りである。
一応、今回のキャンプは、この車1台に参加者全員が乗合い、向かう事になっているのだ。
それから勿論、今回のキャンプにも鬼一爺さんは同行している。
今のところ、俺の一番強い味方だから、鬼一爺さんには密かに期待しているのである。いざというときは頼んだぜ、鬼一爺さん!
まぁそれはさておき、今日の俺は、黒と白の半袖のカットソーと茶色のカーゴパンツというラフな感じの服装をチョイスした。
この服装にしたのには、別に理由はない。ただ単に、アウトドア派の俺がよく着る服をチョイスしただけである。やっぱ山に行ったらカーゴパンツっしょ。
話は変わるが、昨日、荷物の用意をしていた時、鬼一爺さんは以前作成した霊籠の符を、最低でも10枚程持っていく様に薦めてきた。
何があるか分からないから念の為にだそうだ。
それに、今の俺の唯一の悪霊退散兵器でもある。
なんでも鬼一爺さん曰く、霊籠の符に溜めた霊力を解放すれば、そこら辺の悪霊程度なら、これ一枚で消滅させる事が出来るらしいのだ。
というわけで、それを聞いた俺は、10枚といわずに、30枚ほど荷物の中に入れてきたのだった。
実を言うと俺はまだ、あの女幽霊のトラウマから抜けきってないので、こうなるのも仕方がないのである。話を戻そう。
助手席の車窓から流れ行く景色を眺めた後、俺はチラッと後ろの席へ視線を向けた。
後ろの席には、ヤマッチの同級生である女子4人と男子2人が、和気藹々とした雰囲気の賑やかな空間を作っていた。
この中では俺1人だけが部外者だが、疎外感というものは全然なく、親しみやすい人達ばかりであった。
ヤマッチが俺に気を使って、色々と根まわしをしてくれたのだろう。
また、高田さんの隣には、やはりあのおじさんの幽霊がいた。
他の人には何も憑いてないので、少々気になるところである。が、幾ら考えたところで、わかるわけもない為、後で鬼一爺さんに聞こうと俺は結論し、これについては深く考えるのをやめたのだった。
(高田さんの件は後だ。今は皆とのキャンプを楽しむとしよう)
俺がそんな事を考えていると、ハンドルを握るヤマッチが話しかけてきた。
「日比野、結構賑やかな連中だろ? 俺等のクラスってやかましいのばかりだったからな」
「でも、賑やかなのいいじゃんか。陰気なのと比べたら全然いいよ」
「まぁな。そういえば、日比野って車の免許持ってるのか?」
「いや、持ってない。っていうかヤマッチが持っていたのが驚きだよ」
「俺の場合は、推薦で大学に入ったから結構、時間が取れたんだよ」
「なるほどねぇ。まぁ俺も、車の免許は欲しいと思ってるんだけどね」
と、そこで、後ろの席にいた中野亜衣ちゃんが俺達の会話に入ってきた。
「へぇ〜、日比野君、車の免許取る予定なの?」
「欲しいんだけど、金と時間がなぁ……ところで、亜衣ちゃんは免許持ってるの?」
「エヘへ。実は……」
亜衣ちゃんはもったいぶった仕草をする。
「実は……?」
まさかと思い、俺は体を起こす。
しかし、返ってきたのは予想通りの言葉だった。
「持ってませ〜ん」
(い、一体、何の為に引き伸ばしたのだろう?)
などと考えつつ、俺は苦笑いを浮かべた。
亜衣ちゃんは続ける。
「でも、進学しない人達とか、専門学校にいく人達は、今年1月頃から自動車学校に通ってたよ」
それを聞き、自分のクラスの奴等もそうだった事を思い出した。
「そういや、俺の高校でも同じだったな。少し羨ましかったよ」
と、ここでヤマッチが訊いてきた。
「ところでさ、日比野って確か、物部市出身だよな?」
「ああ、それがどうかした?」
「実はさ、嘘か本当かは分からないんだけど、すごい胡散臭い話を聞いたんだよ。なんでも、お盆の時期の話らしいんだが、物部市の御迦土岳山中に、UFOが墜落したとか聞いたんだよ。日比野ってこの噂知ってる?」
俺はその話を聞いた瞬間、サーと血の気が引いた。
何故なら、モロにあの出来事とリンクしている話だったからだ。
(UFOって……やっぱ、アレの事だよな。と、とりあえず、適当に話を合わせとこう)
俺は平静を装いながら、爽やかに言った。
「そういえば、そんな事を親父が言ってたような気がするな。でも、俺自身はそんなの見たことないからね」
「そうなのか。でも、その光景を見た人の話だと、凄かったらしいぜ。山から空に向かって光の柱が出来たって言ってたからな」
「ひ、光の柱? へぇそうなんだ。なるほどねぇ。……おっ、キャンプ場まで後10kmだってさ。もうすぐだね」
これ以上この話が続くと辛い為、道路脇にあった中津の森キャンプ場の看板を見るなり、俺は強引に話題を変えたのであった。
それから、中津市北部の山中を移動する事、約20分。
俺達は今回の目的地である、中津の森キャンプ場に到着した。
キャンプ場は市街地から比べると、かなり標高の高い所にある所為か、体感気温が2度ほど、市街地とは低く感じた。
また、キャンプ場内には幅60m程の川が近くに流れており、水の流れる「サァァァ」とした音が、気分をリラックスさせてくれるのである。
この雰囲気だけでも、ここ最近、色々と疲れていた俺にはありがたかった。癒しの空間という感じだ。
それと、このキャンプ場内に入って分かった事だが、今日の施設利用客は少ないようであった。
まぁ平日だし、おまけに小・中・高校の夏休みが終わった今となっては当然だろう。
俺の大学は夏季休暇が、丁度、お盆前から9月の下旬までなので、こんな時期に来る事が出来るのである。また、他の皆も学校は違えど、大体同じなようだ。
車から降りた俺達は、用意した荷物を各自が持ち、キャンプ場の受付をしている管理棟へと向かった。
管理棟は『北の国から』にでてきそうなログハウスで、結構、周囲の景色にマッチしていた。
これで、田中邦○みたいなのが受付にいたらもっとよかったんだが、いたのは普通のおっさんだった。
それはさておき、このキャンプ場だが、テント・サイトとログケビン・サイトに分かれており、俺達はログケビン・サイトの方を予約していた。
その為、管理棟にてその旨を告げ、先にチェックインを済ませた。その後、管理人さんからキャンプ場の説明や注意事項を聞き、俺達はログケビンの鍵を受け取ると、鍵にかかれた番号のログケビンへと移動を始めたのである。
予約したログケビンは丁度8人用で、ベットルーム・キッチン・シャワー・トイレ・冷蔵庫・暖房・給湯等が完備していた。
だが俺はこれらを見るなり、すこしガッカリしたのである。
なぜなら、このログケビンの装備はあまりに文明的過ぎたので、アウトドア野郎の俺からすると、あまりキャンプっぽくない施設に感じられたのだ。が、しかし……実を言うと俺は、こういったログハウスのような丸太小屋に昔から憧れていたりもするのである。
一度は、こういった家を持って住んでみたいと思わせる何かがログハウスにはあるのだ。
と、まぁそんなどうでもいい事はさておき、ヤマッチは、ログケビンの扉を開錠すると、早速、扉を開いた。
扉が完全に開かれたところで、俺は他のみんなと共に、中へと入っていった。
ケビンの中は、内装材に使われている檜の仄かな香りが充満しており、非常に落ち着いた気分にさせてくれた。その影響か、まるで森林浴をしているようであった。
ケビンの間取りは、建物の両端にベッドルームがあり、そのベッドルームに挟まれる形で、真ん中がダイニングルームとなっていた。
そして、ダイニングルームの一画には、キッチン・シャワー・トイレがパーテーションに仕切られて設置されているのである。
俺達はまず、男女で左右どちらのベッドルームを使うか決めた。
その後、各自の荷物をベッドルームに置いてから、昼飯の準備に取り掛かかる事にしたのである。
因みに男が左の部屋で、女子が右となった。
荷物を運び終えると、一旦、中央のダイニングルームに集まり、バーベキューの準備項目を各自に振り分ける。
内容は、男達は力仕事、そして、女子は調理といった具合だ。
それらが決まったところで、各自が割り当てられた仕事に取り掛かったのである。
俺を含めた男4人は、管理棟へと向かった。
管理棟に向かったのは、寝具を借りるのと木炭や薪を買う為だ。
そこで物資の調達をした俺達は、早速、ケビンへと戻る。
そして、ヤマッチが持参したバーベキューコンロに木炭を入れて、火を起こし始めたのである。
火花が散るので、俺はその光景をやや離れた所で見ていた。
するとそこで、西田君と笹島君という名の男子2名が、俺に近寄ってきたのだ。
西田君という子は眼鏡をかけており、ぱっと見はインテリに見える子であった。
対して、笹島君は、肌も浅黒く体育会系といった感じの子だ。
2人は俺の隣に来ると、まず、笹島君が俺に話しかけてきたのである。
「日比野君は物部市出身なんだって?」
「そうだよ。まあ高天智市と比べると結構田舎だけどね」
と、ここで西田君が言った。
「うちの大学にも、物部市から来てる人がサークルの先輩でいるよ」
「へぇ〜。そういえば西田君て、確か東京の大学に行ってるんだよね?」
西田君は頷く。
「そう。今回は、里帰りでこっちに来たんだ。お盆は家に帰れなかったからね」
と、その時だった。
ヤマッチの声が聞こえてきたのである。
【おーい、笹島。団扇で仰ぐのを手伝ってくれ】
「おう分かった」
快く返事すると、笹島君はヤマッチの手伝いに行ってしまったのだ。
そんな笹島君を見送りながら、西田君は俺に言った。
「日比野君は、山崎と同じ高天大だよね?」
高天大というのは、勿論、俺の通う大学の略称だ。
F県に住む人達は皆こう呼んでいる。
「そうだよ。それがどうかしたかい?」
「実は、家の兄貴も高天大にいってるんだ。経済学部の3回生だけどね。ところで、日比野君はサークルって何か入ってるの?」
「いや、俺もヤマッチも、まだサークルには入ってないんだよね」
すると西田君は、何かを考えてるのか、「ンン〜」という声と共に黙り込んだのである。
そして暫くすると、遠慮がちに言ったのだ。
「実はさ、家の兄貴が高天大の剣道愛好会に所属してるんだ。それで今朝、同年の高天大の子がキャンプに来るって兄貴に言ったら、剣道愛好会に誘ってみてくれってお願いされたんだよ。で、どうかな? まぁ別に深く考えないでいいよ。嫌なら嫌で問題ないしさ」
「そうなんだ。剣道かぁ、やった事はないけど。……まあ、考えておくよ」
「分かった。それじゃ、兄貴には、そう言っておくよ」
いきなり断るのも悪いと思った俺は、その場凌ぎに、曖昧な返答をした。
しかし、この曖昧な返事が、後で俺に不幸をもたらすのである。が、そんな事など、この時の俺には知るよしもなかったのであった。
俺と西田君が暫し会話をしていると、高田さんと今回初めて会う女の子の1人、皆川さんが此方にやってきた。
皆川さんは、髪は茶色く染めたボブスタイルで、紫のフリルのついたタンクトップと茶色のベイカーパンツという感じだ。
結構、胸の大きな子で、ついついそっちに目が行ってしまう。これはもう仕方が無い。だって男の子だもん。三度の飯とオッパイだけは譲れない。
続いて高田さんの今日の格好だが、以前よりも上の露出が多く、黒のキャミソールにデニムスカートといった具合だ。
というわけで、2人に言える事だが、胸がケシカラン!
おまけに、今日キャンプに来ている子は、綺麗な女子達ばかりなので、目の保養にもなるのだ。
彼女たちを見ているだけで、俺は『来てよかった』などと思っていた。
まぁそれはともかく。
俺はさわやかな笑顔をつくると、高田さん達に労いの言葉を掛けた。
「高田さんに皆川さん、お疲れさま」
「2人共、おつかれさま」と皆川さん。
「はい、おつかれさま。日比野君に西田君、麦茶をどうぞ」
そして高田さんは、俺達に労いの言葉を掛けると、紙コップに入った麦茶を振舞ってくれたのだ。
俺は礼を言うと受け取った。
「ありがとう、高田さん」
俺達がヒンヤリと冷えた麦茶を飲んでいると、ヤマッチは、簡易ガスバーナーで木炭に火をつけていた。
「パチッパチッ」っと木炭の弾ける音が聞こえてくる。
5分程バーナーで炙ると、真っ赤な色の木炭が出来上がりつつあった。
そして火の起きた木炭を、笹島君が暫く内輪で仰ぎ、更に火を起こしていたのである。
やや離れた俺の場所でも、木炭の放つ遠赤外線効果の熱気が伝わってきた。
程なくして、ヤマッチはバーベキューコンロの上に金網を乗せる。
そしてヤマッチは皆に言ったのである。
「もう焼けるぞ。始めようぜ」
その後、俺達は大自然の中で、肉や野菜を焼き、空腹を満たす。
青空の下で食べる食事は格別で、日頃溜まった俺の疲れも、吹き飛ばしそうな感じであった。
そして最後は、お約束の焼きそばで締めくくり、バーベキューは終わったのである。
食事を終えた俺達は、夕飯まで自由行動になる。
俺は暫く皆と一緒に休んだ後、近くの川を見に行く事にした。
川の周囲を見回すと、小さな霊魂が沢山漂っていた。が、特に害はないので気にしないようにし、今は自然を満喫する事にしたのである。
俺は土手から川に目を凝らす。
ここ1週間は雨が降ってない事もあり、川の流れは比較的穏やかで、澄んだ色をしていた。
恐らく、水温も15度より低いだろう。
見た感じだと、この川には、山女や岩魚等が居そうな雰囲気であった。当然、釣をしたい衝動に襲われる。
しかし、今日は釣り道具自体を持ってきていない上に、この川の漁業券も持ってはいないので諦めるしかない。
というわけで、観賞で我慢する事にした。
川縁を歩いていると、亜衣ちゃんとヤマッチ、そして今回のキャンプで初めて会う朝川 美香ちゃんが俺のところにやってきた。
朝川さんは、ブラウンカラーの長髪で眼鏡を掛けており、背は亜衣ちゃんとよく似ている。
2人並んで歩いていると兄弟のようだ。
服装は水色のキャミソールとデニムパンツといった感じで、亜衣ちゃん共々、可愛らしい子である。
ヤマッチは言う。
「日比野、釣道具は持ってこなかったのか?」
「ああ、俺も持ってくれば良かったと思ったよ」
「日比野君て釣りが好きって言ってたもんね」と亜衣ちゃん。
そこでヤマッチは、キャンプ場内の道を指さすと言った。
「日比野、4人でそこらへんを散歩でもしようぜ。向こうに遊歩道があるようだしな。つうか、このキャンプ場広すぎだろ、100ヘクタールもあるらしいぞ」
「へぇ散歩か。いいよ」
というわけで俺は、ヤマッチの提案でキャンプ場を散歩する事になった。
散歩中、俺はあまり話す機会のなかった朝川さんに話しかける。
「朝川さんは、県内の学校に通ってるの?」
「ん? 違うよ。隣のG県の女子大に通ってるの。日比野君は山崎君と同じ大学だよね」
「うん、そう。大学で一番最初に仲良くなったのがヤマッチなんだよ」
「へぇ、そうなんだ。ところで日比野君て幽霊って見た事ある?」
朝川さんは微妙な質問をしてきた。
「ゆ、幽霊……」
俺は予想外だったので、少し戸惑った。
しかし、あまり不自然な感じになるのもまずい。
なので、いつもどおりに話しをするよう心掛けて、言ったのである。
「いや、無いけど。それがどうかしたの?」
「実は、このキャンプ場って『出る』って聞いたよ。何でも自殺者がこの山に多いらしくて。私、そういうの見た事ないんだけど、親戚の子が見たらしいのよ」
「で、朝川さんはぜひ見たいと?」
「へへ、分かる?」
分かりますとも……ええ、分かりますとも。
朝川さんのその顔は好奇心で一杯といった感じだから。
俺は言う。
「へぇ、でも意外だね。女の子って、そういうの嫌いだと思ってたから」
「実はわたし、女子大でオカ研に入ってるのよね。女の子って両極端だから、オカルトとかは好き嫌いハッキリとでるのよ」
俺は一瞬、朝川さんが危険人物に見えた。
そして、絶対に幽霊が見えるといえないなこれは。と、自分に言い聞かせたのである。
「へぇ、そうなんだ。み、見れるといいね、幽霊が」
「でも、駄目なのよね。私、霊感が無いのか見た事ないのよ。一度でいいから見てみたいわ」
朝川さんは力強くそう語る。
俺はそれを聞き、出来る事なら幽現成る体質を全部朝川さんにあげたいと思ったのだった。
「今晩もしかすると……出るかもね」と、おれは幽霊の真似をして、少し怖い雰囲気を演出しながら朝川さんに言った。
「本当よ。みてみたいわ」
すると朝川さんは、俺の幽霊の真似を華麗にスルーし、力強くそう言ったのである。
俺はアグレッシブな朝川さんを見て、たくましいなと思い、少し引いた。
またそれと共に、脳内で溜息を吐いたのだ。
と、そこで、亜依ちゃんが話に入ってきた。
「美香、またオカ研の話をしてるんでしょ」
「そうよ。亜衣は怖がりだから、そっち方面の話は苦手だもんね」
「朝川、あまり日比野を変なのに勧誘するなよ」と、ヤマッチ。
すると亜衣ちゃんが、俺に奇異の目を向けて訊いてきたのである。
「日比野君も、オカルト関係好きなの?」と。
「いや、別に好きというわけじゃないんだけど、まぁ嫌いでもないかな。関わった事ないからなんとも言えないけど」
この質問に、俺はこう答えておいた。が、方便とはいえ、この時の俺は確実にオカルト関係が嫌いだった。
だから嘘をついたようで後味が悪かったのであった。
「エヘへ、日比野君てオカルトとは無縁な感じだもんね」
亜衣ちゃんはこう言ってるが、俺の現在の状況を知ると気絶するかもしれない。
だって、この中で一番オカルトに接しているのは紛れも無い自分だからだ。
とまぁこんな感じで暫く散歩をした俺達は、一通り見回ると、またケビンへと戻ったのであった。
だが、その夜……待ってたかのようにトラブルは訪れるのだった。
勿論、普通じゃない方のトラブルが――