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霊異戦記  作者: 股切拳
第参章  古からの厄災
44/64

四拾四ノ巻 ~黄泉 二

 《 四拾四ノ巻 》 黄泉 二



 ―― 一方……。


 涼一達が移動した後のリビングでは、瑞希や沙耶香が不安そうな表情で、その移動先の和室へと視線を向けていた。

 また、先程まで鬼一法眼に強く訴えていた明日香でさえも、この突然の事態に驚き、無言で和室を見詰めているのだった。

 その為、リビング内は先程までの喧騒とは打って変わり、シーンとした静寂に包まれているのである。

 だがその時。

 やや不穏な空気に包まれたこのリビングの中でただ一人、明日香へと視線を向けていた詩織は、そっと明日香の傍へ移動する。

 そして明日香の肩にポンと手を置き、優しく声を掛けたのだった。

「明日香……。大丈夫よ。明日香なら見つけられるわ〜」

 詩織の接近に気付いていなかった明日香は、ビクッとしながらも詩織に振り向く。

「お、お姉ちゃん……」

 そして涙で濡れた目元を手で擦り、やや無理をしながらではあるが微笑むのだった。

 詩織もそんな明日香に微笑み返すと言った。

「ウフフ。それにしても、日比野君の師匠が、あの鬼一法眼様だなんてビックリしたわ〜。架空の人物かと思っていたのに、本当に実在してたなんて〜。しかも、鬼一法眼様は賀茂家の方だったのね」

 それを聞いた明日香は、先ほどのやりとりを思い出す。

 すると頬を膨らまして言うのだった。

「本当よッ。お爺ちゃんも酷いわッ。こんな事を黙ってるなんて……」

「まぁまぁ落ち着いて、明日香」

 詩織は笑顔を浮かべながら、憤る明日香を宥めた。

 と、そこで、瑞希や沙耶香も2人の方へとやってくる。

 すると瑞希が明日香に向かい控えめに言うのであった。

「明日香さん……お爺さんも、明日香さんなら見つけられると思って、ああ言ったんだと思います。……私が言うと、あまり説得力が無いかも知れないですけど」

 瑞希は声のトーンを幾分落として言い終えた後、肩を窄める。

 明日香はそんな瑞希に微笑み返すと頭を撫でる。

 そして明るい口調で言った。

「ありがとね、瑞希ちゃん。頑張るわッ。だって悔しいもん」

 すると、撫でられた瑞希は照れたのか、はにかんだ笑顔を浮かべるのだった。

 だが詩織は、今の話にやや引っかかる部分があった為、瑞希にそれを問い掛ける。

「ところで高島さん。今の口ぶりからすると、鬼一法眼様の事を知っていたの〜?」

 詩織の言葉を聞いた瑞希と沙耶香は、互いに気まずい表情で顔を見合わせる。

 そして互いに一度頷いた後、沙耶香は申し訳なさそうに言うのだった。

「はい……。実は前もって土門長老やお父様から、黙っている様にと言われていたのです。3人を騙す様な形になってしまったのを深くお詫びいたします……申し訳ありませんでした」

 とそこで沙耶香は詩織と明日香に向かい、深く丁寧に頭を下げた。

 瑞希もそれに倣い沙耶香と共に頭を下げる。

 沙耶香は頭を上げると続ける。

「ですが、理由までは私達も聞かされておりませんでした。ですので、鬼一法眼様が隠れて私達を見定めていた、と言う事までは私も知らなかったのです」 

 沙耶香の言葉を聞き終えた詩織と明日香は、キョトンとした表情で互いに顔を見合わせる。

 すると詩織はフゥと軽く一息吐き、今までの事を思い返しながら言うのだった。

「そうだったの。……どうりでお爺さんの様子が、いつもと違うような気がしたわけだわ〜」

 そこで明日香が、瑞希と沙耶香に問い掛ける。

「日比野ッチと鬼一法眼様って、かなりおかしな組み合わせなんだけど。どういった経緯で師弟の関係になったの?」

 瑞希は言う。

「私も何処で出会ったのかまでは、ちょっと分からないです。でも、お爺さんが言うには、日比野さんが今現在、唯一のお弟子さんだそうですよ」

 沙耶香も瑞希に続いて言う。

「それと鬼一法眼様が言うには、日比野さんが教えた者達の中で、一番優れた素質を持っているとも言っておりました」

 明日香は2人の話を聞き、暫し考える。

 しかし、特別これといって驚くような事実でもない為、再度尋ねるのだった。

「そうなんだ。まぁ確かに、日比野ッチは素質あるわね。……他には何か無いの? 例えば鬼一法眼様の事とかで」

 だが瑞希と沙耶香は、特に何も思い浮かばないのでウーンと唸りながら首を捻る。

 するとその時。

 詩織がポンと手を打ち、言うのだった。

「あっそういえば〜」

「何? お姉ちゃん」

 明日香は意外なところから声が上がったので、やや驚きつつも尋ねた。

「この間なんだけど~。和風カフェで日比野君に師匠の事を聞いたら、水○黄門が好きな人とか言ってたわ。鬼一法眼様はそんなの見てるのかしら?」

「お、お姉ちゃん。そ、それは別にどうでもいいわ……」

 明日香はマイペースな姉の言葉に、ややガックリとなりながらそう返事した。

 だが詩織は、空気を読まずにニコニコと言うのである。

「あら、そうなの? でもそれぐらいしかないわね〜……」と。

 少し間を空けて詩織は続ける。

「でも今の話を聞いたら、お爺さんが私にお見合いみたいな事をさせた理由も、なんとなく分かったわ~。日比野君が鬼一法眼様に認められた人だからなのね〜。やけに張り切ってたから、変だなぁ〜って思ってたのよ」

「そういうお姉ちゃんだって、満更でもないんでしょ? でも、お姉ちゃんと日比野ッチって、なんかある意味お似合いかもね。クスクス」 

 明日香からすると、涼一と詩織は共にどこか抜けた様なイメージがあるので、似たもの同士に見えたのである。また、それが可笑しくなって思わずそう口にしたのだった。

 だが、それに待ったを掛ける者達がいた。

 瑞希と沙耶香である。

 2人は声をハモらせながら、やや低い声色で明日香に言った。

「「明日香さん、それは駄目です!」」と。

「エッ? 2人共……ど、どうしたの急に……」

 明日香は瑞希と沙耶香の雰囲気が一変した為、ややたじろぐ。

 詩織はそんな2人に向かいニコニコと微笑むと、明日香に言った。

「ウフフ。2人はねぇ、私のライバルなのよ〜」

「へ、へぇ〜そうなんだ……。なるほど」

 明日香はそう返事をしつつも、こう思っていた。

 あの男の一体どこが良いんだろう? 全然、魅力を感じないんだけど……と。

 だが、そんな風に考える明日香を他所に、3人の間からは笑顔でありながらも妙に緊迫した空気が漂い始めていた。

 明日香はそんな3人の様子を見て苦笑いを浮かべると、漠然とではあるがさっきの事を考えるのである。

 鬼一法眼の言っていた自分に足らないものとは何かを。また、どうやってそれを見つけ出すかを。

 それらに意識を向け、真剣に考え始めるのであった。



 ―― それから1時間後 ――



 俺達は今、高天智市のインターチェンジから高速自動車道に入り、G県へと向かっている最中だ。

 G県に向かう理由は、勿論、スダマの対処をする為である。

 あれから暫く話し合った結果、とりあえず夜になる前に現地に入って、今やれる最低限の事はしておこうという話になったからだ。

 因みに、何故、夜になる前に行かなければならないのかというと、それはスダマに限らず、負の霊力を身に纏う化け物や悪霊は夜になると活発になるからである。

 活発になる理由は俺も詳しくは分からない。

 だが夜になると地霊力というものが地表に漂いやすくなるので、恐らく、それが関係しているのだろう。

 以前、鬼一爺さんもそんな事を言ってたから、間違いないはずだ。

 またその他にも、月の満ち欠けや季節によっても、そういった悪霊達の変化があるような事を鬼一爺さんは言っていた。

 よって、地霊力というものは昼夜の変化だけではなく、地球上にある様々な自然現象とも密接にリンクしているみたいなのである。

 とは言うものの、これらのメカニズムについてはいまいち良く分からん。が、俺が思うに、自然現象と共に幽世と現世が遠くなったり近くなったりしてるのかも知れない。まぁこれは俺の自論なのでアテにはならんが……。

 それは兎も角、俺達はそういった理由から、G県へと急ぎ向かっているのであった。


 G県へは2台の車で向かっており、運転者は宗貴さんと一樹さんだ。車は勿論、2人が所有するランドクルーザーとレガシーである。

 で、俺は一樹さんのレガシー後部座席に乗っており、助手席には一将さんの姿がある。レガシーの車内は俺を含めてこの3人だけだ。

 また、宗貴さんの運転するランドクルーザーには、土門長老と明日香ちゃんが乗っている。向こうもコッチと同じく3人である。

 という訳で、俺達は計6名の人員でG県へと向かっているのである。

 因みに瑞希ちゃんや沙耶香ちゃん、そして詩織さんの3人は高天智市でお留守番となっている。

 理由は、今回ばかりは流石にヤバイ修祓になりそうなので、慣れた修祓者だけで行うと土門長老と一将さんが決めたからである。

 だがそのかわり、ただのお留守番という訳ではない。

 現地での成り行き如何によっては、色々と困難な事が待ち受けているかも知れないので、緊急時の調べ物と、天目堂や鎮守の森への橋渡しとしての役目を与えられているのである。

 まぁそんな理由から3人はお留守番なのであるが、本来ならば此処にもう一人加わるのが当初の予定であった。

 そのもう一人とは、勿論、明日香ちゃんである。

 しかし、それにもかかわらず、何故、明日香ちゃんが俺達と共に来ているのかというと……。

 明日香ちゃん自身が、鬼一爺さんの課題に対してかなり強い意気込みを持っていたので、その熱意を受けて土門長老達も渋々ではあるが許可したからなのであった。

 だが実際のところ、土門長老が許可したのは、(ならば、涼一や他の者達を良く見て、己を見詰めてみよ)という鬼一爺さんの一言があったからだろう。土門長老も最初は反対していたし。

 まぁそういった事もあって、本来ならばお留守番の筈の明日香ちゃんも同行しているという訳である。

 だがしかし。

 明日香ちゃん以上に場違いなのは、この俺だろう……。

 何故なら、30分前にマンションであったスダマの話にも、まったくついていけなかったからである。

 話を聞いた感じでは、ヤバイという事は分かるのだが、肝心のスダマが何なのかが分からない。なので、全体的に『日本語でおk?』に近い感じなのである。

 まぁ他の皆もどんな化け物なのかは分からない様ではあったが……。

 それは兎も角、俺は皆以上に訳が分からん状態で同行しているので、やや気まずい心境なのであった。

 土門長老や一将さんがこんな俺を同行させたのは、恐らく、鬼一爺さんの知識を頼りにしているからだろう。俺もそれに異論はない。が、とはいえ、何も知らずについて行くというのは、流石に居心地の悪いものである。

 勿論、俺もスダマの事を尋ねようとは思った。

 だが、あの緊迫した空気の中で水を差すような事はできなかったのだ。

 あの場で「スダマって何ですか?」と聞いたら、多分「後にしてくれないか!」と一将さんに真顔で言われただろう。

 それ程に切羽詰った雰囲気だったのである。

 という訳で俺は何も知らずに今に至るのだった。


 俺は今、『どのタイミングで尋ねようか?』と思案している最中である。

 だが、助手席と運転席に座る一将さんと一樹さんはさっきから言葉少なな為、妙に言い出し辛い雰囲気なのだ。

 その為、俺は車に乗ってからずっと悩んでいるのである。

 ああ、肝っ玉の小さい自分が恨めしい……。

 ハァ、なんかきっかけがあればなぁ……。

 などと思いつつ、高速道路の路面をぼんやりと窓ガラス越しに眺めていた、丁度その時。

 隣にいる鬼一爺さんが、俺に話し掛けてきたのであった。

(涼一。ところでお主、先ほどの話に出てきた魑魅というのは、何か分かっておるのか?)

 それを聞いた瞬間、俺は思わず心の中で『ナイスタイミング!』っと叫んだ。

 また、このチャンスを逃すまいと、早速、俺は鬼一爺さんに尋ねるのである。

「おお、それなんだけどさ。知らないんだよ。さっきは話の腰を折りそうな感じになると思ったから聞かなかったんだ。で、スダマってなんなの?」

(フォフォフォ、相変わらず小心者じゃな涼一は)

 鬼一爺さんは、いつもと同じくニコヤカに嫌味を言った。

 いつもなら、少しはムカッとくる言い方ではあるが、今のこの状況では凄くありがたい言葉に思えた。

「はいはい、どうせ俺は小心者だよ。まぁそれは兎も角、スダマって何なの?」

(魑魅とはの、山の瘴気が寄り集まってできた物の怪の事じゃ。漢字で書くと魑魅魍魎ちみもうりょう魑魅ちみの部分をそう読むんじゃよ。因みに魍魎もうりょうは、川や湖といった水気の多いところで生まれる物の怪の事じゃ)

「ふ〜ん、瘴気が寄り集まってできた物の怪ねぇ……。という事は、悪霊の塊みたいなもんか……」

 瘴気というのは基本的に負の地霊力なので、俺はそう呟いた。

 だが鬼一爺さんは、俺の言葉に頷きつつも険しい表情になる。

 そして目を閉じ、ゆっくりとした口調で言うのだった。

(まぁ確かにそうじゃが、この魑魅という奴は長い年月をかけて生まれたものと、ある日突然、生まれてくるものがあるのじゃよ)

「ある日突然?」

 といいながら俺は首を傾げる。

(ウム。それで実はの、涼一。長い年月をかけて生まれる魑魅はそうでもないんじゃが、この、ある日突然生まれてくる魑魅というのが、厄介な物の怪になるのじゃよ)

「や、厄介な物の怪?」

 鬼一爺さんは腕を組んで深く頷くと続ける。

(そうじゃ涼一。で、この突然生まれるという魑魅じゃが。実は幾つもの偶然が重なって生まれてくるのじゃ。涼一ももう分かっていると思うが、大地には負の霊力だけが噴出す龍穴というものがある。その龍穴付近で一度に多くの負の霊魂が集まると、恐ろしく強大な力を持つ邪悪な魑魅が出現する場合があるのじゃよ)

「お、恐ろしく強大で邪悪……ど、どういう事?」

 鬼一爺さんがいつもより低い声色なのと、内容が重いのとで、俺はちょっとビビリながら尋ねた。

 すると鬼一爺さんは、俺の顔を見ながら同じ調子で言うのだった。

(……一度に多くの負の霊魂が集まると言う事は、同じく、一度に多くの負の念も集まるという事じゃ。もう分かるじゃろう、涼一。そこからは強大な負の霊力を持ち、尚且つ、恐ろしく歪んだ念を持つ物の怪が生み出されるという訳じゃわい)

 なんか知らんが、その魑魅ができる過程からヤバイ化け物という事は何となく分かる。

 そして鬼一爺さんがこの話を今したという事は、恐らく、黄泉という魑魅はその可能性が高いという事なのだろう。

 だが、一度に霊力が集まるという現象がイマイチ良く分からん。

 その為、俺は生唾をゴクリと飲み込みながらも聞いてみた。

「鬼一爺さん。い、今、一度に負の霊魂が集まるといったけど、どういう事なの?」

 俺の問い掛けを聞いた鬼一爺さんは、一度天井を見上げる。

 すると何かを考えているのか、少し間を置いてから話し始めた。

(フム……まぁこれは一つの例えじゃが。よくあるのは、そういった場所で多くの者達が無念な気持ちを抱いて死んだ場合とかじゃな……。戦なんかがあった時はそういう事が起きやすいからの)

 俺はそこでマンションでの話を思い出す。

 一将さんの話では、この魑魅が封印されたのは400年以上前らしい。

 今から400年前というと、大体、西暦1600年程である。そしてこの1600年といえば、歴史に疎い俺でも良く知っている、ある出来事があった年である。そう、関が原の合戦があった年なのだ。

 しかも今向かっているG県には、この戦いが行われた関が原があるのである。

 これは偶然だろうか……。俺はここである仮説を勝手にたてた。

 黄泉という魑魅は、この戦で散った武士達の負の霊魂によって生まれた物の怪じゃないのだろうか、という仮説をである。時期を考えると無関係ではないように俺には思えるのだ。

 だが、これはあくまでも俺の想像の域を出ないので、とりあえず、これについては保留という事にしておく。

 俺は、鬼一爺さんの言った内容を総括した。

「……じゃ、じゃあつまりだ。そういった事が負の龍穴の近くで起こった場合は、厄介な魑魅になりやすいって事か」

 鬼一爺さんの話を聞く限りだと、色んな偶然が重なり合って生まれる化け物のようだ。

 なんか知らんが、妙なメカニズムである。

 だが悪霊は負の地霊力に引き寄せられるので、結果的にそういうことが起きても、おかしくはないのかも知れない。

 確証はないが、大地から出てくる地霊力が、霊体同士を繋ぎ合わせる役目をしてしまうからなのかも……。

 などと俺が考え込んでいると、鬼一爺さんは遠くを見るかのように目を細めて言うのだった。

(まぁそういう事じゃ、涼一。そして……そうやって生まれた魑魅の事を我等は祟り神や荒神と呼んでおった。それ程に威を振るう物の怪という事じゃ。先程あった皆の話を聞く限りじゃと、恐らく、その黄泉といわれる魑魅も、そういった過程で生まれた物の怪なのかも知れぬの……)

 そう言った鬼一爺さんは、何処となく悲しい表情をしていた。

 まぁ今の話を聞いた感じでは、それも分からんでもない。

「祟り神……か。生まれる過程を考えると、確かに祟りなのかもしれないね……。荒んだ世が生み出す化け物なのだから」

 そう呟くと共に、俺の中で言いようの無い不安が襲い掛かってくる。

 多分、相当にヤバイ化け物なのだろう。鬼一爺さん自身がそう言うくらいだから。

 だが鬼一爺さんはマンションでの話し合いの時、土門長老達の対処法に頷きつつも、他に色々と考えているような感じであった。

 でないと、流石の鬼一爺さんも明日香ちゃんを同行させなかった筈である。

 それと今まで見てきてわかった事だが、鬼一爺さんは結構用心深い性格なのだ。考えなしに突っ走る性格じゃない。多分、今も色々と考えているはずだ。

 俺はそれが気になったので、とりあえず聞いてみた。

「ところで鬼一爺さん。そんな化け物相手に、一体どうやって対処するんだ? マンションでは色々と考えてるような感じだったけどさ……。なにか良い方法でもあるの?」

 すると助手席で静かに俺達の話を聞いていた一将さんも、ハッと此方に振り向く。

 そして鬼一爺さんに、期待のこもった眼差しを向けて言うのであった。

「そうなのですか、鬼一法眼様。なにか良い妙案があるのでしょうか?」

 鬼一爺さんは俺と一将さんに視線を向ける。

 すると腕を組み、やや難しい表情で言うのである。

(ウム。まぁ封印するにしろ退治するにしろ、色々と方法はある。じゃが……どのような魑魅か見てからでないと、それは言えぬの。人や獣を喰らって力をつけてゆくにしたがい、魑魅は変化をするからの。時機を逸すると手も変えねばならんのじゃよ)

「フゥゥ。という事は、魑魅の変化次第ってことか……かなり面倒な相手だね」

 俺は腕を組んで溜息を吐くと、そう呟いた。

 続いて一将さんが、期待を込めた口調で言うのである。

「……そうですか。では鬼一法眼様。その時は是非、お力添えの方を宜しくお願い致します」と。

(まぁ兎に角じゃ。見てみん事には始まらぬわい)

 鬼一爺さんはそう言うと静かに目を閉じる。

 それと共に、車内はまた暫しの間、口数の少ない重苦しい雰囲気へと戻ってゆくのだった。

 そして俺達は、まだ見ぬ魑魅の不安を抱きながら、高速道路を突き進むのである。



 ―― その涼一達の後方には ――



 1台の黒いスポーツカー・スカイラインGT−Rが、涼一達の後を付けるように、やや距離を取りながら移動していた。

 そしてこの車の運転席と助手席には、英章の部下である秀真と摩耶の姿があるのであった。

 2人は共に深い紺色のスーツ姿である為、春の日差しが降り注ぐ外と比べると、車内はやや暗い様相となっていた。

 後部座席には幾つかの荷物があるだけで、誰も乗ってはいない。車内はこの2人だけである。

 また、車内にはナビゲーションシステムが取り付けられているが、今は稼動していない。

 それらは今、オーディオとして使われており、車内に取り付けられたスピーカーからは品の良いクラシック音楽が程よい音量で流れている。その所為か、車内は暗い様相ながらも非常に落ち着いた空間となっているのであった。

 そんな様相をした車内にて、2人は今、前方に小さく見えるランドクルーザーとレガシーに視線を向けていた。

 ハンドルを握る秀真は前方を真っ直ぐと見据えながら、隣の摩耶に話しかける。

「摩耶、英章様も言っていたが、今回はかなり物騒な中での調査になる。準備はちゃんとしてきたか?」

「ええ、ご心配なく。それは大丈夫よ。身を守る術具から、彼らを撮影する機材まで、すべて抜かりないわ」

 摩耶はそう答えると後部座席にある荷物を一瞥した。

「そうか。ならいい」

 と返事した秀真は僅かに口の端を吊り上げる。

 そんな秀真の横顔を見た摩耶は、昨日の昼頃にあった英章との話を思い浮かべるのだった。


 ―― 昨日 ――


 英章に呼ばれて、秀真と摩耶は、とある建物へとやってきていた。

 2人は白い壁と灰色の床が特徴の通路を脇目も振らずに進んで行くと、美しい木目が映える茶色の扉の前へ辿り着く。

 そしてその扉をコンコンと2回ノックしたのである。

 すると中から、男の声が聞こえてきた。

「……誰だ?」

 秀真は背筋を伸ばし、はっきりとした口調で返事をする。

「英章様、秀真に摩耶でございます」

「……入れ」

「はい、失礼します」

 と言った後、秀真はノブに手を掛けて扉を開く。

 そして2人は室内へと入ってゆくのであった。


 扉の向こうには20畳ほどの広さを持つ縦長の部屋があり、左右の壁には背丈が天井まである重厚な木製の本棚が、壁の半分を占有するかのように並んでいた。

 本棚にはショーウインドウの様にガラス戸が設けられており、そのガラス戸の向こうには幾種類もの書物が隙間なくギッシリと詰まっていた。

 また、そこ並んでいる書物の背表紙は、仕切りごとに色や柄が統一されている事もあり、本棚というよりも、ある種の工芸品を思わせるような光景となっているのであった。

 それ以外に目を移すと、床には分厚く厳かな雰囲気を持つ茶色の絨毯が敷かれており、天井には豪華な意匠をあしらった照明器具が、室内を程よい明るさで照らし出しているのである。

 これらの様相を見た者は、恐らく、豪華な書斎といったイメージを持つであろう。

 そして、そんな室内の奥には、この部屋の主が座る高級感が漂う書斎机があり、その後ろに今はブラインドで閉ざされた、この部屋唯一の窓があるのであった。

 書斎机には茶色のスーツに身を包む英章が、黒革の長い背もたれが特徴の社長椅子に、ゆったりと腰掛けていた。

 部屋に入ってきた秀真と摩耶の2人は、その書斎机に前に来ると深く一礼をする。

 そんな2人を見た英章は、微笑を浮かべると口を開いた。

「久しぶりだな、2人共。元気そうで何よりだ」

「「お久しぶりでございます。英章様」」

 2人は神妙な面持ちになり、声を揃えてそう返事した。

 英章は言う。

「では、まずこれまでの報告書の方を見せてもらおうか」

「はい、少々お待ち下さい」

 摩耶は手に持った鞄からA4サイズのファイルとフラッシュメモリーを取り出す。

 それを英章が見やすいように向きを変え、摩耶は手渡したのだった。

 英章はそのA4ファイルを手に取り、とりあえず、パラパラと捲る。

 暫くの間、ファイルを無言で流し見たところで英章は口を開いた。

「……フム。道摩家と宗家は、依然として、合同修祓訓練を行っているか……。ご苦労な事だ。まぁそれは兎も角だ。この間、摩耶からメールで送られてきたあの男の写真だが、つい先日、空港を発つ前の眩道斎殿に私が直接確認をした」

 摩耶はその言葉を聞き、ピクッと僅かに反応する。

 そして尋ねた。

「それで、結果の方はどうでしたか?」

 英章は摩耶に向けて不敵な笑みを見せると言った。

「クククッ、眩道斎殿が言うには、あの男で間違いないそうだ。写真を見せた瞬間、目の色を変えて怒りに打ち震えていたからな。先ず、間違いないだろう。恨みが晴れぬまま、日本を発つ事になった眩道斎殿には気の毒だがな。クククッ」

 摩耶は英章の言葉を聞き、少しだけ表情が柔らかくなる。

 だが、すぐに元の表情へ戻ると言った。

「ですが、あの男……。一週間前にも英章様にメールで報告しましたが、私には眩道斎殿が言うほど、優れた術者には見えないのです。それとまだ未確認の事があります。眩道斎殿の話にあった老人の霊体をこの一ヶ月の間、一度も目にしていなのです。本当に居たのでしょうか? 当時の状況を考えると、眩道斎殿の見間違いという事も視野に入れた方がいいのかもしれません……」

 英章は摩耶の言葉を聞き、暫し目を閉じる。

 そして歪んだ笑みを見せると、英章は口を開いた。 

「クククッ、摩耶。得体の知れない奴を深く探るには、普通に構えているだけでは駄目だ。そういう場合は、実力を見せる舞台を用意してやればいいのだよ。霊体の方は兎も角、眩道斎殿に事の経緯を聞いた時から、私はその男がどうしても引っかかるのだ。『何かある』と、私の勘が告げているのだよ」

 すると英章は秀真に目を向ける。

 そして言った。

「で、秀真。舞台の準備はどんな状況だ?」

「はい。昨日、私の配下の者達に荒守の洞窟へと向かわせました。洞窟最深部にある封印像を破壊した後、私の元に連絡が入る手筈になっておりますので、暫しお待ち下さい」

「フム、まぁ良かろう。さて、それでだが。あの地に封印されている魑魅は、かなり強大な力を持った化け物だ。そんな化け物の封印が解けたならば、あの地の守護を受け持つ者達は否が応にも出てくるだろう。そして、あの区域の守護を司るのは道摩家。F県にいる道摩家当主と、また共にいる土門長老は動かざるをえんだろう」

 英章はそう言うと、椅子から立ち上がった。

 そして背後にあるブラインドへ人差し指を入れる。

 その隙間から外の様子を眺めつつ、英章は言う。

「そこでだ。お前達はこれからF県へと向かい、道摩家と宗家の動きを監視するのだ。封印が解けたという連絡が、何れ必ず、道摩家当主である一将の元に行く筈。そして、奴等の後を追うのだ」

「「はい、畏まりました」」

 秀真と摩耶は声を揃えて、丁寧に返事した。

 そこで英章は2人に振り返ると言った。

「恐らく、これで何かが見えてくる筈。その男が秘めたものを持っているのならば、出さざるをえんだろう。そしてお前達には、以前渡した撮影機材でこの舞台の記録を頼みたい。……だがこの魑魅は、文献によるとかなり危険な奴だ。お前達自身も十分に注意をして作業に当たれ。以上だ。行け、2人共」

「「はい、英章様」」と歯切れよく返事した2人は、身体を反転させて扉へと向かう。

 そして英章は、2人が出てゆくのをジッと見送った後、椅子に腰を下ろして不敵な笑みを浮かべるのであった。



 ―― 一方その頃、G県では ――



 此処は荒守村から、ずっと下に位置する麓のとある地域。

 見渡す限りの田園風景が広がるこの場所に、コンクリートブロックの塀に囲まれた施設がポツンと佇んでいた。

 そのブロック塀の中には横長のプレハブ施設が3棟、川の字の様に並んで建てられており、また、それら3棟は全て同じ様式の施設であった。

 これらプレハブ施設の外壁は3棟とも白色で、遠目に見た感じでは、その外壁の色と2階建てという事以外、別段、これといった特徴は見当たらない施設である。

 だが、この建物の近くに来ると、此処がどんな施設であるのかは誰でもすぐに分かるだろう。

 何故ならば、この施設の外壁にはエアコンの室外機が均等な間隔で幾つか取り付けられており、また、それと同じ数の窓やベランダが設けられているからである。

 そう……このプレハブ施設は集合住宅なのである。が、普通の集合住宅ではない。

 この施設の入口にはこう書かれていた。

【仙石電子工業株式会社 社宅】と。

 どうやら此処は、この会社の社員専用住宅の様である。

 入居できる軒数としては1棟につき8軒程度のようだ。

 またこれら3棟の社宅は最近建てられた物のようで、風雨による水垢等の汚れが少ない。

 その為、ブロック塀の外から眺めると、外壁の色とも相俟って、非常に清潔感の漂う施設となっているのだった。

 だがしかし……。それはいつもならばと付け加えるべきである。

 そして外からの眺めとは異なり、敷地内は今、シンとした静けさと共に異様な様相をしていたのであった……。


 今、この社宅へと向かう1台の車があった。

 白い4ドアセダンの車で、中には運転席に座っている作業服姿の若い茶髪の男が1人だけである。

 その男はくわえタバコをしながらダルそうにハンドルを操作する。

 そして社宅の姿が、前方に小さくではあるが見えてきたところで、男は吸っていたタバコを灰皿に押し付けて火を消すのだった。

 すると男は、溜息を吐きながら誰にともなく呟いた。

「フゥゥ……ったく、何で俺が確認に行かなきゃいけないんだよ。メンドクセェ。様子を見てくるくらいなら、外回りの営業に行かせればいいのに……」

 男はそう言うとカップホルダーにある缶コーヒーに手を伸ばして口に運ぶ。

 そして一口飲んだ後、また独り言を呟いた。

「それにしても、社宅に住んでる連中は一体どうなってんだ。全員顔も見せずに、挙句の果てに連絡までつかないって……。社宅の連中は結託してストライキでもするつもりかよ、ったく。……でも、それにしちゃ妙だな。社宅の連中自体がそんなに仲の良い奴ばかりでもないし……。なんかあったんだろうか」

 男は困った表情を浮かべつつ、近付いてくる社宅の姿に目を向ける。

「まぁ行けばわかるだろ」

 と呟いた後、男は気を取り直してアクセルを踏むのだった。


 男は敷地内に入ると、入ってすぐにある駐車場に車を止める。

 そして、助手席側の窓に視線を向けるのだった。

 すると其処には、この社宅に住む人が所有しているであろう乗用車が、幾つも並んでいたのである。

 男はそれらの車を見るなり、首を傾げると呟いた。

「なんだ、皆いるじゃねぇか。ってことは、やっぱりストライキか? 勘弁してくれよ……」

 ややゲンナリした表情をしながらドアを開けると、男はダルそうに車から降りた。

 そして運転席のドアを閉めると、男は溜息を吐きながらも3棟の社宅へと視線を向けるのである。

 暫し社宅を眺めた男は『仕方ない』と観念しつつ、自身から一番近い、入ってきた道路側の社宅へと歩き始めるのだった。

 男は欠伸をしながら、緊張感なく進んで行く。

 だが社宅の正面に回りこんだところで、男は息を飲むのである。

 何故ならば……。

 社宅正面にある各住戸の玄関や壁の所々に、ドロリとした半透明の緑色の液体が付着している為、悪質な悪戯をしたかのような光景となっていたからである。

 また、その緑色の液体が付着した付近からは、生物が腐ったような臭いが漂っており、それが男の鼻を刺激するのだった。

 そんな嫌な臭いを嗅いだ男は、顔をしかめると共に服の袖で鼻を覆う。

 そして周囲に目を向けるのである。

 だがそこで、異様な光景が男の目に飛び込んできた。

 その異様な光景は、棟と棟の間にある砂利を敷いたスペースにあった。

 其処には、地面を鋭い爪で掘ったかのような溝が幾つかあり、それらが輪をかけてこの場を凄惨な光景にしていたのである。

 男はそれらを視界に入れた途端、おぞましいものを見たかのように、目を見開き、身体を震わせた。

 そして生唾をゴクリと飲み込むと、とりあえず忍び足で、社宅1階の一番手前にある住戸の玄関へと向かうのであった。


 物音を立てずにそっと玄関前に辿り着いた男は、作業服の上着ポケットからハンカチを取り出すと、ドアノブに付着した緑色の液体を拭き取る。

 ノブが綺麗になったところで、男は早速ノブに手を掛けて右に回したのである。鍵がかかっていないのか、玄関ドアはすんなりと開いた。

 ドアが開くと共に中の光景が男の目に飛び込んでくる。

 男はドアの先を見た瞬間、驚愕した。

 視線の先には、床や壁、そして天井に至る全てが、緑色の液体で覆われていたからである。

 男はこの異常な光景に言葉を失うと共に、暫くの間、身体を震わせながら立ち尽くした。

 だが、時間が経過するにしたがい、男は少しづつ現状を認識し始める。

 そして、幾分か落ち着いたところで、男はとりあえずそっと耳を澄ますのであった。

 だが、この部屋に限らず、敷地内一帯は不気味なくらいに静かであった。

 幾ら耳を澄ましても物音一つ聞こえないのである。その為、人の気配が全く感じられないのだ。が、こうしていても埒が明かないと思った男は、意を決して呼びかけるのであった。

「あのぉ〜、仙石電子工業の者ですけど。ど、何方か居りませんかぁ?」

 だが幾ら待っても、男の呼びかけに答える声は返ってこない。

 そこで男は考える。これからどうするかを。

 暫く考えた後、『まずはこの社宅に住む者達に会うのが先だが、とりあえず、この異常な部屋の中を確認してからにしよう』という結論を男は出したのである。

 そして男はそれを探るべく、液体の覆う室内へと、恐る恐る入ってゆくのであった。


 一歩。また一歩。

 男が足を動かす度に、床に付着した液体からニチャッという嫌な音が聞こえてくる。

 だが目の前の光景が異常な為、男はそんな些細な事は気にせず、前へ進んで行く。

 僅か5m程度の距離ではあるが、そうやって慎重に進んで行くと、男はこの住戸の居間へと足を踏み入れた。

 そこで一旦、周囲を見回す。

 居間の中心に置かれたローテーブルには、湯飲みやマグカップらしき物が転がっており、その上から緑色の液体が覆いかぶさっていた。

 壁際に置かれた液晶テレビや暖房器具も緑色の液体に塗れており、一瞥しただけでは何なのか分からない様相となっている。

 そんな感じで、居間の隅々が緑色の液体で覆われているものの、それ以外は特に目立った形跡はない。

 だがその時。

 男の目に、テーブルの横に転がる衣服が目に留まったのだった。

 服自体は液体が付着している以外、特におかしな点はない。が、しかし、服の配置が奇妙だったのである。

 トレーナーにズボンといった衣服が、まるで人が着ている時と同様に上下に並べて置かれていたからである。

 それも1人分だけではない。

 子供用の物と思われる上下のパジャマが2人分と、大人の物と思われる上下の衣服が2人分。

 まるで袖を通す人間だけが消えたかのように、テーブルの周囲に綺麗に並べられていたのだった。

 そんな風に配置された奇妙な衣服を男は暫し呆然と眺める。

 だがそこである物が男の目に飛び込んできた。

 それは大人の衣服の所に腕時計と眼鏡が転がっていたからである。

 しかもそれらはあるべく箇所に転がっていた。そう、顔と手首の部分にである。

 男はそれを見た瞬間、ある恐ろしい事を想像する。

 それは衣服やアクセサリーといった物を除き、生身の肉体だけが消えているという、普通ならばありえない想像である。

 だが人間というものは、一度そういった事を考えると次々に悪い方向へと考えてしまう生き物である。

 この男にとってもそれは例外ではなく、そう考えると共に、言いようのない不安が込み上げてくるのであった。

 そして、それが次第に恐怖心へと変わり、男を次の行動へと突き動かすのだ。

【ウ、ウワァァァァ!】

 男は半狂乱になり身体を震わせながらそう叫ぶと、慌てて社宅の外に出る。

 その途中、何度か足がもつれて転びそうになりながらも、急いで自分の車へと駆け込む。

 車に駆け込んだ男は、焦った仕草でポケットを探り、車の鍵を取り出す。

 そして震える手で鍵をなんとか鍵穴に入れると、慌ててエンジンをかけるのだった。

 ブウォンと勢い良くエンジンがかかるや否や、男はアクセルを目一杯踏み込んで車を急発進させ、この場所から一目散に逃げ出したのである。

 そして男の去った後には物音一つしない社宅だけが、その場に取り残されたかのように、寂しく佇んでいるのであった。

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