表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せっかく美少女に転生したのに不幸なまま終わってたまるか!  作者: 田舎師
3章 エルトリア巡見士
86/134

メブスタ男爵家調査依頼(1)

王国歴228年、エルトリア王国の巡見士(ルティア)となって2年余り。この年はどうやら旧友に縁があるようだ。


プラたんの案内で亜人種自治区の調査を終えた私は、続いて王国最南端の地を踏むことになった。

パラーヤという名の港町、ここには軍学校時代の友人、ラミカがいるはずだ。


はずだ、というのはこの度の来訪を承諾した旨の返事以来、音信が途絶えているからだが、安否については心配していない。

彼女はもともと面倒くさがりの筆不精だし、私は直近の70日ほどを未開の地での調査と移動に費やしており、籍のある王都には戻っていない。もし手紙を書いてくれていたとしても、王宮の事務官が保管しているはずだ。

そして何より、あの子は軍学校始まって以来の天才魔術師だ。滅多なことなどあるはずもない。




海からの風が潮の香りを運んでくる。

港町らしい急坂を上りきったところで目的の建物を見つけ、乱れた呼吸を整えた。


「ここだ・・・ベラヌール家」


ラミカからの手紙には地図も書かれていたのだが、雑すぎてとても参考にできる代物ではなかった。なにしろ、海岸線と道らしき線が何本か引かれている先に「このへん」と記されているだけだから。

ただ「貿易商のベラヌール家」と人に聞けばすぐに教えてくれて、苦もなくたどり着くことができたのは幸いだった。




広い敷地を囲む石塀に鉄製の門、石と煉瓦を組み合わせて造られた2階建ての邸宅。学生時代から衣食住に不自由していなさそうだとは感じていたが、なかなかの豪商のようだ。

名前と用件を伝えて応接室で待っていると、豚の着ぐるみが扉を開けて入って来た。


「ユイちゃんだー!おひさしぶりー!」

「久しぶりだね!会いに来たよ」

「なんだよう。揉むなよう」


初めてラミカと会ったときもこうだった。着ぐるみが牛から豚に変わっただけだ。

あの時のようにお菓子の袋は持っていないようだが、お腹についた食べかすが今の彼女の生活を物語っている。


巡見士(ルティア)になったんだってね。すごいなー」

「それはもう頑張ったもの。この前プラたんに会ったよ」

「へー。元気だった?」

「うん、後でゆっくりお話するよ。ご両親に挨拶していい?」

「あいよー」


生憎お父さんは仕事で留守との事だったが、紹介されたお母さんを見て驚いた。


「あの、お母さんですか?お姉さんではなくて・・・?」

「あらーいい子ね。お菓子あげちゃう」


ラミカと同じ紅茶色の髪と肉感的な身体は想像通りだったが、肌艶といい縦ロールの髪といい、どの角度からも20代にしか見えない。


「いえ、早速ラミカさんと出掛けますので」

「ほんとに行くのー?」

「ぜひ連れ出してあげて。この子ったら、放っておいたら家から一歩も出ないんだから」

「働きたくないでござるー!」


渋るラミカを引きずって、部屋で外行きの服に着替えさせる。

部屋の中で着替えを見張ることにしたのは、先程ある事に気付いたからだ。


「ちょっとラミカ、これどうしたの」

「やーめーてー」


やっぱり。私は下着からはみ出た大量の脂肪をつまみ上げた。




かつての天才魔術師は、怠惰な実家暮らしで見事に激太りしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ