第三次カラヤ村防衛戦(1)
就職記念評価ありがとうございます(笑
新たに章分けしました。ブックマーク等、引き続きお付き合い頂けますと幸いです。
「よく来てくれた、巡見士殿」
「ご無沙汰しております、自警団長」
お互いにやにやと笑ってしまった。隣で小さくなっているルカちゃんが不思議そうな顔で見ている。
このカラヤ村自警団長カイルさんは、すなわち私の父親だ。白々しいにも程がある。
「例年のゴブリン討伐だが、すっかり奴らの数が少なくなってね。昨年から騎士団ではなく、アカイア市の冒険者ギルドにお願いするようになったんだ」
「承知しております。ギルドより魔術師ルカ殿をお連れしました、私達にお任せください」
「こちらも護衛を用意した。頭は悪いが腕は立つ、使ってやってくれ」
「それも承知しております」
団長の隣に座っていた長身の若者が立ち上がり、私の手を握った。
これも白々しい。既にエルトリア軍に籍を置くこの人は、血が繋がらないとはいえ私の兄だ。
「だから、バカ扱いはやめてくれよ」
「よろしくね、ロット君」
目的地はカラヤ村付近、西の洞窟。
数年前までは多数のゴブリンが棲みついていた場所だが、2年前の一件以来その数は激減したそうだ。
ただ今年に入って猟師が巣の近くでゴブリンを見かけたことから、また小規模な集団が棲みついたと思われる。
「へえ、魔術師なのか。小さいのにすげえな」
「いえ・・・」
「ルカちゃんは私達と同い年だよ。17歳」
「そうなのか!?小さいし痩せてるし、村に来た頃のお前みたいだな」
「そうだね。私も似てると思う」
反応が薄いにも関わらず、ロット君はルカちゃんによく話しかけてくれている。
事前に言い含めてあるとはいえ、誰とでも自然に話すことができるのは彼の美徳だと思う。
「・・・お二人はお知り合いなんですか?」
「兄妹なんだ。全然似てないけど」
「そうだよ。出来は全然違うけどな」
初めてルカちゃんの方から話しかけてくれた。
嬉しくて相手が言い終わらないうちに答えてしまった私達を見て、くすりと笑う。これも初めてのことだ。
「私ね、ルカちゃんと会った次の日にこの村に来たの。ここでカイルさんやロット君と出会って、引き取ってもらったんだ。だからあの時とは姓が違うの」
「そう・・・なんですか?」
「うん。色々あったし何度も死にかけたけど、今はこれで良かったって思うよ」
「・・・」
ちょうど会話が途切れた頃、人気のない村はずれから山道を見上げた。
「さあ、お喋りは終わりだ。山に入るぜ」
「私とロット君で前後を固めるね。【風の守護】は使える?」
「はい」
心なしかルカちゃんの返事が早かった気がする。
何でもない会話、警戒する必要がない相手、人として扱われること。
他の人が当たり前に持っているようなもの、私がこの3年間でみんなにもらったものを、少しでもこの子に分けてあげたいと思う。




