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せっかく美少女に転生したのに不幸なまま終わってたまるか!  作者: 田舎師
3章 エルトリア巡見士
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少女の帰還(2)

巡見士(ルティア)ですって!?ユイちゃんが!?」

「はい」


周囲に視線を送って小さく頷くと、心得たレナータさんは声をひそめてくれた。

アカイア市街、喫茶店の屋外席。冒険者ギルドの入口が見えるここから、お仕事を終えた彼女が出てくるのを待っていたのだ。


この町には虐待を繰り返した前の両親が住んでいる、他にも私自身に恨みを持つ人がいる。正直なところあまり近寄りたくないのだが、最初の任地とあっては仕方ない。

目立つ銀色の髪を布で包み、一応印象は変えてある。以前とは顔つきも体つきも別人のように違うので、心配することはないのかもしれないけれど・・・。




「あれから一体何があったの?」

「ええとですね・・・」


驚くのも無理はない。飢えて裏切られて死にかけて町を逃げ出した子供が、3年足らずで騎士階級になったという。それも難関中の難関、広い権限を持つ巡見士(ルティア)として戻ってきたという。


とても簡単に言い表せるような経験ではなかったが、かいつまんで説明する。

逃げ延びたカラヤ村で新しい両親に引き取られたこと、事件と偶然の出会いが重なって学費を工面できたこと、軍学校で魔術と剣術を学んだこと。話しながら濃密な時間を振り返り感慨に耽ってしまう。


「そうだったの・・・」

「レナータさんのおかげです。迷惑をおかけしたままで申し訳ありませんでした」

「そんな事ないよ。本当に良かった、生きていてくれて」


私はこの町に住んでいた頃、名前の無い存在だった。

両親も雇い主もみな「おい」「こら」「おまえ」「あいつ」「あれ」と呼ぶ世界の中で、名前を呼んでくれたのはレナータさんだけだ。彼女は幸薄い子供の私を助けるために手を尽くしてくれた。


なのにあの時、この人に迷惑をかけたまま逃げ出すしかなかった。無力な自分がずっと悔しかった。

少しでも恩を返したいのだけれど、今日の用件はもしかすると意趣返しになってしまうかもしれない。




「レナータさんの方はお変わりありませんか?」

「そうねえ、変わりようがないかしらね」


相変わらず重そうな胸をテーブルに乗せて溜息をつく。あのラミカをさえ上回る胸囲は時が経っても健在のようだ。


「実はそのことでお願いがあります」


胸のことではない。冒険者ギルドについていくつか確認したいこと、お願いしたいことがあるのだ。

それらを話し終えると、レナータさんの鼻息が荒くなった。


「なんだか恩を仇で返すようで申し訳ないのですが・・・」

「いいえ!私もこれじゃいけないって思っていたもの。ぜひ協力させてもらうわ」

「ありがとうございます、それからもう一つ。あの子は今、どうしていますか?」

「あの子?」


名前を告げると、レナータさんはすぐに思い出してくれた。良かった、心配していたが存命のようだ。


「あの子は悪くない、なんて言えないけど、事情は汲んであげてくれない?」

「あ、違うんです。根に持ってるわけじゃなくて、何とかしてあげたいと思って」

「そう。あの子は今ね・・・」


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