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巡見士フェリオ(4)

卒業記念評価ありがとうございます(笑

過去分を章分けしました。これより数話を挟んで新章に入ります。

誤字報告、ブックマーク、評価、感想など含め、引き続きお付き合い頂ければ幸いです。

「バーツさん、腕にばかり力が入って身体が流れています。力を入れるのは体幹です」

「ベイト君、踏み込んだ足に体重が乗って、戻れなくなってる。腰の上にまっすぐ上半身を乗せるの」


ジュノン軍学校を卒業して50日が過ぎた。


軍学校卒業、卒業記念試合準優勝、などという実績はこの田舎村ではなんだか凄いことらしく、自警団の指導者を務めることになった。

確かに今の私は魔術抜きでも、自警団長のカイルさん・・・お父さんよりも強い。このあたりの町や村でまともに戦える人はそういないだろう。


一緒に軍学校に通ったロット君とカミーユ君はエルトリア王国軍に入隊し、既にアカイア市で新人訓練が始まっているはずだ。なんだか先に大人になられてしまったようで落ち着かない。


私だって巡見士(ルティア)になって世界中を巡るという夢を諦めたわけではない。ちゃんと勉強はしているし、それなりに訓練も積んでいる。

ただ・・・目標の公職試験まで100日を切ったというのに、漫然と日々を送っている気がしてならないのだ。




「うーん・・・」

「どうしたユイ、お前にわからない事は俺にも答えられんぞ」


自警団の早朝訓練と農場での仕事を終え、午後から自警団詰所の机を借りて勉強というのが最近の日課だ。受付や留守番、簡単な事務仕事を手伝うこともある。

私はその机の上で教科書に顔をうずめてしまった。


「あ、いえ。なんだか焦ってしまって・・・」

「お前は自分に厳しすぎるからな。少し息抜きしたらどうだ」

「そうですね・・・」


お茶を淹れて木のコップに注ぎ、片方を自警団長のカイルさん・・・お父さんに手渡す。

この季節、暖炉には火が入っていないが、そこは魔術師の端くれだ。【加熱(ヒート)】の魔術でお湯を沸かすなど造作もない。


「おお、早いな。魔術とは便利なものだな」

「こうして生活に使うのが魔術の真価です」

「たまに老成したようなことを言うな、お前は」

「ふふ、学長先生の言葉です」


父親と二人でお茶を飲みながら世間話、ようやくこんな時間が苦にならなくなってきた。

親子とはこういうものなのだろうか。まだよくわからないが、こうして同じ時間を過ごすことが恩返しになるのかもしれない。


軍学校での生活や友達のことなど他愛もない話をしていると、入口の扉に取り付けてある鈴が鳴った。


「失礼します。団長殿はいらっしゃいますか?」


少し青みがかった鉄灰色の髪、笑うと見えなくなるような切れ長の目。私がその人を忘れるわけがない。


「フェリオさん!!!」

「やあ、ユイ君。無事に卒業したようだね」

「はい!」




憧れの人との再会を喜んだのも束の間。


寸刻の後、私は詰所前の地面に這いつくばっていた。




「・・・卒業記念試合で準優勝と聞いていたけど、こんなものなのかな?」


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