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15歳の学園生活(2)

「うーん・・・」

「やっぱ無理だよねー」

「わかってたけど、これほどとはね・・・」

「買いに行くなら付き合うよー」

「じゃあお願いしようかな」


軍学校に入学して50日ほど。少々困ったことがある。

寮の食事で栄養状態が良くなったためか、少しずつ体つきが女性らしくなってきた。端的に言えば胸が膨らんできたのでそれを押さえる物、つまりその・・・ブラジャーが必要になったのだ。試しにラミカちゃんのを着けてみたのだが、やはり無謀な試みだった。メロンどころか西瓜(すいか)が2個入ってしまう。




学校が休みのこの日、私はラミカ、プラたん、カチュアと連れ立って街に出た。天然ボケのラミカちゃんだけでは何かと不安だし、胸のサイズ的にはハーフエルフのプラたんが丁度いい。カチュアは運動の際に妨げにならない物を選んでくれるという。


「あ、クレープだー」

「・・・私、チョコバナナクリーム」

「ちょっとー、また食べるの?」


ラミカちゃんとプラたんが、ふらふらとお菓子の屋台に吸い寄せられていく。これで3軒目だ。


「ねえ君達、軍学校の生徒?」

「え?」


年の頃は私達より少し上だろうか、背の高い男子3人組に声をかけられた。

おそらく制服で学校がわかったのだろう。私とラミカとプラたんは白いブラウスに緑チェックのプリーツスカート、剣術科のカチュアは同じ生地のスラックスを穿いている。


「スカートってことは魔術科なの?すごいね、ちょっと魔術使ってみてよ」

「え、あの、そんな簡単に使うものじゃないので・・・」

「ちょっとお話聞かせてよ。そこでパフェでも食べながらさ」


ラミカちゃんはクレープを食べながら放置を決め込んでいるし、プラたんはラミカちゃんの、カチュアは私の陰に隠れてしまった。え、これは私が対応する感じだろうか。


「すみません、私達用事があるので・・・」

「少しだけ、ちょっとだけだからさ」

「失礼します・・・」


3人を促してそそくさと立ち去ると、「お前じゃねえよ!」という声が後頭部にぶつかった。

そんな事は承知している。人目を惹く体型のラミカちゃん、神秘的なハーフエルフのプラたん、黒髪清楚で控え目なカチュアと比べられたら、貧相でぎょろりと目ばかり大きい私は可哀想だ。


「ごめんユイちゃん、わたし人見知りで・・・」

「別にいいけど、訓練の時とずいぶん違うね?」

「なんだか剣を持ってないと不安で・・・」

「そうなの!?」


剣に絶対の自信を持つだけに、それが無いと途端に臆病になるのだろうか。

そういえばカチュアはさっきから、私の後ろをひっそりとついて来るだけだった。ラミカちゃんプラたんともまだ打ち解けていない様子なので、これを機会に仲良くなってくれれば良いのだけれど・・・。




そんなこんなで目的の店に着いたのは、寮を出てからたっぷり2時間が経った頃だった。小さいが洒落た店構えで、看板にはピンク色の文字で「フェミニン」と書いてある。店の名前だろう。


「ええと・・・」

「ユイちゃん、こっちこっち」


当然と言うべきか、前世でも女性用の下着売り場に侵入した事はない。見慣れない華やかな下着に囲まれて目を回す私をラミカちゃんが引っ張ってくれた。


「これなんかどう?」

「いやそれ、ラミカちゃんのサイズだよね?」

「・・・これ、いいかも」

「んー、可愛いけどフリフリすぎて恥ずかしいかな・・・」

「これ私が使ってるのと同じなんだけど・・・」

「機能的で良さげだけど、()っかいね!?」


さんざん迷った末に、カチュアが選んでくれたスポーツタイプの中で比較的安いものを購入することにした。2枚で500ペル、予想外の痛い出費だが仕方ない。

みんなもデザインがどう、最近の流行りはこう、でも値段が、とそれぞれ下着を選んで外に出た頃には既に陽が傾きはじめていた。


「ねー、パフェ食べて帰ろー」

「・・・私、ストロベリー」

「まだ食べるの!?またお菓子だけで夕食済ませる気だね?」

「パフェはご飯だよー」

「・・・私も食べたいかな」

「カチュアまで?仕方ないなあ」




こんな日々が続くと忘れてしまいがちだが、私達が通っているのはあくまで「軍学校」だ。2年の月日が経てば多くの者が軍に所属し、あるいは公職に就き、そうでない者も10年間の予備役扱いとなる。


ましてカチュアは隣国の高級武官となる身だ、プラタレーナの故郷は人間の支配が及ばぬ地だ、ラミカはその才能ゆえ雌伏を許されないだろう。

数年の後に私達4人が席を同じくする保証は、無い。


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