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002 シュクレール亭、朝の光景

リメイク版本編です。

色々と加筆修正しております。

ここは日本、そして京都の丹後地方のどこかの町…、大都市と比べると少ないが、そこそこ人が住んでおりそこそこ賑やかなイメージをもつごく普通の町。

しかし、そこに建てられたこの町で人気の中規模食堂「シュクレール亭」。

さらにはその周りの商店街の人たちや住民は大都会と同じくらいに賑わっているのだ。

賑わっている分、いろんな出来事もあり毎日を飽きさせないくらいだったりもする。

そして、今日は火曜日。 時計は午前9時になろうとしていた。


「そろそろ開店の時間だな」


シュクレール亭の店長に任命された20歳の青年、木津正光きずまさみつは時計を見てこういった。

何故、20歳で店長になったのか?

それは彼が今は学校に行っているアリアという少女と結婚することが決定しており、彼自身も「シュクレールコンツェルン」内の学校でみっちり住み込みで勉強していたからだ。

元々真面目な要素も含まれており、物覚えもよかったそうだ。


そんな正光の発言に、一人の少女が返事をした。


「そーだな。アリ姉さんは学校だししばらくは私ががんばらなきゃな」


正光の返答したのは、シュクレール亭で雇ったアルバイトでアメリカ人の「ステア・エクセラ」だ。

彼女のほうが2歳年上なのだが、男口調のわりには通学中のアリア・シュクレールに比べてかなり子供っぽいからであるのと、ステア自身はアリアを姉みたいに尊敬しているからである。

正光曰く、アリアも子供っぽいのだが…。


そして開店時間。

同時に1人の客が入ってきた…


「ひゃっはー! 食堂(ここ)は消毒だー!!」


…もとい突撃してきた。

某モヒカンを連想させる奇声を上げて。


「いい加減にしろッ!!」


「きゃうっ!」


いい年した女性客に正光がいつの間にやら持っていたハリセンで思いっきり頭を引っぱたいた。

スパーンといういい音を立てて。

普通なら客に手を出した時点で失格なんだが、開店時間帯は常連客しかいないので問題ない…と言うよりは、この光景はいわば日常茶飯事なのである。


「相変わらずだなぁ、真央(まお)ねぇ…」


後から駆け寄ってきたステアが、頭を抱えてうずくまってる『真央ねぇ』と呼んでいた女性に声を掛けた。


「うう~、まーくん痛いよー。本気で引っぱたくなんてー」


「あのな、開店早々某モヒカンよろしくな台詞を吐いて突撃すんなって言ったろうが。それでも宮津書店の店長か?」


「あうー、それは言わないでよぉー」


正光の言葉に涙目になりながら子供のように両腕をブンブンと振る女性は、宮津真央みやつまおというらしく、シュクレール亭の常連客の1人で近所に住んでいる。

正光も言っているが、彼女は宮津書店という商店街にある本屋の店長。

本屋自体は中規模だが、種類は豊富であらゆる年齢層にも人気の本屋である。

当然ながら、キャッシュレスレジもしっかり導入しているので買い物も楽なのだとか。

そんな店長は今年で25歳、しかも正光より年上なのだが、子供みたいな口調からしてどうしても25歳には見えないのである…。


「で、真央ねぇは今日もいつもの奴でいいんだな?」


「うん、いつものやつでおねがいねー」


「おっけー♪」


暫くして、席についた真央の注文をステアが受けて、そのまま厨房に入っていった。

彼女のいつもの奴…それはベーコンエッグとレタスサラダなのだ。

真央が本屋を開店する前は、いつもここでこのメニューを食べているのだ。


「やっぱり朝は暇みたいだねー。アリアちゃんは学校かな?」


「ああ、幾ら令嬢とはいえちゃんと学校には行っておかないとって義理の母親が言ってたな」


「そういや、婚約してたんだねー。いいなー、リア充は」


「だからって、ホントに爆弾持ってくんな。通報するぞ」


「えー、だってリア充爆発しろってよく言うじゃない」


「言葉のあやだっつーの! マジでここでやろうとすんな!!」


「はいはい、そこまでそこまで。真央ねぇのいつもの奴できたぜ」


二人のやり取りの合間にステアがベーコンエッグとレタスサラダを持ってきた。


「おおー、いっただきまーす」


真央さんが美味しそうにもきゅもきゅとベーコンエッグとレタスサラダを平らげる。


「どうした、ステア?」


ぼーっとしていたステアに声を掛ける正光。


「慣れってこわいなーって思っただけさ」


すこし照れながらステアが返答する。


「まぁ、確かに入りたてのステアはこの光景に驚いたり怯えてたりしてたよな。俺も辞めてしまうんじゃないかって心配したな」


「でも、アリ姉さんが励ましたりしてくれてたからここまで私が続けられるんだしな。ニーサンとアリ姉さんに感謝する意味でも働かなきゃね」


そんなやり取りの間に…。


(ほほーぉ、今日のステアちゃんのは縞々か)


1人の男が、いつの間にかステアのスカートの中を覗いていた。

ちなみにステアの衣装はスカートが短めのメイド服。

これは「シュクレールコンツェルン」のレストラン業界において女性従業員の共通の制服としてメイド服が着用するようだ。

このシュクレール亭でも例外ではないのだ。


男の不審な行動に正光は…。


「バ○ス!!」


と言いながら男の目に目潰しを行った。

といっても、懐中電灯を男の目に向けていきなり灯しただけだが。

それでも急激な光を浴びるので十分なのだ。


「うあああ~、目が…目がぁぁぁぁぁ」


男は目くらましされてゴロゴロとのた打ち回る。

こうかはばつぐんだ!


「ったく…、お前はお前で相変わらずだな。セクハラ信彦め…」


ため息をつく正光。

ステアはというと、スカートの中を覗かれた事には気付いてない。

彼女はセクハラには寛大な性格で、覗かれても気にしないのだ。

それどころか…。


「ニーサンもやりすぎだろ? 大丈夫か、信彦さん?」


「な、なんとか…」


スカートの中を覗かれたのにも関わらず、ステアは信彦という男性客を慰めていた。

ちなみに声を掛けられた信彦は彼女を見上げる時に再びスカートの中が見えていた事を知り少しの間見入っていた。

やはり当の彼女は気にしていない。 というよりむしろサービスしてるような感じだった。


補足しておくと、信彦という男性客も常連の1人で、ステアの事が気に入った20歳の大学生…正光と同い年なのだ。

なお、フルネームは、多田野(ただの) 信彦(のぶひこ)

午前の授業が無い火曜日と水曜日にはこの時間帯に来ているのだ。

ちなみに焼きそばをよく注文する。

ステア自身も彼と話す事が楽しくて仕方がないので、お互いが休みの時は彼の家に遊びに行っている。


「今日も焼きそばでいいんだな、信彦さん」


「うん、それで頼むよ」


信彦に笑顔をうかべながらステアが再び厨房に入っていった。


「あらまぁ、ノブちゃんも相変わらずね~。ステアちゃんじゃなかったら通報されてたねー」


横から食べ終えた真央が声を掛ける。


「ははは…」


苦笑いで応対する信彦。

額には冷や汗も流れていた。

まぁ、普通ならわいせつ罪で逮捕ものだろう。

それがないのはステアが彼を気に入ってるからである。


「っと、まーくんごちそうさまー」


「ああ、ちゃんと仕事しろよ」


「ちゃんとしてますって! まーくん最後まで酷いよ!!」


「親父さんから色々愚痴られる身にでもなれっての」


「はうう~…」


なんだかんだでお金を払って店を出る真央。


「ありがとうございました♪」


とステアは出来た焼きそばを持って笑顔で見送った。


「っと、焼きそばできたぜ。大盛りでいいんだな?」


「うん、そうそう。じゃあいただきまーす」


そう言って、信彦は大盛の焼きそばをガッツリ食べ始めた。


今日の午前中は、この常連客の二人の来客のみ。

しかし、シュクレール亭は学校帰りや仕事帰りの多い夕方から流行るのだ。

その時間帯は、よりカオス? な流れが出来ることもありえるのだ。

この町は、そしてこの飲食店はそんなありえない流れがあり得る場所なのだ。


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