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015 少女アイドルの事件、その翌日…

プロデューサーで正光の親友でもある康弘と少女アイドルがシュクレール亭に来た翌日。

昼頃に、要がシュクレール亭に来て、いつもの注文を取っていた。


「康弘プロデューサーから聞きました。 あの子の為に動いてくれるそうで…」


「ああ、町内会でもイベント会場を設定して警察も動いてもらう感じでまとまった。 町内会の人に警察とのパイプを持ってる人がいたからイベントもなんとかなりそうだな」


「本当にすみません…」


「要くんが謝る必要はないよ。 今回の件は、親友の頼みでもあるしな」


要はいつものメニューを食しながら、昨日の一件について謝罪をした。

だが、正光は親友である康弘のためにも安心してプロデュースできるようにしてやりたい思いもあるからだ。


「昨日、康弘さんからあらかた聞いたけど、あの女の子、セクハラやパワハラ…さらにトイレ妨害もされてたんだってね…」


「ええ、あの子…桂里奈(かりな)ちゃんだけでなく、他の女の子のアイドルもそんな目に遭っていたそうで…。 しかもトイレ妨害の件は何人かが失禁させられてしまったショックでアイドルを辞めたらしいですし」


「あまりにも酷すぎだよね。 はい、お手拭き」


「あ、すみません」


アリアと要の話に、今度は綾子が要の元にお手拭きを差し出した。


「あの変態プロデューサーが、社長を含めた他の人員の動きを把握しているというのが厄介だからな。 把握させないように町内会はイベント会場に仕込みをするらしい」


「どんな仕込みなのでしょうか?」


「当日になってみないとわからないかもな。 俺も教えてもらえなかったし」


「そうなんだ…」


町内会のリーダー格の人たちがどうやらイベント会場にある仕込みをするようだ。

だが、正光や他の人間には教えていないらしい。

トイレ妨害さえ平気でする変態プロデューサーが相手だから手札をへらへとに見せられないのだろう。

例え味方であっても。


「それで、その失禁させられたショックで辞めたアイドルはどうなってるの?」


「聞いた所、引きこもっているようです。 あいつの手によって失禁の様子をSNSに拡散させられたせいで、いじめにあってるらしくて…」


「酷いね…。 アイドルが魔法を使うのを禁止しているのをいい事に…」


「ああ、何としても変態プロデューサーをギャフンと言わせておかないとな」


アリアも要からの話を聞けば聞くほど、その変態プロデューサーに嫌悪感を露にする。

正光の方も改めて、親友のために今回のイベントで変態プロデューサーの悪行を食い止める事を決意。


「帰ったぞー」


「ただいまー」


「あ、ステアちゃん、信彦さんお帰りなさい」


そんな中で丁度、ステアと信彦が帰ってきた。


「お二人ともデートはどうでしたか?」


「ああ、楽しかったぜ」


「ステアちゃんのおかげで心に余裕ができたからね」


綾香が二人にデートの事で問いかけるが、二人はあっけらかんと答える。

やっぱり熱々のカップルだなぁと正光は思っていた。


「あ、そうだニーサン。 帰る途中に町内会の人に会ったんだけど」


「町内会の…あの人か。 もしかして伝言か?」


「うん。 今回のアイドルイベントなんだけど、1か月後に開催することになったって」


「1か月? 早いな」


ふと正光は考えた。

今から1か月後に開催と言うのは、早すぎるのではないだろうかと。

チケットとかの問題もあるだろうし…。


「そうだろう? どうも、客は町内に住む人限定で行う事を社長と康弘さんが同意したみたいだよ」


「なるべく早く奴を捕まえるためにか」


「多分ね。 とりあえず伝えたよ」


「ああ、サンキュー、ステア」


どうやら町内会とアイドル事務所の社長、そしてプロデューサーの康弘とで密談をして成立させた内容らしい。

入場もシュクレール亭がある街に住む人間限定のようだ。

客入りよりも件の変態プロデューサーを逮捕するための目的で開始時期を早めたのだろう。


「要くんも聞いたな?」


「はい。 ボクの方もそれに合わせてレッスンを頑張ります」


「ああ、向こうで桂里奈ちゃんだっけか? 何かあったら康弘を経由してもいいから報告してくれ」


「分かりました」


要にも伝言された内容を伝えて、何かあれば連絡をするという事で合意した。

正光や町内会もこれから1か月間は忙しくなりそうだ。


「とりあえず、休める時はちゃんと休むようにね? 倒れたら元も子もないんだから」


「ああ、分かった。 流石に無理はしないさ」


アリアから休める時は休むように念を押され、正光は彼女に無理はしないと約束をした。

変態プロデューサーを貶める機会は、1か月後。

それまで桂里奈というアイドル少女が保ってくれることを店内にいる全員が祈った。



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