見つかるな、探すな、見つかるな。
焼けるような吐息ですか?
いじらしくも恥ずかしい心地にさせるの?
そんな気持ち、感じたことない。
息が詰まるような突風ですか?
苦しくもいたたまれない心地にさせるの?
そんな気持ち、試してみたい。
路地の隅を、綿毛舞う荒れ地を、必死に逃げ惑う。
ばれないように大胆に。
素通りできない、秘密の家に続く道。
あと一歩で団欒のざわめきをばら蒔けたのに。
あと一秒で公然の秘密を撒き散らせたのに。
寂れた太陽、仁王立ちの負け犬が遮っている。
埃まみれの腹は隠せず、伝えたかった気持ちを溢していく。
微細な命を絡めた指が夜明けの方向に傾いていく。
噎せかえるような吐息ですか?
途切れて炎天下を歩いていく心地なの?
そんな気持ち、覚えていたい。